データ、取ったどぉ~!!ジンベエザメの調査研究 編

海遊館は「博物館相当施設」に登録されています。
博物館の役割は"資料収集・保存"、"調査研究"、"展示"、"教育普及"といった活動なのですが、「博物館相当施設」の海遊館も、これらの活動を行っているわけです。
さて、今回は"調査研究"のお話です。
実は、ほとんど誰にも言っていないのですが(秘密にしていた訳ではありません・・・)、「ジンベエザメの回遊経路調査」というものを行っています。
どんな調査かと言いますと、野生のジンベエザメに小さな発信機を取り付けて、「ジンベエザメがどこを泳いでいるのか?」を調べる研究です。
しかーし、これがなかなか難しいんですね。発信機を取り付けても肝心なデータが回収されないことが多いのです。
今まで2回取り付けましたが、見事にデータが回収できませんでした。
ちなみに発信機はウン十万円くらいする高価なものです(泣)。
昨年(2013年)の夏、再びチャレンジしました。
高知県にある、海遊館の研究所のすぐ近くの定置網に迷い込んだジンベエザメに発信機を取り付けました。
取り付ける発信機は、こんなんです。
140226_01.jpg
で、これを
140226_02.jpg
こんな感じに背鰭(せびれ)に取り付けます。
背鰭に金具を取り付けて、そこに発信機を付けるわけです。「痛そー!」と思われるかもしれませんが、大きなジンベエザメにとっては、皆さんが耳にピアスをつけるのと同じ程度です。
で、放流しました。
140226_03.jpg
発信機は、水温、水深、照度(明るさ)を測定します。
照度データは、「何時に明るくなったのか?」「何時に暗くなったのか?」「1日のうち何時間明るいか?」ということから、どこを泳いでいるのか?というのが計算できます。
じゃあ、どうやってデータを回収するのでしょう?
この発信機、はじめに設定した期間が経過すると、外れて水面まで浮かんでくるのです。そして水面に上がったら、アルゴス衛星という衛星にデータを送信して、その衛星が基地局にデータを転送して、海遊館のパソコンにデータが送られてきます。
こんな感じ(絵心ないです)。
140226_04.jpg
今回はジンベエザメ放流後30日経過したら、発信機が切り離されるように設定しました。
 
そして30日経過しました。
データが回収されているか、アルゴス衛星のHPをチェックします。
心臓ドキドキです。
なんせ、発信機がウン十万円しますので。
上司からも、「次はデータ取れるよね?」というプレッシャーが。
過去2回の失敗で、すでに心が折れそうです・・・。
ヨッシャ!(変に気合を入れて)
Data Accessボタンをポチっ!
140226_05.jpg
なんと、無事にデータ回収出来ていました!
3回目にして、よーやくです(号泣)
もちろん速効、上司にも報告しました(笑)
で、肝心のデータなのですが、僕たち素人ではまとめられないので、海遊館と共同研究を行っている、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター・共生生態系保全領域の宮下教授グループにお願いしました。
さて遊泳経路ですが、
140226_06.jpg
日本を横断しちゃってます(笑)
はい、ロシアまで上陸してますねぇ。
これは照度で位置情報を推定するため、どうしてもバラツキがあるんですね。
でもご安心を。
フランスの会社に頼むと、完璧なデータに仕上げてくれます。
仕上がったデータは、これです。
140226_07.jpg
なんと、高知県の土佐清水を出発したジンベエザメは、1カ月間かけて、伊豆諸島を通り越して、千葉県沖400kmくらいまで移動していたんです!
この経路を見た時は、すごく感慨深いものがありました(プレッシャーに打ち勝ったからという意味ではないです)。
さらに面白いデータが。
140226_08.jpg
これは、何メートルまで潜ったかを表しています。
なんと、最大632mまで潜水していたんですね!
水深632mの水温は7.1℃。
ジンベエザメは温帯性のサメですので、私たち飼育係はジンベエザメの飼育水槽の水温を20℃以下にはしないんですね。なのに7.1℃という極寒の深海まで潜っているわけです。
海外の研究では、ジンベエザメが1,000m以上まで潜水することが知られていますが、なぜそんなに深いところまで潜るのかは、まだ分かっていません。
これからも海遊館は、野生のジンベエザメの行動・生態を調査研究して、少しでもジンベエザメの秘密を解き明かしていきたいと思います。
今年もデータ取ったるどぉ~!!!

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