海遊館日記

フジテガニ

フジテガニは、「大阪府レッドリスト2014」で存続基盤が脆弱な種として、準絶滅危惧種に指定されています。
大阪湾では、主に湾南部や淡路島の一部で少数が確認されています。
フジテガニがすむ場所は塩性湿地ですが、自然や人為的な影響で環境のバランスがわずかに変化しても、姿を消してしまう可能性があります。

私がフジテガニを見つけた場所の環境は、海水に浸かることのない潮上部で、ハママツナ(塩性植物)が適度にはえて日陰になり、10~20cm程度の石が積み重なり、石の下の土は湿り気があり、同じ場所にユビアカベンケイガニが見つかる、といった具合です。

ところが、このフジテガニがいるわずかな範囲の場所が、浜の整備事業で整地されかけているとの情報があり、あわてて知り合いを通じて当局にフジテガニの存在を知らせました。

そして先日、現地を訪れて撮ったのが写真1です。

ハママツナの群落は縮小していましたが、何とか1個体のフジテガニを見つけることができました。

このような希少種は、見つけてそっとして置くだけでは守れないのだなと実感しました。
ちなみに、ハママツナも同レッドリストで絶滅危惧種に指定されています。(写真2)

写真1 【見つかったフジテガニ】
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写真2 【ハママツナの群落】
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大阪湾で出会った生き物たち「天保山岸壁のウミウシ2」

 過去の海遊館日記で、「天保山岸壁のウミウシ」として5種類を紹介しましたが、9月上旬に行った調査で新たに2種類を見つけました。

大阪湾で出会った生き物たち「天保山岸壁のウミウシ」

▼1つ目は、まだ和名のないウミウシで、学名がTrinchesia perca とされる種です。
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このウミウシは外来種で、ブラジルやカリブ海が原産とされています。

日本では1992年に三重県津市のヨットハーバーの浮き桟橋で発見されたのが初めての記録です。
同じような内湾環境の大阪湾でも2000年頃に見つかっていたようですが、今回わが天保山岸壁にもひそかに侵入していたことがわかりました。

イソギンチャクを食べるようで、同所でよく見つかるチギレイソギンチャクやタテジマイソギンチャクなどを食べているのでしょうか?

▼2つ目も和名のないウミウシで、Tenellia 属の一種とされる種です。
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刺胞動物のヒドロ虫類についている事が多く、そのポリプを食べているようです。

▼ヒドロ虫の群体にはこのウミウシの卵塊と思われるものが多数見つかりました。
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この2種の同定は、きしわだ自然資料館の柏尾氏にお願いしました。

今回紹介したウミウシ2種は大きさがどちらも数ミリしかありませんが、比較的多数が集団で見つかります。

見つけるには少しコツが必要ですが、港のブイ、ロープ、浮桟橋の浮力体などの付着物の中を注意して探すと見つかるかもしれません。

大阪湾のスナメリのことを知りたい。

連絡を受けて、海岸に打ちあがったスナメリの対応を行いました。
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今回の事例のように、スナメリなどの死亡した生物が漂着した場合、どうするの?って気になりますよね?

海遊館に一度持ち帰り、解剖をします。外からは見ることができない内臓を観察できるからです。
私たち飼育員は動物の死を目の当たりにすることがありますが、頻繁に起こることではないため、スナメリのことを知り勉強になります。

また、どこかに病気がないかとか、骨折はしていないかとか、死因を調べます。
皮膚が残っていれば、遺伝子検査を行って、どの地域に由来するスナメリなのかを知ることができます。
胃の中に魚の骨やイカのカラストンビなどが入っていれば食べ物がわかります。
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違う2個体で胃の中に入っているものが全く違う!何でだろう!!!????

死亡して打ちあがったスナメリは、ほぼ100%腐敗が進んでいて、見るに耐えないし大変くさい!
今日も死因を調べるために解剖しましたが、廊下はすごい匂いになりました。同僚たちは近寄ってこない。
なんかさびしいなぁと思いつつ、まだまだまだまだわからないことだらけの大阪湾のスナメリ。

このスナメリ臭に耐えながら、大阪湾のスナメリのことを明らかにしていきたいです。

アカテガニ

アカテガニは、海から離れた川沿いの土手や林の中などで暮らす陸棲のカニです。
しかし、夏になると河口や海岸に移動して、メスはお腹に抱えたふ化寸前の子供を水中に放ちます。
このメスの行動は放仔(ほうし)行動と呼ばれます。
8月下旬に大阪市の南港野鳥園で行われたアカテガニの放仔観察会に参加しましたのでその様子をお伝えします。

野鳥園に着いたのは18時半ごろ。
野鳥園の干潟は夕暮れどきの美しい瞬間を迎えていました。
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アカテガニの放仔行動は、大潮から数日間の夜の満潮時に集中していることが分かっています。
この日の満潮は20時40分ごろ。
まだ時間がありましが、とにかくあたりが暗くなり始めたので観察に出発しました。
野鳥園の干潟周辺には林があり、この林の中にアカテガニが暮らしています。干潟に行く前にこの林の中を通ってカニの様子をうかがうことにしました。
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林の中をライトで照らすと、いましたいました。
そこらじゅうでアカテガニが動いています。
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干潟に出る10分ほどで百匹近く見たでしょうか。
干潟に出ると普段より潮が満ちてきているのがわかりました。
アカテガニはこの時期をねらって海へ近づくのです。
私を含め十数名の観察者がじっと息をひそめてアカテガニが来るのを待ち、やがて林から移動してきたアカテガニたちの姿を見つけました。
アカテガニのメスのお腹には、ふ化寸前の卵(正確には胚)がぎっしりついています。
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しかし、なかなか海中へ入ってくれません。
やはり観察者の気配やライトの光を気にしているのでしょう。
1時間ほどねばりましたが、結局海水に少し浸かることはあっても放仔行動を見ることはできませんでした。
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この写真は別の場所で撮影したものですが、アカテガニのメスが海水に浸かって体を激しく震わせている瞬間です。
この時、海中に放たれた子供はゾエアと呼ばれる幼生で、親とはずいぶん違う形をしています。
ゾエア幼生は約1ヶ月間海中を漂った後、親の形に近いメガロパ幼生に変態して岸に近づき、やがて稚カニとなって陸へと上がって行くのです。




大阪湾で出会った生き物たち【真夏の暑さに耐える生き物たち】

海岸には、潮位が高い時にも海水に浸ることがほとんどなく、波のしぶきがかかる程度の場所があります。そんな場所にも乾燥に耐えて生きる海岸動物たちがすんでいます。

海遊館前の岸壁にも、干満差の大きい季節の満潮時のみ海水に浸る場所があり、コンクリートブロックを敷き詰めて人が歩けるスペースも確保されています。
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ここは普段、海水に浸ることはほとんどありません。
下の写真が海水に浸かった時の様子です。
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以前調査をした結果、5種類ほどの海岸生物が見つかっています。
そこで、連日の猛暑で彼らはどうしているのかと先日様子をうかがいに行ってみました。

まず見つけたのは、コンクリートブロックが一枚はがれてくぼんだ場所にいたカクベンケイガニでした。
▼カクベンケイガニ
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そしてブロックとブロックの隙間にできた空間にも、マルウズラタマキビと、アラレタマキビが見つかりました。
▼マルウズラタマキビ
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▼アラレタマキビ
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いずれも直射日光を避けて影になった場所を選んでおり、ブロックの下は海水がしみ込んでわずかに湿っていました。

驚いたのはシロスジフジツボです。
▼シロスジフジツボ
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フジツボ類は物に固着して自ら動くことができません。見つけたシロスジフジツボは直射日光の下、じっと乾燥に耐えているようでした。

彼らは殻蓋と呼ばれる4枚の板を固く閉じて少しでも水分が逃げないようにしているようですが、それでも30℃をこえる暑さを耐えぬくのは驚異的です。
さらに、彼らのエサは主に海水中のプランクトンで、1年の内でも特定の時期にしか海水に浸らないこの場所でエサにありついた後、次ぎの大潮まで長く飢えに耐えてるのです。



大阪湾で出会った生き物たち【コアジサシ】

今年も、コアジサシが渡ってくる季節がやってきました。
彼らは4月~6月頃に本州以南の海岸や河川などにやってきます。

そこで、コアジサシを見に大阪湾の海岸にでかけました。 
 
いました、いました!
ちょうど私が見つけた時には、小魚の群れをめがけて狩をしているところでした。
その華麗な狩の技をカメラに収めることができましたのでご紹介します。

まず、小魚の群れの数十メートル上空を旋回し、数秒間空中でホバリングして狙いを定めます。

▼上空でホバリングして狙いをさだめる
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▼次に頭を下にして急降下
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▼水中にダイブ!
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▼水から出てきた時には口に小魚をくわえていました
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おみごと!
 
このコアジサシですが、環境省のレッドリストでは絶滅の危険が増大している種(絶滅危惧Ⅱ類)、大阪府のレッドリストでも、大阪府内において絶滅の危機に瀕している種(絶滅危惧Ⅰ類)とされています。
コアジサシは日本で繁殖を行うことが知られ、大阪湾とその周辺でもわずかな繁殖地があります。
しかし、繁殖地は海岸の埋立地や造成地、河川敷などの草が生えない砂礫地で、人間活動の影響を受けやすく、すぐに土地が改変されるような不安定な場所です。
近年、コアジサシの繁殖に適した場所が減少しているようです。

真夏を迎える前に彼らは越冬地であるオーストラリアなどの南方へと旅立ちます。
コアジサシを絶滅から救うためには、渡りのルートにある国々が協力して保全を進める必要があります。

大阪湾で出会った生き物たち【ホヤの仲間】

「ホヤ」と言うと食用にされる「マボヤ」が有名ですが、海遊館前の岸壁でもホヤがいます。

これまでに見つかっているホヤは、カタユウレイボヤ・シロボヤ・エボヤ・マンハッタンボヤ・スジキレボヤ・ナツメボヤの仲間、イタボヤの仲間など7種類以上になります。

ホヤは岩やロープなどに付着して生活しています。

▼ユウレイボヤの仲間(入水孔を開いて海水を取り込んでいるところ)
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餌は水中に浮遊しているプランクトンなどで、入水孔から海水を吸い込みエラ(鰓嚢さいのう)でこしとり、残った海水は出水孔から吐き出します。
▼カタユウレイボヤが吸い込んだ水の流れ
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ホヤをあまり知らない方でも、私たちヒトのご先祖様かもしれないと言うと興味をもっていただけるのではないでしょうか?

→開催中の企画展「デスモスチルスのいた地球」にて、マボヤを紹介しています。

ホヤの仲間は、卵からフ化するとオタマジャクシ型の幼生として水中を泳ぎ出しますが、尾の部分には、私たちヒトの背骨のもとになる「脊索(せきさく)」が存在するのです。最近の遺伝子解析からも、ホヤが私たちヒトを含む背骨をもつ動物(脊椎動物)に最も近いことが示されています。
ただし、幼生にあった脊索は岩などに付着して生活するようになると体に吸収されて無くなってしまいます。
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ホヤは遺伝や発生学の研究材料として重宝されますが、汚損生物として産業に悪影響を与える場合もあります。
例えば、ホタテガイ養殖のロープに大量に付着して貝を落としてしまったり、ロープを引き上げるのに大変な労力がかかるケースなどがあります。
▼ロープに大量に付着したカタユウレイボヤ
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大阪湾にイルカ!

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前回お伝えした大阪湾のイルカ。

野生のイルカに関わっておられるいろんな方のおかげで、いろんなことがわかりました。

種類:ミナミハンドウイルカ
出身:熊本県天草下島周辺
生まれ:2011年

背びれの特徴を元に個体識別調査をされている、長崎大学・東邦大学・天草ミナミハンドウイルカ
研究グループの方に情報を提供いただきました。
2015年の春までは天草にいた、まだまだ若い個体です。

どのようなルートを通って来たのだろう?どうして1頭でいるのだろう?

疑問は絶えません。野生の生き物のことはわからないことだらけですからね。

このイルカがケガなく、安全に過ごして、どこかの群れに合流できることを願っています。
引き続き、見守っていきたいです。


大阪湾で出会った生き物たち【ワレカラ】(ワレカラファンのつぶやき...2)

先日、ワレカラの特別講座が終了しました。

講師にお招きした阪口先生は、大阪湾のワレカラについて詳しく調査・研究されている方で、興味深いお話を伺うことができました。
▼ワレカラの講義をする阪口先生
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先生によると、大阪湾では約20種類のワレカラが見つかっていますが、湾奥に出現するのは、トゲワレカラ・クビナガワレカラ・ウミモワレカラの3種類にほぼ限定されるそうです。
▼トゲワレカラ
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▼クビナガワレカ
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▼ウミモワレカラ
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海遊館前の岸壁調査でもまさにこの3種類のみが記録されています。
どうもこの3種は海水の塩分濃度が低い方がお好みのようで、特にウミモワレカラは河口域に出現する傾向が強いとの事でした。
講座では、特殊な粘土でワレカラのフィギア作りにも挑戦しました。
▼フィギア作りに熱中する参加者のみなさん
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なるべく実物に近いワレカラを作るため、体の節の数や脚の付き方など細かな部分にも気を使いました。
おかげで参加したみなさんは完成まで1時間以上もかかって苦労しましたが、出来上がった時の達成感はひとしおでした。
なお、阪口先生もこのレプリカ作りに参加され、四苦八苦されながらも完成時にはにっこりと写真に納まっていただけました。
▼出来上がったワレカラフィギアを手にする阪口先生
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ん?すごいものがとどいたぞ。

ある日、私の机に大きな紙袋が置いてありました。
中を空けてみると・・・
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帽子です。しかもスナメリの...びっくり!!かわいい!

大阪湾で活動されている方々に帽子を作って配っておられる方から届きました。

普段はマコガレイとヒラメをモチーフにしたものを作製されているのですが、
「スナメリも...」と以前にお願いしていたものが、今回完成したそうです。
特別バージョンです!

大阪湾にすむスナメリのことを皆さんに知っていただけるような活動を続けることが帽子の代金だそうです。

これから実施するスナメリの活動では、この帽子をかぶって大阪湾にもスナメリがすんでいることをアピールしたいです。
ありがとうございました!

大阪湾で出会った生き物たち「ハマヒルガオ」

5月の中旬、大阪湾南部のハマヒルガオ群生地を訪れると、花が一面に咲いていました。
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花期が5~6月ということで、今が見頃のようです。浜辺の風景とマッチして大変美しく感じましたが、このような砂浜が現在の大阪湾にはどれだけ残っているでしょうか?

1960年頃、大阪湾にはまだ自然の砂浜がたくさん残っていたと言わていれます。
しかし、高度経済成長期の埋め立てや護岸工事などにより、多くの砂浜は消滅し、絶滅した海浜植物も少なくありません。
わずかに残った砂浜や人工の砂浜には今でもハマヒルガオの他、ハマボウフウやハマゴウ、コウボウムギなどの海浜植物が見つかります。
しかし、浜辺は波浪などの自然の力や人間活動の影響を受けやすいため、砂浜全体を注意深く保全していく必要があるようです。

ちなみに、訪れたハマヒルガオ群生地の同じ場所には、ハマボウフウやハマエンドウの花も咲いていました。
▼ハマボウフウ
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▼ハマエンドウ
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大阪湾の風物詩として、いつまでも海浜植物のお花見ができるようであってほしいものです。


大阪湾で出会った生き物たち【イルカ】

海遊館では、大阪湾にすむイルカの仲間、スナメリの調査を行っています。
その関係で、最近ではスナメリ以外にも、ウミガメやサメ、イルカやクジラの情報もいただけるようになってきました。

大阪湾のとある場所にイルカがいるという連絡をいただいたので確認にでかけました。
そこには、背びれのあるイルカの姿がありました。
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普段は群れを作っているイルカのはずですが、1頭だけ。
迷子なのか、好きでいるのか?
見た感じは元気そう。
はやく、仲間たちと合流しなよ~。

その場所では
▼アカクラゲ
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▼スズメダイ
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も観察できました。

大阪湾、おもしろいですよ!


大阪湾で出会った生き物たち「がっちょ」

大阪湾沿岸の南部地域で「がっちょ」と呼ばれる魚がいます。
分類学的には、スズキ目ネズッポ科の魚で、標準和名でネズミゴチ、ハタタテヌメリ、トビヌメリといった複数の魚たちのことを指します。名前の由来は、がつがつと餌を食べるところから、「がっつく魚(うお)」が「がっちょ」となったそうです。

大阪湾では、8種類ほどの「がっちょ」が記録されていますが、主に漁獲されるのはハタタテヌメリとネズミゴチです。
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▲ハタタテヌメリ
底曳網の漁師さんに聞いたところ、近年この「がっちょ」の漁獲量が一時期にくらべ大きく減少しており、特にネズミゴチは殆どとれないそうです。
その理由は、ネズミゴチは砂場にすむ「がっちょ」で、大阪湾では生息に適した砂場が大変少くなったことがあげられます。一方、ハタタテヌメリの方も漁獲量の減少がみられますが、すむ場所が砂場ではなく泥の混じる砂泥底で、「どろがっちょ」とも呼ばれていることから、生息環境の悪化がネズミゴチほど深刻ではないのかもしれません。

「がっちょ」はから揚げにして食べると大変美味で、地域の特産品にもなっています。
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海の環境を守りながら、いつまでも「がっちょ」が食べられるようであってほしいものです。

大阪湾で出会った生き物たち【ワレカラ】(ワレカラファンのつぶやき...)

海遊館前の天保山岸壁では、「トゲワレカラ」「クビナガワレカラ」「ウミモワレカラ」の3種類のワレカラが見つかっています。
▼そのうちの1種「トゲワレカラ」です。
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大きくても2~3cmほどの小さな生き物ですが、見る人によっては「気持ち悪いー」と言われてしまいます。
確かにエイリアン的な感じが漂っていますが、水槽飼育して毎日眺めていると、非常に愛嬌のあるかわいい生き物であることが分かり、私はすっかりワレカラファンになってしまいました。

実は5月28日(土)と29日(日)に、このワレカラをテーマにした特別講座の準備をしており、その時のために飼育に挑戦中なのです。
▼水槽で観察したトゲワレカラのおきまりのポーズです。
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体の後ろにある3対の脚で物にしがみつき、すくっと立ち上がったような姿勢で体を前後に揺らしています。
この動きが大変かわいいのですが、彼らにとってはエサを探している時のポーズで、触覚や第1咬脚を広げることで水中にネットをはったようになり、流れてくる小さなプランクトンなどをキャッチして食べるのです。

また、最近水槽の中でたくさんの赤ちゃんが生まれ、大きさ数ミリしかないのですが親と同じようなポーズで全員そろって揺れているのがこれまたかわいい!
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これ以上書くときりがありませんので、かわいさのアピールはこの辺にしますが、このような小さな生き物の世界にも目を向けてみると、様々な発見があるものです。
5月28日・29日の海遊館特別講座「海の小さな生き物 "ワレカラ" 大研究!」は、現在参加者募集中です。講座ではワレカラの研究者にもお越しいただいたり、特殊な粘土を使って、自分だけのワレカラを作ったりと、充実した楽しい内容です。ぜひ海遊館ホームページからご応募下さい!
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大阪湾で出会った生き物たち「ヘイケガニ」

先日の4月16日にスナメリ調査を行いました。調査終了後、参加者の皆さんと大阪湾で獲れた底曳網の漁獲物を調べました。
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約30種類の生き物を確認することができましたが、その中で参加者の注目を集めたヘイケガニを紹介します。

ヘイケガニは、甲の隆起が怒った人の顔に見えることで有名ですが、それ以外にも歩脚の付き方とその使い方に特徴があります。
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イシガニと比べてみると、ヘイケガニでは3番目と4番目の歩脚が背側を向いていることがわかります。

そして、イシガニでは4番目の歩脚が船のオールのように水をかくために使う扁平な遊泳脚に変化していますが、ヘイケガニでは3番目と4番目の歩脚が短く、その先の節が鉤爪状になっています。
▼第3歩脚先端部の拡大写真
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ヘイケガニは左右2対の鉤爪を使って二枚貝の片方の殻やヒトデなどの生物、木片などを背負って甲の上に固定し、身を隠すのです。
背側を向いた歩脚(もはや歩くための脚ではありませんが)の理由はここにあるのです。

ヘイケガニは内湾の砂泥底にすんでいますが、沿岸開発など人間活動の影響で数が減少している可能性があり、水産庁の「日本の希少な野生水生生物に関するデータブック」では希少種に、都道府県のレッドデータブックでは、地域によって絶滅が危惧される種として取り上げられています。
大阪湾では底曳網によくかかりますが、食用として市場に出ることはなく、生息数についての実態はよく分かっていません。

スナメリを探しにいこう!

4月16日に大阪湾のスナメリ探しを実施しました。

天気はうす曇 ← スナメリを探すにはもってこい!
海の状態は最高
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▲海面がぴたっと波の立たない状態

条件は最高だったのですが、結果は...
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参加者2名がそれぞれ別の場所で1頭ずつ発見でした。
悲しいことに私は見つけられませんでした。
希少な野生動物を探すのは本当に大変なことですが、これからも大阪湾のスナメリについて調査していきたいと思います。




大阪湾で出会った生き物たち「クラゲで季節を感じる」

大阪湾では、水面を漂うクラゲを見ると季節を感じることができます。
4月に入ってすぐ見かけたのが写真のカミクラゲとアカクラゲです。
▼カミクラゲ
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カミクラゲは大阪湾では2月頃に傘の高さが1cmほどの幼体を見かけるようになり、春には写真のような傘の高さ10cmほどの成熟した個体が現れます。
▼アカクラゲ
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一方、アカクラゲはカミクラゲより少し遅れて見られるようになり、5月には成熟した傘の直径が20cmほどの大きな個体が現れます。 
それから初夏にはミズクラゲ、真夏にはアンドンクラゲ、お盆の頃にはユウレイクラゲと続きます。

彼らの多くは生まれてしばらくは海底でイソギンチャクのような「ポリプ」という形でくらしています。
そして、それぞれの種類ごとに季節の訪れを正確に感じとり、クラゲの形に変化して私たちの前に姿を現すのです。

実は漁師さんにとってはクラゲは大敵です。
特にアカクラゲやミズクラゲは大発生する事があり、大量に網に絡みつくと、網が引き上げられなかったり破れたり、漁獲物が傷んだりとさんざんです。
これから夏に向け、漁師さんにとってはミズクラゲの動向に目が離せなくなります。
このミズクラゲについては別の機会にお話したいと思います。

大阪湾で出会った生き物たち「天保山岸壁のウミウシ」

3月の天保山岸壁の生物調査で、5種類のウミウシの仲間が見つかりました。
これは1回の調査で見つかる最多記録です。 
その5種類とは、ヤマトウミウシ、クロコソデウミウシ、ムツイバラウミウシ、シロイバラウミウシ、ウミフクロウです。

▼ヤマトウミウシ
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▼クロコソデウミウシ
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特に、ムツイバラウミウシとシロイバラウミウシは、大きさが数ミリほどでうっかりすると見逃してしまいそうな種類です。
▼ムツイバラウミウシ
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彼らはいったい何を食べて暮らしているのでしょうか? 
ウミフクロウは、ゴカイやヨコエビ、クモヒトデなどの小動物や動物の死体を食べ、仲間同士共食いまですると言われています。
▼ウミフクロウ
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それ以外の4種類のウミウシは、カイメンやコケムシ、ホヤなどの付着動物を食べます。ちなみに、今回の調査で目立った付着動物はイタボヤの仲間でした。
▼イタボヤの仲間
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天保山岸壁には、彼らの餌となる多様な生物がすむ環境が存在しているわけですが、これから先、水温が上がるにしたがい海底付近の酸素濃度が低下し、生物にとっては過酷なシーズンが訪れます。 
小さな彼らにガンバレ!と声援を送りたい気持ちです。


海の中も春♪

春の磯の生き物といえば・・・・!?
少しマニアックな質問ですね。すみません。

私が磯に行って春だなぁって感じる生き物はこちら...

マーケットプレイスのウミウシ展でもおなじみですね。
アメフラシです。
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あったかくなってくると40cmくらいの大きなアメフラシを見つけることがあります。
とってもでっかいですよ。

こう見えて貝の仲間なんです。
つんつんつつきまわすとむらさきいろの粘液を出して身をまもろうとします。

そんなアメフラシたちも年中いるわけではありません。
探しに出かけてみてはいかがでしょう。

春がやってくると気持ちが上がります♪

大阪湾で出会った生き物たち「海苔だ!ワカメだ!イイダコだ!」

とても天気のよい日に、大阪湾でお世話になっている方から声をかけてもらい、船に乗って海上に出かけました。
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その日は朝からスナメリの目撃情報が入り、運がよかったら見られるのでは!!!とわくわくしていました。

まずは、海苔の網のところへ。
シーズンももう終わりなので、今の時期の海苔は少し硬いそうですが、生でもむしゃむしゃ味見させていただきました。
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海苔網から別のところへ移動していると、ワカメを採集している船もみかけました。
ワカメももう少しするとシーズンが終わります。
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四季を海の生き物から感じられるって、自然に生きている感じがしてとても気持ちがいいものです。


そして目的のスナメリが!!!!とお伝えしたいところですが、実は今回の目的はイイダコ漁の体験だったんです。

赤貝の貝殻を用い、貝殻の間に入り込んだイイダコを獲るのです。
手のひらサイズのイイダコたちが獲れました。

残念ながらスナメリを目撃することはできませんでした。
これからのシーズン、海上も、干潟も、磯も楽しくなってきます。
どんな生き物にで会えるかなぁ~♪

大阪湾で出会った生き物たち「イカナゴ」

イカナゴは、毎年今頃の季節になると「くぎ煮」にするためにスーパーなどに出回ります。
しかし今年は大阪湾周辺では獲れる量が少なく、普段の3倍ほども高値で売られることがあるようです。

イカナゴの親は12月~1月頃になると播磨灘や大阪湾の淡路島側の海底の砂場で産卵します。
水温が低い年は産卵量が増え、さらに西風が強く吹くと明石海峡を通って播磨灘側で生まれた子どもが大阪湾に流されてきて豊漁になることが知られています。

今年は水温が高いため産卵量が少なく、風による効果も少なかったようです。
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3月に入り漁の様子をうかがいに出かけた大阪湾南部の漁港で撮ったのが上の写真です。
大きさが5~6cmほどのイカナゴの新仔(しんこ)と呼ばれるものです。

しかし、獲れた量は非常に少なく出荷するほどもなかったようです。
でも漁師さんは、「あかんわ~」と笑顔でした。
実際には大変なのでしょうが、自然相手の仕事ではくよくよしても仕方がないという潔さを感じました。

下の写真は大きさ15cmほどの成魚で、大きくなると30cmほどになります。
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イカナゴの面白い習性として「夏眠(かみん)」があります。
イカナゴは水温の高い夏~秋は砂に潜って動かなくなり、冬になると砂から出て餌を食べそこで繁殖します。
したがって、イカナゴには潮通しがよいきれいな砂場が必要で、近年そうした生息場所が失われてきたことでイカナゴが減少している可能性もあります。

天保山岸壁で新たな発見「コエダカイメン」

先日、「大阪湾海岸生物研究会」という研究者の集まりで、海遊館前の天保山岸壁で調べた生物の調査報告をしました。
2012年から2015年までに記録した生物は約130種類で、意外と多くの生物がすむ場所であることがわかりました。

見つかったものの中には、大阪湾初記録となる生き物がいます。
それは「コエダカイメン」という名前のカイメンです。(正確には、神戸市住吉川河口でも同時期に見つかっています。)

このカイメンの特徴は、名前のように小枝のような細い突起が伸びていてることです。
コエダカイメン.png
しかし、正確に種類を特定するには、体の中に無数にちらばる小さな骨片を調べる必要があります。
今回、専門家に骨片を調べていただき「コエダカイメン」と確認されました。
このカイメンは、天保山岸壁や住吉川河口のような都会の閉鎖的な人工護岸を好むのかもしれませんが、日本での分布や生態はまだよく調べられておらず、詳しいことはわかりません。

汚れたイメージの強い都会の海にも、こうした新たな発見がまだまだあることをあらためて感じました。

大阪湾で出会った生き物たち「漁師さんを待つ者たち」

先日、漁師さんにお会いするため堺市の漁港に行ったところ、まだ漁から戻っていないので港で帰りを待つことにしました。

しばらく辺りを散策していると、漁師さんを待っているのは自分だけではないことに気づきました。
それが写真の鳥たちです。
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左から「アオサギ」「カワウ」「コサギ」です。
(3種おそろいのショットが撮れたのはラッキーでした!)

彼らは漁師さんが持ち帰る売り物にならない雑魚をもらうために待っているのです。 

やがて漁師さんの船のエンジン音が遠くから聞こえると彼らはそわそわしだしました。
そして船が近づくと待ちきれずアオサギが抜け駆けし、一番のりで船の甲板に降りたち、餌にありついていました。
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漁師待ちの者たちには、野良猫も加わります。
船のエンジン音を合図にそこらじゅうから野良猫たちが集まってきます。
海の上で荒々しく働く漁師さんも、待つ者たちを思って雑魚を持ち帰る心優しい方が多いといつも感じます。


「大阪湾の魚介類を食す~メバルの巻~」

春は目の前ですが、寒い日はほんとうに寒いですね。
寒い日の波の音はとてもさびしい音のように感じます。
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さて、みなさん。大阪湾の魚、食べたことありますか?
どのようなお魚が漁獲されているか知っていますか?

阪南地区の魚屋さんを訪ねました。
その日のラインナップはこちら。
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大きなタチウオ、シタビラメの仲間のアカシタ(地方名)、ツチオコゼ。
いけすにはメイタガレイにメバル。

どのお魚もおいしいですが、しっかりと味のあるものを食べたいとリクエスト
したところ、メバルが一番いいというのでメバルを選びました。
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手際よくウロコと内臓を取ってもらいました。
お魚の扱いって難しいですが、やってもらえると、魚料理が楽に感じられますね。

メバルは眼がとっても大きな魚。

「瀬戸内海」水槽でも斜め上を向いて比較的じっとしています。
チリメンモンスターでも登場するお魚ですね。

柔らかくてほわっとした口当たりのお魚でした。(表現が乏しいので勉強が必要です...汗)

季節によって獲れるものは違います。
海の様子も変わってきます。

そろそろスナメリたちも大阪湾で目撃され始める頃です♪


大阪湾で出会った生き物たち 「イトマキヒトデ」

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イトマキヒトデは、大阪湾で普通に見られるヒトデです。
写真のイトマキヒトデは海遊館前の岸壁で採集した個体ですが、場所によっては体表があざやかな青色で赤いまだら模様もはっきりとした個体がいます。
なぜか海遊館前の岸壁ではくすんだ色のものが多いようです。

イトマキヒトデはカニなどの甲殻類や貝類、海藻も食べますが、動物の死がいも食べます。
口のサイズよりもかなり大きなものまで食べますが、その方法は口から胃を反転させて体外に出し、エサをつつみ込んで消化吸収を行います。

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2枚目のイトマキヒトデの写真を見ると、体から白いニョロニョロしたものをたくさん出しているのがわかります。
これは皮鰓(ひさい)と呼ばれる呼吸を行うための器官です。
体表のかたい骨各(石灰質の小さな板がつながっています)の間から内部の膜が飛び出してできたもので、膜内の水圧を変化させて伸ばしたりひっこめることができるようです。
 


大阪湾でも起こっている

私はよく、海岸の様子を観察に出かけます。
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日によって違う海の様子を知りたいですし、きれいな貝殻を拾えたり、貴重な資料を探すことができるからです。


大阪湾の海岸を散策しました。冬とは思えない暖かい日で、日差しもとても気持ちよく、歩くのには最適でした。

ちょっと前にかなり風が強く吹いたときに打ちあがったのか、海岸のところどころに大量にゴミが落ちていました。
ほとんどがプラスチック製の人工物です。
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驚いたことに鳥の死骸もたくさん落ちていました。
1㎞ほどしか歩いていないのに5~6体も落ちていました。これが普通なのか、異常なのかわかりません。
それを知るための散策でもあります。

その中で衝撃的な1羽の死骸...
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お気づきでしょうか。
くちばし。
釣り糸がグルグル巻きです。

私自身、釣り糸が生き物に絡まって死ぬなんて・・・、そんなにないことやろ、なんて軽い考えを持っていましたが、それは遠い世界のことではなく、近くでも起こっていることなのだということを実感し衝撃を受けました。

スナメリの調査をしながら、いろいろと調べていると、プラスチック片を食べてしまったイルカの話や廃棄された魚網に絡まったクジラの話など、私たちが捨ててしまったものが生き物の命を脅かしている話を頻繁に目に、耳にします。

大阪湾の魅力を伝えながら、大阪湾の現実も皆さんにお知らせしたいと思っています。

大阪港の巨大生物?

海遊館前の天保山岸壁から大阪港を眺めると、その巨大生物を目にすることができます。
と言ってもそれは、コンテナ埠頭にそそり立つ巨大なクレーン群です。
見る角度によって巨大なキリンに見えませんか?
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「大阪湾で出会った生き物たち」に登場させるのはどうかと思いましたが、夕日の沈む時に見たそれは、なんだかアフリカの草原を旅するキリンの群れのように感じたのです。
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みなさんもそう想いませんか?
ここ天保山岸壁は、美しい夕日が見られるスポットとして隠れた名所となっており、多数のファンの憩いの場でもあります。
夕暮れどきの一瞬は、海と巨大なキリンたちとそれを見る人々のシルエットが一体となる出会いの瞬間でもあります。
 


大阪湾で出会った生き物たち 「イヌノシタ」

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このユニークな顔をした魚は「イヌノシタ」です。
大阪湾の底曳き網でとれたものです。
動物の舌にそっくりで、同じ大阪湾でとれるアカシタビラメやクロウシノシタなどと合わせて舌平目(したびらめ)と総称されます。

イヌノシタの眼が並んでいるのがよくわかります。そしてこの写真は、背中と言いたいところですが、「体の左側」を写しています。

舌平目の仲間は、小さい頃に右側にあった眼が口の上の隙間を通って左側に移動するという離れ業を行います。
そして、「体の左側」を上に、「体の右側」を下にして、海底に横たわるようになるのです。

おもしろい事に、口は、海底と接する「体の右側」の下方に向けて開くようになっており、砂に潜ったゴカイなどを吸い込むように食べます。
写真のイヌノシタの上部に少し写っている穴のようにみえるのがその口です。

彼らの祖先は普通の魚のように眼が両側にあり、水中を泳いでいたと考えられています。
なぜ、水底に横たわるようになったのでしょうか?
確かに底には身を隠し易く、餌も豊富そうです。

このようなユニークな顔に進化するだけのメリットはあるのでしょうね。

大阪湾で出会った生き物たち 「特別な触手を持つイソギンチャク」

海遊館前の岸壁には数種類のイソギンチャクの仲間が見られます。
ある時、とれたイソギンチャクを水槽に移して写真を撮っていると、
そのイソギンチャクの触手(しょくしゅ)の間から、他とは明らかに違う、太く長い触手が伸びてきました。

▼触手を出し始めた様子
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▼触手が伸びたところ

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この触手はキャッチ触手と呼ばれ、特定のグループのみが持ちます。
普通の触手には毒を含んだ刺胞という武器がたくさんついていて、餌となる生き物を麻痺させたり、敵を撃退します。

ところがこのキャッチ触手の刺胞は、自分と同じ仲間に対しての攻撃に使われるそうです。
ただし自分の体が分裂して生まれたクローンに対しては攻撃しないとか。
イソギンチャクは仲間同士でもなわばり争いを繰り広げているのですね。
ちなみに、なぜ水槽に移しただけでキャッチ触手を伸ばしたのかは不明です。

大阪湾で出会った生き物たち「イッカククモガニ」

イッカククモガニはクモガニ科のカニで、眼と眼の間に1本のトゲがあることからこの名前が付けられました。
もともと日本には分布していなかったカニで、アメリカの太平洋沿岸やコロンビア沿岸が原産地です。
1970年代に東京湾や伊勢湾・大阪湾などで発見され始めました。
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イッカククモガニは海遊館前の岸壁では夏の一時期を除いてほぼ1年中見られます。水底にヘドロがたまっているようなところでも平気でくらせる水の汚れに強いカニですが、夏場の水質悪化には耐えられないようです。

体全体に藻やゴミなどをつけていることが多いので、動きだすまでゴミのかたまりにしか見えないこともあります。

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大阪湾で出会った生き物たち「海苔を育てる」

大阪湾で海苔が作られていることをご存知の方は、それほど多くないのではないでしょうか。
そもそも、私は海苔というものが海藻の一種で、冬の時期にしか採れないということを最近まで知りませんでした。

実際のところ、大阪湾で海苔を育てているのは、阪南地区にある3軒の漁師さんたちです。
スナメリの聞き取り調査で立ち寄った際に、海苔網の近くまで連れて行って頂きました。

海面のところどころにブイが浮いていますね。
港から500mほど沖合いに出たところです。海の上は気持ちいいです!
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おいしい海苔を育てるためにはメンテナンスは欠かせません。
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今年はなかなか気温が下がらなかった影響で水温も下がらず、海苔があまり育ってくれていないそうです。

ようやく冬らしい気候になってきたので、海水温も下がるはず!

おにぎりを握ったら大阪湾で育った海苔を巻きたいなぁ。

大阪湾で出会った生き物たち「アミメハギ」

本種はフグ目カワハギ科に含まれ、日本沿岸の温帯域に普通に見られます。
特に岩礁の藻場や内湾のアマモ場でよく見かけます。
最大でも 8cmほどの小型種です。
大阪湾でも普通に見られますが、海遊館前のコンクリート護岸で見つかる個体はいつも4cmぐらいまでの小さな個体です。
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同じ大阪湾でもアマモ場で見た個体は体色がアマモの色そっくりの緑色でした。
どうやらまわりの環境によって体色が変わるようです。

クリクリ動く眼やおちょぼ口が非常に可愛いい人気者ですが、水槽で飼育する場合には注意が必要です。
他の同居人?の餌をつついて横取りしてしまうやんちゃぶりで飼育係泣かせの一面があるのです。
そういえばアミメハギの学名Rudarius ercodes にあるRudariusには「野蛮な性質」という意味があるそうです。

大阪湾で出会った生き物たち「アイゴ」

アイゴは、亜熱帯~熱帯性の魚ですが、日本沿岸の温帯域にも分布を広げています。特に近年は温暖化の影響で分布が北上している可能性や海藻を好んで食べることから海藻を食い荒らし藻場を衰退させる食害も指摘されています。
大阪湾では、湾口に近い南部に設置された定置網で初夏から晩秋に漁獲されます。湾奥の人工護岸で見ることは稀ですが、2012年から2~3ヶ月に一度行っている海遊館前の岸壁調査では昨年の10月、初めて大きさ4cmほどのアイゴの稚魚が見つかりました。

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このところ大阪湾でも水温が平年より高めに推移している影響かもしれません。大阪湾の漁師さんが「海がおかしい・・・」と言っていたのが思い出されました。

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