Project Talk

部門を横断し、現場主導で企画したエトピリカ特別ツアー

絶滅危惧種の海鳥・エトピリカのヒナの人工保育を、特別ツアーとして実施するまで。
現場の提案を起点に、部門を越えて進められたプロジェクトの過程を、関係者の対談形式で振り返ります。

  • 営業部
    運営チーム
    (2008年入社)
  • 営業部
    運営チーム
    (2023年入社)
  • 飼育展示部
    海獣環境展示チーム
    (2015年入社)
  • 飼育展示部
    海獣環境展示チーム
    (2024年入社)

Q.プロジェクト発足の経緯を教えてください

  • エトピリカが暮らす「アリューシャン列島」水槽がリニューアル工事の為、バックヤードでの繁殖期を迎えました。ベストな環境でない中、受精卵を得ることが出来ましたが卵が割れるリスクが高かったため人工孵卵、人工保育に取り組みました。結果的に孵化は自力では難しく、獣医に助けてもらっての孵化になりましたが、その後は状態も安定し、順調に回復していきました。そうした経過を振り返る中で、「この経験を何かの形で伝えられないか」と考えたことが、今回の取り組みのきっかけです。

  • そうでしたね。
    飼育側から相談を受けて、エトピリカについて、より深く知っていただくきっかけや、魅力を発信する方法として何ができるかを一緒に考え始めました。

  • 相談を受けたときは、既存のバックヤードツアーの枠組みを使えないかというところから検討を始めました。ただ、人工保育は専門性が高く、通常のツアーと同じ考え方では難しいと感じました。

  • 検討を進める中で、エトピリカに特化した形でなければ、安全面や内容の理解という点でも成立しないという結論になりました。その結果、人工保育をテーマにした特別ツアーとして企画することになりました。

Q.立場の違いから見えてきたこと

  • 他部署と一緒に進める中で印象的だったのは、視点の違いでした。特に、飼育の立場からすると、価格設定については正直戸惑いがありました。

  • 営業の立場では飼育の知見が乏しい状態で内容調整を進めていたため、生きものとお客様をどこまで近づけられるのか、どこまでの体験を提供できるのかが分からず、戸惑いがありました。

  • その中で、私たちとしては「生きものを最優先にする」という考えを大切にしていましたね。少しでも負担になるようなことは絶対にしないと決め、また成長スピードや事務手続きを最優先で取り組むようにしていました。

  • また実際に営業の方にもツアー体験していただいたことで、私たちだけでは分からなかった体験の貴重さや、お客様の満足度について気づくことができたのは、大きな学びでした。
    募集の方法についても、満足度をより高めるために「体験できる内容はあえて募集時には伝えない」という考え方に至ったことは、他部署と一緒に企画したからこその気づきでした。

Q.お客様からはどんな反応がありましたか?

  • このような機会はなかなかないと、みなさんに喜んでいただけたことが印象的でした。大人だけでなく、参加したお子さまが「楽しい」「次はいつあるの?」といった声を寄せてくれるなど、次回の参加を楽しみにしてくださる様子も見られました。
    また、エトピリカの姿を間近で見られる機会が少ない中で、イベント終了後には「エトピリカが好きになった」と言ってくださる方も多くいらっしゃいました。

  • 販売開始から3日間で、予約枠21日分がすべて埋まる完売状況となりました。空き枠がなく、お断りするケースも複数あったことから、多くの方に関心を寄せていただいていることを実感しました。
    また、参加中のお客様の様子としては、うなずきながら解説を熱心に聞いてくださったり、エトピリカを間近で見て思わず感動の声を上げたりと、その魅力をしっかり感じ取っていただいている印象を受けました。
    エトピリカや生きものがもともと好きな方が多い中で、実際にエトピリカの姿を至近距離で見ていただいたことで、最初のわくわく感をさらに上回るような笑顔や、「可愛い」といった声が聞けたことが特に印象に残っています。
    わずかな期間しか見ることのできない雛の姿をお客様に届けることができて、本当に良かったと感じた瞬間でした。

  • アンケート結果では、満足度は100%という評価をいただきました。
    中でも印象に残っているのは、エトピリカの雛を間近で見て思わず涙を流されるお客様がいらっしゃったことや、彼女さんの誕生日プレゼントとして参加してくださったカップルがいたことです。以前からエトピリカの展示をよく見てくださっていた方に、この体験を届けられたことは、とても嬉しく感じました。

  • 心配していた価格面についても、「価格はもっと高くても良い」といった反応がありました。
    また、「みなさん初めて見る姿に感動していて、子どもたちも終始楽しそうだった」といった声や、同年代の方が親御さんと一緒に参加してくださるなど、幅広い世代の方に関心を持っていただけたことも印象に残っています。
    最初はそこまで興味がなさそうだった方が、最後にはとても熱心に見てくださっていたこともあり、この体験の価値を改めて感じました。

Q.今回の取り組みで得た学びと、次につなげたいこと

  • 当社が総合職採用であることで、今回は飼育展示部の勤務経験がある運営チーム社員と一緒に企画を担当することができました。そのため、飼育展示部との連携が円滑に進む場面が多くありました。 他部署の業務内容やバックヤードの構造を理解した状態で話を進められる人がいることは、ジョブローテーションを取り入れている当社の特長の一つだと感じています。 エトピリカに限らず、他の生きものにもスポットを当て、飼育展示部と連携しながら魅力を伝えるツアーを企画していきたいです。

  • イベントの企画や実施を通して、エトピリカに限らず、他の生きものでもイベントを行い、より多くの方にその魅力を伝えていきたいと感じました。今回の取り組みをきっかけに、今後もさまざまな生きものの魅力発信に取り組んでいきたいです。

  • また機会があれば、積極的に企画に関わっていきたいと考えています。
    他の担当生きものについても、既存の枠にとらわれないオリジナルのイベントを企画し、ジンベエザメに負けない魅力を発信していきたいです。

  • 何かを企画すること自体が初めてだったため、すべてが自分にとって学びとなりました。今回の経験は、今後また企画に関わる際にも役立つと思います。
    また今後は、アシカやアザラシの生態について実際に体感しながら、飼育員の話を聞けるツアーを企画してみたいです。