ヤコウチュウ

大阪湾でも春を感じる季節がやってきました。冬のあいだ海の中は透明度が高く、きりりと澄んでいますが、生き物の姿はあまり見かけません。しかし、水温が上昇し始めると、様々な生き物が活動を始めます。プランクトン生活をするヤコウチュウもその一つで、春頃から急にその数が増えます。ヤコウチュウが大量に集合すると海水がピンク色に染められた様に見え、「赤潮」と呼ばれます。

【写真1】がヤコウチュウによる赤潮の写真で、場所は淡路島の大阪湾側です。

ヤコウチュウは渦鞭毛藻類に属し、大きさは1~2mmほど。拡大した【写真2】ではリンゴのような形に見えています。ヘタのように見えるのは触手です(矢印)。
ヤコウチュウはこの触手を使って、水中に漂う植物プランクトンや分解途中の有機物(デトリタス)、魚卵などを捕まえて食べます。ヤコウチュウは体に刺激を受けると青白く光ることも知られています。
この点、ウミホタルと間違われることがありますが、まったく違う者同士です。大阪湾のウミホタルについてはまた別の機会にご紹介します。

港の中などで、流木やゴミが吹き溜まっている場所があれば水中を覗き込んでみましょう。丸く小さなつぶつぶが無数に漂っているのが見えれば、ヤコウチュウかもしれません。

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