ナデシコカンザシゴカイ

先日、大阪湾の外来種として知られている ナデシコカンザシゴカイ(以後ナデシコと省略。) を湾奥の港で見つけました(写真1)。

原産地は北米東岸の大西洋とされ、外国船の出入りが多い大阪湾には、船体に付着して知らない間に持ち込まれたようです。自由に動き回るゴカイの仲間が、どうして船体に付着するの?と思われるかもしれませんが、ナデシコは、石灰質の管(棲管)を分泌してその中で暮らしています。

写真2 がその棲管で、様々な物にしっかりと付着します。船体に付着した場合は、原産地から遠く離れた港にまで連れて行かれることもあり、条件があえばその地で子孫を増やしてしまうのです。

ナデシコは棲管から外に出ることはなく、管の先から鰓冠(さいかん)と呼ばれる部分(写真1参照)を広げ、流れてくるプランクトンや浮遊物をキャッチして餌にしています。写真3がその様子です。ナデシコカンザシゴカイの学名Hydroides dianthusのdianthusは、植物の撫子(なでしこ)からきています。ナデシコの学名をつけた人は写真3のような様子を見て、撫子の花が咲いているよう見えたのでしょうね。

 大阪湾には、近い種類の外来種としてカサネカンザシゴカイもいます。本種は、他の地域では大量に集まった棲管が大きな塊りとなり、送水管を詰まらせたり養殖のカキに付いたりして問題を引き起こした例が知られています。大阪湾では、本種やナデシコによる被害はまだ聞きませんが、今後も注意をしてゆく必要があり、海の生態系への影響も心配です。

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