動物たちも歯は大切

先日、カリフォルニアアシカ「しずく」の歯の処置を行いました。
「しずく」がまだ若い頃、「モンタレー湾」水槽内の擬貝(ニセモノの貝)を噛んで遊ぶ行動が見られていました。
「しずく」にとっては楽しいオモチャだったのですが、あまりにも擬貝に夢中になってしまい、歯が削れてしまいました。
その後は、もっと楽しくて歯に優しいオモチャをプレゼントしたことで、それ以上歯が削れることはなかったのですが、削れた歯の根元が化膿してしまいましたので、処置をすることにしました。

もちろん麻酔をかけて処置します。
最初、鎮静のクスリをオシリに注射します。

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軽く眠れば、処置する場所に移動して、バイタル(体温、心拍、呼吸など)をモニタリングする機械をセットし、気管にチューブを入れて麻酔ガスを吸わせ、血管から輸液ができれば、処置スタートです。

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思った以上に歯が磨耗して歯髄(いわゆる歯の神経)が見えている状態でした。
ヒトなんかは、歯医者さんの言うことを理解できるので、何回でも通院して治療できます。
しかしカリフォルニアアシカの歯をヒトと同じ方法で治療するには、何回も麻酔をかける必要があり、「しずく」にもストレスがかかります。

またカリフォルニアアシカの歯は、魚を捕まえるための歯であり、その魚を咀嚼(そしゃく:食べ物を咬み切り砕くこと)することはないので、数本抜歯しても問題はありません。

ということで、今回は問題のある歯を抜歯することにしました。

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問題の歯を抜歯した後は、無事に覚醒しました(写真はまだフラフラしているところ)。

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まだ飲み薬は飲んでいますが、今は「モンタレー湾」水槽で暮らしています。

「しずく、遊びが好きなのは分かるけど、残りの歯は大切にしてね」

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