大阪港の意外な一面

 大阪港は大都市の国際貿易港ですが、港内やその周辺で漁業も営なまれていることをご存知でしょうか?アジやイワシ、ボラなどの群が回遊してくる時期には巻き網漁が行われ、刺し網やカゴを使って底にすむカサゴやアナゴなどの魚類やマダコなども漁獲されています。

先日、大阪港で漁をする漁師さんに、カゴで獲れた生き物を見せてもらいました(写真1)。ムラサキウニ、マナマコ(アカナマコ)、クロアワビ、サザエがみられましたが、これらは閉鎖的な内湾よりは外海に面した海藻の茂る岩場に多い生き物たちです。

では、大阪港でこのような場所があるのでしょうか?
実は、大阪港の一部の人工島周辺には、石やブロックを積みあげたゆるやかな傾斜をもつ護岸(緩傾斜護岸)が作られ(写真2-1)、ここでは海藻が良く育っているのです。緩傾斜護岸は垂直護岸(写真2-2)に比べ海藻の成育に効果的なことや、人工島周辺が港の奥に比べ潮通しも良いことが影響していると思われます。海藻が多ければ、それを食べるウニやサザエ、アワビなどが増えるわけです。

生き物がすみにくい大都会の海でも、環境を整えることで生き物が戻ってくることを示す良い例だと思います。


▼【写真1】:大阪港でカゴを仕掛けて漁獲された生き物

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【写真2-1】:人工島に設置された、緩傾斜護岸。垂直護岸にくらべ海藻の生育が良く、様々な動物も集まる

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【写真2-2】:大阪港内の垂直護岸。ほとんどの人工護岸はこの様な形に作られている。

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