赤潮(あかしお)

 3月中旬、いつも調査に行く漁港であっと驚くことがありました。海の色が、一面に赤茶色になっていたのです!(写真1)。1月に行った時の写真(写真2)と比べてもらうと、その驚きもわかってもらえると思います。これは、植物プランクトンが大繁殖することで起こる「赤潮」と呼ばれる現象です。
種類を調べてみたところ、渦鞭毛藻類(うずべんもうそうるい)の「アレキサンドリウムの仲間」だとわかりました(写真3)。ソロバン玉のような形の細胞が特徴で、一つの細胞が0.03mmほどの大きさしかありません。こんな小さな生き物が、港の中一面を赤茶色にしてしまうのですから、その数は相当なものです。春先には、同じ渦鞭毛藻類のヤコウチュウによる赤潮も見られます。ヤコウチュウについては、2017年3月19日の記事をご覧下さい。

 ところで、アレキサンドリウムの仲間には「まひ性の貝毒」を引き起こす種類がいることが知られています。アサリなどのニ枚貝がこのプランクトンを食べて毒化し、その貝を食べた人が中毒をおこすことがあり、潮干狩りの際は要注意です。(市販されている二枚貝については心配ありません。)詳しい情報は、大阪府立環境農林水産総合研究所ホームページ大阪府ホームページ をご覧下さい。


【▽写真1】3月、「赤潮」発生時の様子

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【▽写真2】1月の様子

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【▽写真3】渦鞭毛藻類 アレキサンドリウム属の一種   写真撮影:唐澤 恒夫 氏

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