コウボウムギ

海辺の砂浜や礫浜、砂丘などに好んですむ植物を海浜(かいひん)植物と言います。4月中旬に大阪湾南東部の海岸で見かけた海浜植物が、コウボウムギです(写真1)。ムギと名がつきますが、コムギやオオムギなどの仲間ではありません。

コウボウムギは雌株と雄株に分かれて群生しますが、訪れた時はちょうど開花時期で、雄花と雌花を見ることができました。花といっても花びらはなく、花序(かじょ)と呼ばれる多数の花が集まるやや円柱状の部分から多数の「おしべ」や「めしべ」が見えています(写真2)。種子は海水に長時間浮くため、潮の流れで遠くに運ばれ、分布を広げることが可能です。ただし、大阪湾では自然の砂浜がほとんどなく、人工の砂浜は潮の流れの問題や人間による過度の踏みつけによる影響などがあり、うまく定着することは難しいようです。

コウボウムギは、大阪府のレッドデータリストで「絶滅危惧Ⅱ類」に指定され、「大阪府内において絶滅の危険が増大している種」とされています。大部分が人工護岸におおわれてしまった大阪湾では、わずかに残された生息地を大切に守ってゆく必要があります。

【▽写真1】

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【▽写真2 右が雄花、左が雌花】

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