海遊館日記

西表島出張準備中

近々、また西表島へ展示生物の採集に行くことになりました。
西表島での採集には、事前の情報収集が欠かせません。何の情報を集めるかというと、「採ってはいけないもの」に関することです。

西表島には国立公園の特別保護地区や天然保護区域など、すべての生物の採集が規制される場所があります。また、天然記念物や種の保存法により指定されて、地域を定めず許可なく採集できない生物もたくさんいます。

イリオモテヤマネコやカンムリワシといった有名な希少種のみならず、よく見られる種でも採集規制のある場合があります。たとえば、オカヤドカリ類は海岸にたくさんいるのですが、全種が国指定の天然記念物なので、勝手に採ることはできません。また、フチトリゲンゴロウのように、最近、種の保存法で指定された種もあるので、要注意です。

そのようなわけで、西表島に行くには、事前に環境省の保護官の方とよく相談し、採集する場所と種類について、計画を立てます。また、国有林に立ち入ることになりますので、林野庁の管轄部署に申請して入林許可をいただく必要があります。

さらに、西表島には採集規制のされていない貴重種もたくさんいます。法的な規制がないからといって、やたらと採っていいというわけではありません。このあたりは、自然に対するマナーというもの。たとえば、フチトリゲンゴロウに近縁なヒメフチトリゲンゴロウは現在のところ西表島では採集規制はありませんが、減少の著しい希少種です。これを多数採集するのはやはり許されざる行為といえましょう。

展示として、西表島の自然を紹介するに足るほど魅力的で、なおかつ多少採集しても現地の自然を損なうおそれのない生き物。案外難しいものです。

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▲飛ぶカンムリワシ


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