外来種で思ったこと

海遊館前の天保山岸壁には、接岸する船が岸壁に当たるのを防ぐため、クッションの役割をするフロート(防舷材(ぼうげんざい)とも言います。)が付けられています。先日、このフロートを1年ぶりに掃除するため、陸揚げしている現場に立ち会いました(写真1)。

どんな付着生物がいるかと、ワクワクして見てみると、写真2のような状態でした。びっしりと付いた生物を調べたところ、ムラサキイガイ・コウロエンカワヒバリガイ・ヨーロッパフジツボの3種(写真3)で占められていることがわかりました。この3種はすべて外来種です。付着量を調べるため、15㎝×15㎝の枠を当ててその中の個体を数え、全体数を推定してみました。結果は以下の通りです。

■ムラサキイガイ:520個体      → 全体で約130,000個体
■コウロエンカワヒバリガイ:224個体 → 全体で約55,000個体
■ヨーロッパフジツボ:88個体    → 全体で約20,000個体

まさに外来種の天下ですね。これらの外来種は、1980年頃にはすでに大阪湾に広く分布していたようです。
今回の話題では、外来種を悪いイメージでとらえてしまうかもしれません。確かに、人間に健康被害を与えたり、大量に発生して産業に影響を与えたり、生態系を変えてしまうこともあります。しかし、もとは人間が外国や他の地域から目的を持って、あるいは知らないうちに持ち込んでしまったわけで、生き物たちに罪はありません。反対に、人間に役立っている外来種もいます。

外来種問題は、人や物が世界中を移動することで広がった結果と言えます。もはや世界は一つだということは、今回の新型コロナウイルスの問題にもつながり、考えさせられます。



【写真1】引き上げられたフロート

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【写真2】 フロートの表面にびっしりとついた生物

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【写真3】①ムラサキイガイ ②コウロエンカワヒバリガイ ③ヨーロッパフジツボ

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