珍クラゲと同居人

ここ最近の「海月銀河」の展示が非常に充実しております。

というのも、元クラゲ担当が以布利センターへ赴任し、クラゲハンターとして日夜柄杓を手に港を走り回ってクラゲを採集し、海遊館に送ってくれるためです。
本当にありがたすぎます。

というわけで、最近入ってきた珍クラゲとその同居人を紹介しますね。

それがこちら、「アマガサクラゲ」です。

【2月16日追記】
※アマガサクラゲと同定しておりましたが、触手の数等を改めて確認したところ、同種ではない可能性が出てきましたので、現在アマガサクラゲであるかを再調査中です!
(調査結果が分かりましたらブログでお知らせします。)


2402_amagasa_01.jpg
到着時、クラゲ担当一同で「展示したことあるアマクサクラゲかなぁ。でも何か違うなぁ。」と思っていたのですが、ちょうどクラゲの研究者さんが来られたので見ていただいたところ、アマガサクラゲであることが発覚しました。
水族館であまり見かけないクラゲの登場に担当一同、沸きました。ひょえ〜。
もちろん、海遊館では初展示です。

水族館であまり登場しない理由としては、
・100m以深に生息しているため、なかなかお目にかかれない
・クラゲの前身である、ポリプを所有している水族館が少ない

...という感じになります。
担当者は、「何とかポリプを出してくれぇ!」と毎日水槽を凝視し、拝んでいます。

図鑑で見るよりは、傘と口腕(こうわん、傘の真ん中から伸びる部位)は小さいし、触手の数も少ないので、まだまだ成長するのではないか...?と淡い期待を込め、いろいろな餌を試しています。
食欲は旺盛のようで、これまでミズクラゲやイサザアミをはじめ、少しだけ同居していた毒の強いオキクラゲも(!?)食べてしまいました。

そんなアマガサクラゲを観察していた、飼育係員が一言。
「なんか、この個体にフジツボついてません?」

そんなアホな。と思いながら見ると、しっかり蔓脚(プランクトン捕獲用の器官)を出す、フジツボの仲間のエボシガイが付いているではありませんか。わぁ。

2402_amagasa_02.jpg
調べてみると、こちらは「クラゲエボシ」というエボシガイの一種で、よく見られる岩のような殻ではなく、透明な殻でクラゲのみに付着するという珍しい特徴があります。
フジツボの中には、ウミガメや深海性のカニ等、種類を限定して着生するものがあるとは知っていましたが、まさかクラゲver.もあるとは...。

こういったフジツボを見る度に、なんで君らそんな不安定な場所を生活の土台にしてるの???という疑問の念を抱きますが、フジツボからすると「ほっといて!」という話なのでしょう。

というわけで、珍しいクラゲと不思議な生き方をするフジツボ、両方見ることができる「一粒で二度おいしい」水槽が「海月銀河」に登場しました!

なお、こういった珍客は、飼育が難しく長期展示できない場合が多いので、気になる方はお早めにご来館ください!

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