以布利通信62 どうやってくっついてる!?

こんにちは 以布利センターです。
突然ですが、みなさんはコバンザメ科の魚はどのようにしてくっついているのかご存知ですか?
以布利センターではコバンザメ科のナガコバンがジンベエザメに付いている様子が観察できます。
今日はコバンザメ科の魚がもつコバンの仕組みについてお伝えしたいと思います。
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コバンザメ科の特徴として、頭の背中側に第1背鰭が変形した吸盤があり、
吸盤には板状体(小判の茣蓙目(ござめ)=横線にあたるひだ状のもの)をもち、大型の海洋生物に吸着します。

この板状体が他の生物に吸着するために欠かせない構造になっています。
板状体を立てて吸着部の体積を増やし、圧力を下げる(真空に近い状態にする)ことによって吸着できるようになるのです。
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さらに、赤色の枠で囲んだ部分を詳しく見てみると...
板状体が細かいざらざらになっていることで、物理的に吸着するものにひっかかりやすくなるようです。
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そして、離れるときや遊泳する際には板状体を倒し、吸着部の圧力を外部と同じにすることによって、吸着部を外すことができます。
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このように、コバン(吸盤)部分は背鰭が変形したものであるので、魚が背鰭を遊泳の際に立てたり倒したりするのと同様に、コバンザメも板状体を立てたり、倒したりすることで、くっついたり離れたりができるわけです。

余談ですが、実はコバンザメ科の魚は美味なのです。
食べたことがある方は珍しいのではないでしょうか。漁業者の中でも好んで食べる方もいるほどで、私も珍しさから、定置網に入ったナガコバンをいただきました。

コバンザメ科の魚はサメと名前につきますが、学術的にはマアジやマダイなどと同じスズキ目の魚に分類されます。サメのような独特な臭いはなく、クセの少ない白身です。
是非、気になった方は機会があれば食べてみてくださいね。

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