調査・研究
2022年06月01日
タテスジトラザメ(幼魚)
ヤッコエイ(幼魚)
オヤビッチャ(幼魚)
「初繁殖認定」とは、日本動物園水族館協会(JAZA)の加盟園館における飼育下での繁殖技術の向上とその蓄積が生物学的記録の一つとして学術的に寄与することを目的に、諸条件を満たした種について国内初繁殖として認定されるものです。 今回認定された3種の中で、タテスジトラザメは孵化までの日数や、飼育下での成熟サイズ・年齢まで分かりました。 海遊館では旧繁殖賞を含め、13種の生き物が初繁殖認定されており、今後も生き物たちの展示と繁殖を通じた生態解明や魅力を発信していくと共に、種の保存や環境保全に関わる様々な調査研究活動に貢献してまいります。
今回、3種の国内初繁殖に成功しました。水族館で繁殖することは、うまく飼育できていることだと思うのでとても嬉しいです。タテスジトラザメにおいては、これまで成熟年齢が分かっていませんでしたが、2015年に海遊館で生まれたメス個体が昨年産卵したことから、飼育下ではありますが本種の成熟年齢やサイズが分かりました。
このように、ただ繁殖するだけでなく、その経緯や経過を記録することで少しずつかもしれませんが生態解明に迫ることができるので、今後も様々な生物種の繁殖を積極的に促進できればと思います。

英名 : Pyjama shark
学名 : Poroderma africanum
南アフリカ沿岸の固有種で、トラザメ科に属するサメの一種。
体表にある特徴的な縦スジ模様が名前の由来になっている。
海遊館では2005年より飼育、2014年に初繁殖。 現在はバックヤードにて飼育中。

英名 : Bluespotted stingray
学名 : Neotrygon kuhlii
北海道以南からインド洋に分布するアカエイ科に属するエイの一種。
背中に青や灰色の斑点模様が見られる。
海遊館では2013年より飼育、2017年に繁殖。 現在は「アクアゲート」にて飼育展示中。

英名 : Indo-Pacific sergeant
学名 : Abudefduf vaigiensis
日本を含むサンゴ礁や沿岸地域の岩礁などの温かく浅い海に広く生息しているスズメダイの一種。
体長は20cm程になり、体側にある5本の縞模様が特徴的な魚。 今回繁殖に成功したオヤビッチャは2019年より飼育を始め、2020年に繁殖に成功。 現在は「アクアゲート」、「グレート・バリア・リーフ」水槽、「モルディブ諸島」水槽にて飼育展示中。
2025.11.20
ニュース
水中からメリークリスマス!「サンタダイバー」が登場します
2025.11.19
生きもの情報
飼育員が人工保育した絶滅危惧種の海鳥「エトピリカ」の展示決定!!
~12/1(月)より「アリューシャン列島」水槽にてご覧いただけます~ 2025年12月1日(月)に、同年4月9日よりリフレッシュ工事中の「アリューシャン列島」水槽が再オープンします。これに合わせ、バックヤードで飼育員が人工保育したエトピリカの幼鳥(1羽)がデビューします。今回デビューするエトピリカは、2025年8月25日にバックヤードで誕生しました。誕生直後から飼育員が親代わりとなり、エサやりや体重測定を行って育てています。10月20日からは飼育員が一緒にプールに入って遊泳訓練を重ね、成鳥と同じように泳げるようになりました。現在は水鳥らしい姿になってきましたが、成鳥に比べてクチバシが小さく黒ずんだ色をしており、まだまだ幼くあどけない姿をご覧いただけます。▼飼育員による遊泳訓練の様子 【エトピリカの幼鳥について】 ・産卵日 : 2025年7月18日(金)・孵化日 : 2025年8月25日(月)・性 別 : 不明・体 重 : 54g(孵化直後)→ 610g(2025年11月19日時点)※生きものの状況により予告なく展示を中止する場合がございます。 エトピリカの担当飼育員からのコメント まずは「アリューシャン列島」水槽という新しい環境に早く慣れてほしいです。またバックヤードでしっかり遊泳訓練しましたが、まだまだぎこちない泳ぎ方でとても愛らしいので、たくさんのお客様に幼鳥の間だけの魅力をご覧いただきたいです。 【エトピリカについて】 英名 : Tufted puffin学名 : Fratercula cirrhata北太平洋の亜寒帯域に広く生息する海鳥で、現在、日本国内では北海道の一部地域でのみ繁殖が確認されているものの、その数は少なく、環境省レッドリストにて絶滅危惧IA類に分類されている。
2025.10.31
調査・研究
ジンベエザメの身体測定を実施しました
11月1日(土)の "計量記念日" を前に、10月31日(金)に「太平洋」水槽で飼育展示中のジンベエザメの全長・胴回りの計測を行いました。 結果は以下のとおりです。 全長 胴回り 推定体重 推定年齢 海(かい)/オス 5 m 30 cm昨年(4 m 70 cm) 2 m 60 cm昨年(2 m 30 cm) 1,100 kg昨年( 700 kg) 8~9 歳 遊(ゆう)/メス 6 m 20 cm昨年(6 m 20 cm) 2 m 70 cm昨年(2 m 60 cm) 1,800 kg昨年(1,800 kg) 18~19 歳 「海」は、昨年 10 月 2 日の搬入時に比べ、全長で 60 cm、推定体重で 400 kgも大きくなりました。「遊」は全長には変化ないものの、胴回りが 10 cm 大きくなっています。全長から体重を推定しているため、昨年と同じ推定体重になりますが、増加している可能性が高いと推察されます。 海遊館では、まだ詳しい生態がわかっていないジンベエザメの生態研究や健康管理の一環として、定期的に身体測定を行っています。飼育員が水槽に潜ってエサを食べている最中のジンベエザメにメジャーを当て、全長と胴回りを実測し、推定体重を割り出しました。 計量記念日を通して生きものたちが元気に成長する様子を紹介し、海遊館の健康管理の取り組みや、自然環境について興味をもっていただきたいと考えています。