海遊館

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Blog 海遊館の舞台ウラ

展示のこだわりや、赤ちゃん情報、生きものたちの普段の様子など、
現場ならではの裏側をのぞいてみませんか?新しい発見がたくさんあるかも。

イトマキエイの繁殖に関する論文が出版されました!

海遊館ではイトマキエイを飼育展示しています。イトマキエイの情報は海遊館のホームページをご覧ください。→ 生きもの図鑑「イトマキエイ」光に照らされたイトマキエイの背中の色は非常に美しい藤色で見る者を魅了します。現在飼育展示している個体は2015年11月に高知県にある以布利センターからやってきました。輸送の詳細は 機関紙「かいゆう」(Vol20) をご覧ください。イトマキエイの野生個体数は減少傾向にあるため、現在は絶滅の危機に瀕していると考えられています。そのため本種の生態解明が求められていますが、世界中の外洋(海の沖)に生息する生物であり、追跡調査が困難なことから、成熟までの年齢は?サイズは?交尾方法は?妊娠期間は?など、まだまだ生態に謎が多いのが現状です。このような場合に同一個体を追跡調査できる水族館は、研究にうってつけなのです。 海遊館では2015年〜2022年までオスとメスを飼育しており(残念ながらオスは2022年に死亡)、本種の長期飼育を実現し、2021年には世界で初めて交尾行動を確認しています。→ 海遊館ニュース「世界初・イトマキエイの妊娠を確認しました」嬉しいことに、その後メスには赤ちゃん一個体の妊娠が判明し、2023年5月に世界で初めてとなる、飼育下で出産を確認することができました。しかし、産まれた赤ちゃんは遊泳不良が見られ、獣医を中心とした飼育員による懸命な処置を行いましたが、出産後10時間で死亡してしまいました。→ 海遊館ニュース「イトマキエイの出産と赤ちゃん死亡のお知らせ」イトマキエイの繁殖は簡単にはいかないと痛感したとともに、野生のイトマキエイのために、この知見をなんとか世の中に残すべく、できる限りの記録を集めてまとめました。その結果、国際学術誌へ論文を投稿し、2025年1月に掲載されました!→ Zoo Biology | Zoology Journal | Wiley Online Libraryこの論文は、要約のみ無料で閲覧可能となっておりますのでご興味がある方はぜひご覧ください。今回の事例は今まで知られていなかった事も多く、本種の保護や保全のために重要な生態学的基礎情報を提供することができました。今後は、本論文を参考に他の研究者による調査研究・保全活動が実施されることが期待されます。このような観察を行えるのは水族館の特性であり、今後もイトマキエイをはじめ様々な生物の調査研究を行っていきたいと思います。

イトマキエイ

2025.04.19

  • #イトマキエイ

花と魚

桜もいよいよ散り際ですね。3月末より4月頭まで「ぎゅぎゅっとキュート」ののぞき窓では「お花見」をテーマとし、花や花見に関わる生きものを紹介していました。当館にいる花の名前がついた魚はバラフエダイ(「太平洋」水槽)スミレナガハナダイ(「グレート・バリア・リーフ」水槽)ヤマブキベラ(「パナマ湾」水槽)名前に「花」がつく魚はとても多く、ハナビラクマノミ(「グレート・バリア・リーフ」水槽)やハナヒゲウツボ(「いのちぐるぐるサンゴ展」)などがいます。今の時期にぴったりのサクラダイは以前は「アクアゲート」で展示していました。他に、今はいないけど花の種名をもつ魚はいないかと探してみました。その1)アヤメエビスは「パナマ湾」水槽にいました。赤に白い縞の魚なので、アヤメの紫はどこに?と思いましたが、花のアヤメは鼻に網目模様があったことが名前の由来ということですので、アヤメエビスもそのあたりからきているのかもしれません。その2)コギクザメは2015年に開催した特別展示「シャークワールド~ハンターたちの捕食に迫る!~」で標本として展示していました。詳細はこちら → 「続・怪しい人たち」 鱗の形がキクのように見えませんか?その3)イバラエイは1999年に開催した企画展示「なんこつぎょるいの世界~オーストラリアからやってきたなぞのエイ世界初公開!~」で展示していました。「前にイバラエイを展示してたよねー」とまわりに聞いても皆首をかしげるばかり。私の記憶違い?とゆらぎ始めた時、ちょうど古参係員が出張から帰ってきました。彼に聞くと「あー "ソーニーレイ" やろ?おったで」と。そうそう、ソーニーレイだ!英名は「ポーキュパインレイ」ですが、当時和名はまだはっきりしておらず、搬入先のオーストラリアでは「ソーニーレイ」と呼ばれていたため、当館ではそのように表示したようです。体表の背中部分に小さなトゲが多数あるので「イバラ」。このエイの皮は「かいらぎ(梅花皮)」と呼ばれ、刀剣の鞘(さや)や柄(つか)などの装飾に使われるそうです。棘は楯鱗(じゅんりん)と呼ばれるウロコであり、その形は梅に似ているというのがおもしろいですね。写真は以前、地下鉄の駅などにおいていた「海遊館とベイエリアのおもしろ情報誌」からです。花にちなんだ魚の名前は「色」からきていると思い込んでいましたが、「ウロコ」からもきているのがわかり、魚名って本当に奥深いなあと思います。

魚類

2025.04.18

春の知らせはカヌレと共に

3月の寒さも残るある日、岩壁調査に行った普及交流チームのメンバーがクラゲ担当の私に、「カヌレみたいなクラゲがいる!」とお知らせが。カヌレってあのお菓子のアレですか???なんじゃそりゃ???と採集されたクラゲ(?)を見て、私は一言。「カヌレやん」真っ先に思い浮かんだのが冠(かんむり)クラゲ目ですが、形状があまりにも違う...。以布利センターの元クラゲ担当を含む、クラゲ界隈にも聞いてみましたが、「ナニコレ???」状態。しばらく飼育してみるも、3日くらいでしぼんでしまいます。そもそも摂餌をしていないみたいです。その後も何個体か採集できたので、しばらく観察してみると、何やら側面にコイル状の模様があるのに気づきました。これってもしかして...春先によく見かける、「カミクラゲ」の生殖巣やないかーい!衰弱して触手や内臓の部分が抜け落ちて、このような形状になってしまったと思われます。(クラゲ界隈のみなさま、その節はお騒がせしました!!!!m(_ _)m )ということは、いつも行くクラゲ調査地点では、もうカミクラゲが発生している...ってコト...?※海遊館近くの岩壁は川の水が混ざっているので、クラゲ採集にはあまり適していません後日、クラゲ調査に行くと、カミクラゲを採集することができました!もちろん、さっそく「海月銀河」へデビューしてもらってます!それにしても、まさか春の訪れをカヌレで感じることになるとは思いませんでした(笑)「海月銀河」ではカミクラゲをはじめ、春先に見られるクラゲを続々と展示しています!海遊館に訪れた際には、カヌレではなく、クラゲで春の訪れを感じてみてくださいね〜!

無脊椎動物

2025.04.12

  • #クラゲ
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