海遊館

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Blog 海遊館の舞台ウラ

展示のこだわりや、赤ちゃん情報、生きものたちの普段の様子など、
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ツバキの思い出

10月30日朝、コツメカワウソのツバキが死亡しました。20歳2ヵ月のカワウソ生でした。2005年8月1日に生まれたツバキ。今年の誕生日のようすは以下のとおりです。→ 「Happy birthday !」ブログで紹介したとおり、8月頃に痙攣発作を起こしたのですが、その後も何回か発作を起こし、そのたびにもうだめかもと思いました。それでも次の日には復活して「ツバキ強いな~」と言われていて、このままずーっといくんじゃないかと思っていました。数日前に朝の掃除に入った際も、温水をためたプールで「ふぇーっ」いう感じでつかっていたし、前日も普通に餌を食べ、夕方にはザクロと一緒に寝袋にくるまったのに...。次の日の朝、係員が部屋をのぞくとザクロ1頭が起きてうろうろしており、ツバキは寝床で冷たくなっておりました。穏やかな性格のツバキらしい最期だったように思います。当館では生後2ヵ月ごろに係員がこどもたちに離乳食を与える練習をします。ミルクと魚やキャットフードをまぜたものを口に入れるのです。ツバキも兄のイブキとともにそれを行いましたが、神経質な兄は係員に対しブーブー怒るのに、ツバキは餌をぱくぱくと食べ、餌の途中でうとうとする余裕があるほどです。きょうだいなのに違うもんだな~、ツバキは大物になるぞと密かに思ってました(笑)。▼生後2ヵ月のツバキ母コウメが次の年に出産した際は「日本の森」で母と仮の父や兄、叔父、祖父と共に弟たちのお世話をしていました。この時、カワウソは9頭展示で、「日本の森」の展示数としては最大でした。ツバキと兄はお世話といっていいのか?生まれて間もない弟たちをくわえて巣箱から出したり、そのまま入水したりするので、両親は戻すのに疲労困憊、私たちは「あー頭打った~」「底まで沈むのやめて~」と大慌てです。でも、弟たちは無事育ちました。カワウソ強い。その後、ツバキは2009年にシュロたち4きょうだいを出産、次に「王子」と呼ばれていたひとりっこゴボウ、そしてロックやグミたちを育てました。一番印象に残っているのは最初の子育てです。ちょうど特別展示「発見!体験!ふれあいライブ館」を開催しており、そこで相方のソラとともに、4きょうだいと一緒に展示したのです。ソラが子育てにとまどっていたこともあり、ツバキは獅子奮迅。こどもを移動するために1頭を口にくわえ、残りの3頭を両脇に抱え込み、時にはまとめて押しながら4頭同時に運ぶという荒業を発するため、見守るこちらはハラハラしておりました。肝っ玉母さんぶりを発揮したツバキです。また、ツバキは運動能力が非常に高く、捕まえようとしてもぴょーんと跳ねて逃げ、バックヤードでは金網をスルスルっと上り、天井にあがったはいいもの?の降りてこられらくなることもありました。下で「私が受け止める!」と大手を広げていましたが、私に当たって降りました。今も当時の担当者に会うと必ず出る話は、新しくカワウソ担当になった飼育員が体重測定を行うため、体重計を持って入り、よいしょと床に置いたその瞬間。体重計にかけより、体重計の足についているゴムをくるくるっと回して取り外し、水に入って向こう岸に行ってしまったのです。▼ゴムは赤で囲った部分(このカワウソはツバキではありません)体重計が傾いてガターンと倒れ、何が起こったのかわからずに茫然としている飼育員の顔が忘れられません。素早くゴムを回す様子は職人のようでした。末娘のグミと一緒にニフレルにお目見えしたこともありましたね。本当にいろいろなツバキの姿が思い出されます。ツバキ、20年間楽しかったね。そちらにいるお母さんやおじいちゃんたちによろしく伝えてほしいです。

コツメカワウソ

2025.11.17

  • #コツメカワウソ

水中超音波検査

今回は、水族館における「超音波検査」=通称「エコー検査」についてのお話です。超音波検査というと、産婦人科でお腹の中の赤ちゃんの様子を診断する検査といえば分かりやすいかもしれません。超音波は空気中では伝わりにくいので、病院で検査をするときには、トロっとしたゼリーを塗って①プローブ(探触子)を当てて検査をします。これは体とプローブの間に空気の層ができないようにする目的があります。逆に超音波が得意なのは水(液体)。空気中では伝わりにくい超音波ですが、水中では空気中の約5倍の速さ、約1500m/秒で伝播することが知られています。例えば魚群探知機でも超音波が使われていますし、イルカやクジラのエコロケーションも超音波を利用しています。水族館といえば水!つまり、超音波検査は水中で暮らしている生きものに対しては非常に有用な検査方法なのです。水中で検査を実施すれば、魚達を捕まえたり、水から上げる必要がなくなり、検査によるストレスが軽減できるメリットもあります。ただ、超音波検査の機械は精密機器で、水がかかっただけでも壊れてしまいます。ましてや海水は、機械の天敵。だとすれば、機械を丸ごと水から保護してしまえば、水中に持ち込めるのでは?と考えられたのがハウジング作戦です。水中撮影で使用されるカメラは、カメラを水中に持ち込むためにハウジングという専用の防水容器に収納して使用されています。それと同じで、②超音波検査の機械専用のハウジングを使用して、超音波検査を水中で実施したらいいのです。簡単に「専用のハウジングを利用して」と言いましたが、そんなハウジングは残念ながら簡単に手に入れるわけではありません。そこで海遊館では、(一財)沖縄美ら島財団の協力を得て、水中超音波検査を実施しています。海遊館での検査は、まだ試行中。これまで、マンボウやヤイトハタ、シノノメサカタザメやジンベエザメの水中超音波検査を実施しました。今後も、健康管理を目的に水中超音波検査を実施していく予定です。何か大掛かりな機械を水槽に持ちこんでいるダイバーがいたら、それは水中ハウジングを使用した超音波検査をしているのかもしれませんよ。

調査・研究

2025.11.11

餌のおわりを信じられないアザラシたち

生きものたちの給餌の最後には「餌はおわりだよ」というサインがあります。そのサインをみた生きものたちはスッっと飼育員の前からいなくなります。しかし、そのおわりサインを信じることができないアザラシがいるのです。ということで、海遊館で暮らしているアザラシたちのおわりサインを見た後の反応をご紹介します。まずはスッと帰るパターン。 こちらはゴマフアザラシの美桜です。サインと同時に水中へ帰っていきました。普段はアシカのおこぼれも狙う食いしん坊アザラシですが、それはそれ、これはこれ、なようです。 こちらはゴマフアザラシのショウです。サインを見て、一息ついてから帰っていきました。続いてうまみタイムを入れてから帰るパターン。※うまみタイムとは... 飼育員が勝手に名付けた、餌終了後に食べた餌を思い返しているような様子のことです。 こちらはゴマフアザラシのナナです。うまみタイムをしていましたが、後ろから来たダイヤの圧に負けて水中へと帰っていきました。 こちらはゴマフアザラシのしげのぶです。一番うまみタイムが長いアザラシです。飼育員がもう一度おわりサインを出すとやっと帰っていきました。続いてちょっとチェックしてから帰るパターン。 こちらはゴマフアザラシのラピスです。飼育員の足元に餌が落ちていないかチェックしてからすこし名残惜しそうに帰っていきました。そして皆様お待ちかね、餌が終わったことを信じられないパターン。 こちらはゴマフアザラシのダイヤです。海遊館で一番食いしん坊なアザラシで、おわりサインをみてもずーっと催促するように鳴いています。そして飼育員の目をとても見つめてきます。ちなみにこの後、飼育員がダイヤの目の前からいなくなるまで何度おわりサインを出しても帰りませんでした(笑) こちらはワモンアザラシのユキです。ユキもかなり食いしん坊アザラシです。おわりサインをみても信じられず、ずーっと飼育員の目を見つめてきます。まだありますよね?といわんばかりに見つめてきますが、最後は諦めて帰っていきました。まだ食べたそうなアザラシたちですが、体重等を見ながら餌の量を調整して健康管理はきちんと行っています。ですので、ご安心くださいね!皆様も海遊館でお食事タイムを見る際は、アザラシたちの餌を食べ終わった後の帰り方にも注目してみてくださいね!最後に番外編として、帰りたくても帰れないパターンをお見せします。 こちらはゴマフアザラシのおんぷです。おわりサインを見て帰ろうとしますが、そこにはダイヤが!!どうしようとばかりにキョロキョロ。最後は飼育員が板でガードした隙に帰っていきました。

哺乳類

2025.11.09

  • #ゴマフアザラシ
  • #ワモンアザラシ

性別が変わる魚たち

先日「瀬戸内海」水槽にコブダイが1匹入りました。もともといたコブダイと比べると、名前にもあるコブがないなどの違いがありますね。今回入ったコブダイ↓先に展示されていたコブダイ↓今回入ったコブダイはメスの個体です。先に水槽に入っていたのはオスのコブダイで、比べると大きさ、そして頭のコブがあるかないかの違いが良くわかりますコブダイは大きくなるまでメスで、成長するとオスになりコブが出てきます。このメス→オスに性転換(性別が変わること)することを雌性先熟といいます。他にもハタやハゼの仲間も雌性先熟の性転換をする種類がいます。雌性先熟に該当するハナダイの仲間逆にオス→メスの性転換をする魚もいます。こちらは「グレート・バリア・リーフ」水槽で示されているクマノミやクロダイ等が該当します。こちらは雌性先熟の反対で雄性先熟といいます。雄性先熟に該当するクマノミそして一部のハゼの仲間などはメス→オス、オス→メスの両方に性転換できる種類もいます。魚類にとって、性転換というのはよくあることなのかもしれません。このように魚類が性転換する理由としては多くの子孫を残せるよう、生存競争を有利に進めるためだと考えられています。雌性先熟では、初めはメスで、大きくなってからオスになると、縄張りを広く守ることができ、多くのメスと子孫を残せる可能性が出てきます。逆に雄性先熟では、一番大きな個体がメスになれば、より多くの卵を産むことができるため、子孫を残しやすくなります。とくにコブダイなどのブダイの仲間やハナダイの仲間はオスとメスで姿かたちが違う種類もいるので、ぜひ水槽をよく観察してみてくださいね。

魚類

2025.10.31

  • #コブダイ

この木なんの木?(街路樹)

海遊館の前には街路樹があります。これは観覧車の近くで撮影したものですが、海遊館側(写真左)にあるのはクスノキ、その対面(写真右)にあるのはイチョウの木です。そういえば、ちょうど今、道端に銀杏が落ちてます。で、何が気になるかというと、この街路樹の区画に見かけるこの木です。これは街路樹として植えたものなのでしょうか?でも、横にはイチョウの木があるし...。弁天町付近で生えているのをみたら、そうではないように思えます。それから注意して、いろいろな場所の区画を探すと、あちこちに見られるのです。この木は前からあったっけ??こちらは大阪港駅までの道の途中にある建物の前に生えているものですが、こんなに大きくなるんだ!と驚きました。調べてみると、この木はセンダンという木です。センダンは落葉高木で、暖地の海岸近くに自生しますが、公園などに植えられたものが野生化していることも多いそうです。樹高は一般的に10mくらいですが、高いものだと30mに達するとのこと。花は初夏に紫の花をつけ、写真で見ると美しいです。花があれば気になりそうなもんなんだけど、その時にはまったく気づいていませんでした。結実は10月ごろからで、ヒヨドリやカラスはよく食べるそうですが、毒性の強いサポニンを多く含むため、人や犬、猫は食べないように注意が必要とのこと。葉はその昔、農家で除虫に用いていたそうです。私がこの木を気にするようになったのは、葉の形がウルシの仲間にも似ていて、通行時に触れた際にかぶれるかも、と思ったためですが、かぶれるとの記載はありませんでした。更にセンダンについて調べると、衝撃的なのは平安時代には重罪人の首をその枝にかけてさらしたり、センダンの木材は首を切った罪人の頭部を晒す「獄門台」として用いることがあったとか...。なぜこの木を使ったのかは定かではありません。ついでに、大阪の街路樹について興味を持ったので、調べてみると、大阪市内ではセンダンを植えている地域が多くあるようです。特筆すべきは、土佐堀川にかかる橋で、淀屋橋と北浜の間は栴檀木橋(せんだんのきばし)というこの木の名前がついた橋があるそうです。市内を歩く時はまた探してみようと思います。最近、この近くでセンダンが増えたのは、市内で実を食べた鳥たちが運んできたのかな?と思ったり、いろいろ想像がふくらみます。

植物

2025.10.29

飼育員が聞いている音

皆さんこんにちは。海遊館で使われているアクリルパネルはとても分厚く、お客様側からはなかなか生きものたちが奏でる音が聞こえません。そこで本日はアクリルパネルの向こう側で飼育員が聞いているいろんな"音"について紹介します!まずは、ワモンアザラシのユキユキは自分のお腹を叩いて音を鳴らすことができます。 実はこの腹叩き、アザラシが威嚇をする際によく取る行動なのです。にしても、ユキの腹たたきは音に迫力があってたまりません!(笑)続いては、同じくワモンアザラシのアラレが出す音「ブーン!」です。 実はアラレのこの音も、威嚇の時によく出す音なのです。同じ水槽で暮らすモヤが近づくとアラレはよくブーンと鳴いています...。(ユキとアラレの動画は、飼育員によるトレーニング時のものです。)最後にカリフォルニアアシカの親子、アスカとハクの声をどうぞ! アスカは大きな声で今年の6月に生まれた我が子ハクを呼び、ハクもまた母の呼びかけにしっかりと答えています。この二頭のやり取りは子育て中の期間限定で聞ける声なので意外と貴重なんですね!!海遊館に足を運んだ際には、アクリルパネルの向こうの音に耳を澄ませると、もしかしたら生きものたちが奏でる音が聞こえてくるかもしれません♪

ワモンアザラシ

2025.10.28

  • #カリフォルニアアシカ
  • #ワモンアザラシ

エトピリカたちもそろそろ衣替えの季節!

皆さんこんにちは!暑く長い夏もやっと終わり最近は夜も肌寒くなってきましたね。そろそろ半袖から長袖に変える時期になってきました!海遊館で暮らしているエトピリカたちも同じく衣替えの時期を迎えているんです!鳥類は換羽といって古い羽が抜け落ち、新しい羽に生え変わる生理現象で、エトピリカは1年に2回換羽を行い、夏羽と冬羽を使い分けています。以前のお伝えしました「お引っ越し後のエトピリカ!!」で上げていたエトピリカたは顔がまっしろな夏羽になっていました!しかし最近のエトピリカはというと、、、 白い羽が所々抜けており真っ黒な羽に生え変わり始めています。またエトピリカの代表的な飾り羽も冬になると抜けてしまう為、全く別の鳥のように見えますよね!他のエトピリカはというと・・・ まだ夏羽が残っているようですが、飾り羽が抜けきっていない子は飾り羽が眉毛のようでとても可愛らしく見えます!そして、こんな落とし物もありました! 陸上だけでなく水面にも様々な大きさの羽が落ちており、このタフトという黄色の羽は夏羽時に生えていた頭部の飾り羽です!!一年でもこの時期しか味わえないことなのでとても嬉しい瞬間で、私はタフトを見つけるとなんだかラッキーな気分になれます!現在「アリューシャン列島」水槽はリフレッシュ工事中ですが、随時、エトピリカの近況報告はお知らせいたしますので楽しみにしてくださいね。

鳥類

2025.10.24

  • #エトピリカ
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