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サメやエイの呼吸

前回、魚たちの呼吸というブログで、一般的なお魚(硬骨魚類)の呼吸について紹介しました。 今回はサメやエイ(板鰓類)の呼吸について、硬骨魚類との違いや特徴をご紹介したいと思います。サメやエイも魚類です。魚は水中生活をしているので、肺ではなく鰓を使って水中の酸素を取り込んでいます。それはサメやエイの仲間も同じです。鰓に水を流す方式が、ポンプ方式とラム換水方式の2種類あるのも同じです。 では、硬骨魚類とサメやエイ(板鰓類)はどんな違いがあるのでしょう。 硬骨魚類とサメやエイはエラの外部形態が大きく違います。 硬骨魚類は鰓蓋(えらぶた:鰓を覆うフタ構造)が左右にそれぞれ一つあり、外側から鰓は見えません。▼ヒフキアイゴ一方、サメやエイには鰓蓋はなく、鰓孔と呼ばれるスリット状の穴が左右に5-7対開いています。▼イヌザメ鰓孔呼吸の際に鰓孔が開くと板状に並んだエラが外からも確認できます。これが、サメエイの仲間が板鰓類と呼ばれる由来とも言われています。また、多くのサメやエイには、目の後方に噴水孔と呼ばれる穴が開いており、これは水の取り込み口として機能します。 ▼トラフザメの噴水孔 噴水孔は底生性のサメエイでよく発達していますが、外洋性や遊泳性の高い種類では水の抵抗を極力小さくするため、噴水孔は退化しているといわれています。▼エイラクブカの噴水孔例えば底生性のエイは、口がお腹側に付いており、その口が底に接して水の取り込みを塞いでしまうため、口から水を取り込むのは効率的ではありません。 口だけでなく噴水孔からも水を取り込み、鰓に水を流します。 【エイの呼吸】 噴水孔の発達や退化は、それぞれの種の呼吸様式にも関係しています。サメやエイも、硬骨魚類と同じポンプ方式とラム換水方式の主に2つの呼吸様式を持っています。ポンプ方式を取るサメは、底でじっとしているタイプの底生性、低遊泳性の種類(ネコザメやイヌザメ、ドチザメなど)で、噴水孔がしっかりと発達しています。【イヌザメの呼吸】 反対にラム換水方式を取るサメは、外洋性、遊泳性が高い種類(シュモクザメ、ツマグロなど)が含まれます。▼シュモクザメ2つの呼吸方式、どちらも行うサメやエイもいます。こちらはエイラクブカの呼吸です。【エイラクブカのラム換水呼吸】 【エイラクブカのポンプ方式呼吸】 口を開けて泳ぎほとんど鰓孔が動かないラム換水方式と口と噴水孔の開閉によって水を取り込み呼吸するポンプ方式、どちらも使い分けているようです。サメやエイたちの呼吸、とっても奥が深いのです。ぜひ水族館に来た際は、呼吸にも注目してみてくださいね。

魚類

2026.08.02

⑭北極圏への道2026 もう1つのお仕事

航海も終盤に差し掛かってきました。北極圏での観測を全て終え、船は日本に向けて航海を続けています。今日のお話は「講義」についてです。私たちは生きものの収集だけでなく、航海後半から乗船されている「公開実習プログラム」の実習生の方々へ、水族館飼育員として生きものや仕事内容について講義をするというもう一つの乗船目的があります。公開実習の詳細はこちら⇒ArCS III おしょろ丸公開実習そんな講義のお話に入る前に、皆さんは覚えておいででしょうか?⑤北極圏への道2026で、私たちは日付変更線を超えたために「6月27日」を2回経験することになりました。そして、帰りにもう一度日付変更線を超えた時、〇月×日がなかった事になる...。それはいつだったのか?発表します。デケデケデケデケ...デン! 「7月20日(海遊館開業記念日)」でした!!(UTC...世界の標準時間 JST...日本の時間 SMT...船の時間)世間では36歳を迎えた海遊館ですが、私たちはまだ35周年イヤーが続くということで、もう1年盛り上がっていきたいと思います。では本題の講義へ。今回のお題は「採集」です。おしょろ丸航海や2016年のカナダでの北極圏生物収集、その他国内での採集まで、それぞれの採集方法についてお話ししました。 実習生の皆さんは自然や生物学だけでなく、経済学や教養学、農学といった様々な専攻の方が参加されています。普段とは違った視点の質問をたくさんいただき、私たちも刺激になりました。 午後は外に出て飼育体験です。水槽の仕組みを解説した後、餌やりと水槽掃除を体験いただきました。真剣に取り組む皆さんを見て、新米飼育員だった頃の懐かしい気持ちが蘇りました。いや、今も真剣に仕事してますけどね?そんな実習生や北海道大学の学生さん、研究者の方々と過ごす旅ももうすぐ終わりです。日本が近づいてじわじわ暑くなっていますが、自分も生きものたちも体調を崩さないよう、最後まで気を抜かずに頑張ります!

北極圏調査2026

2026.07.31

  • #北極圏

⑬北極圏への道2026 荒れる海とかわいい目

航海の後半が始まり、再びベーリング海峡を抜けてチャクチ海に入りました。予定通りに航行すると海峡通過時に荒天になりそうだったので、手前の陸地を風よけに停泊して一晩やりすごしたのですが...シリーズ④ の時以上の大揺れ!外は危険なので船の中で待機して、風がおさまった午後から水槽の様子を見に行きました。 山場を越えたとはいえまだまだ波が高く、船とぶつかる度に白波と細かい泡が周囲を包みこんでいます。激しい海は怖さを感じさせますが、同時に泡が少し沈んだ時の水色がとても綺麗で、ずっと見ていたくもあります。あとこの色を見ているとソーダフラッペが飲みたくなる。船の上では毎日バリエーション豊かなおいしいご飯を食べられますが、やはりないメニューもあるので、そんな食べ物、飲み物たちが日本に帰る楽しみの1つです。...そろそろ水槽の様子を見に行きます。今日は生きものたちの中から、貝のなかまをご紹介。 まずは北極の生きものとしておなじみのハダカカメガイ(クリオネ)。ですが、頭から触手のようなものが伸びていますね。これは「バッカルコーン」という器官で、獲物を捕らえる時に活躍します。採集した時に餌である「ミジンウキマイマイ」という貝の殻が一緒に入っていたので、獲物の気配に反応していたようです。バッカルコーンに目がいきがちですが泳ぎもまたすごい...!普段の優雅な泳ぎとは一転、どう猛なハンターの一面が垣間見えます。次は「ベッコウタマガイ」のなかま(中央のオレンジ)。貝殻は柔らかい体に覆われていて、一見ウミウシのようにも見えます。そして何よりこの貝、\ 目がカワイイ! /普段は体の上部に隠れがちだけど、時折見える小さな「・」目が妙な愛くるしさ?を感じさせてくれます。まだまだ航海は続きますが、皆さんにお披露目できる日を目指して、これからも生きものたちのお世話を続けていきます。

北極圏調査2026

2026.07.28

  • #北極圏

オシドリの夏

「日本の森」のオシドリです。皆さんのイメージするオシドリ雄はこんな感じだと思います。でも、あれ?雄はどこ?実は一番左にいるのが雄。拡大してみましょう。換羽のなごりか、左の喉のあたりにぬけかけた羽がありますね!ちなみに雌はこちらです。オシドリなど水鳥の仲間の雄は繁殖期が終わると、地味な色合いに変わります。これをエクリプス(eclipse)といいます。eclipseの意味は「日食」や「月食」を指す名詞であり、また、「影を薄くする」という意味をもちます。繁殖期は雌にアピールするため派手な色合いの羽になっているのですが、そうでない時期は雌と同じように地味な色合いとなります。これは敵から身を守るためと考えられています。つまり、オシドリは年に2回換羽を行い、雄の場合、夏羽は地味、冬羽は派手になるということ。以前、夏羽から冬羽に変わるようすはブログでお知らせしました。オシドリ雄の羽のうつりかわり当館でオシドリの繁殖行動が見られるの3~5月ごろ。でも、上記ブログを見ると、当館では7月の終わりごろから冬羽の準備が始まるようなので、エクリプス期の雄を見られる期間は実は非常に短いのではないでしょうか。これを見ると夏がきたと思います。

鳥類

2026.07.26

  • #オシドリ

⑪北極圏への道2026 北極の町比べ:後編

ノームの町を歩くこと2時間、ようやく山の麓までやってきました。Anvil Rockのあるこの山は標高335mと函館山とほぼ同じ高さで、所要時間も30分程度とのことだったのですが...。登ってみると結構傾斜がキツイ!!舗装もされていないので砂利で足を取られないように気を付けながら登っていきました。靴が泥だらけになると聞いて水産長靴で挑んだことを後悔です...(-_-;)舗装といえば、ノームの道路は多くが未舗装でしたが、一部の道路や空港の滑走路は舗装がされていました。大きな重機が行き来していたので、それも理由の1つかもしれません。カナダのケンブリッジベイは、空港の滑走路を含め、全て未舗装でした。着陸時はそのことは知らなかったのでまだしも、「土の滑走路」と知った上で臨む離陸はこわかった...。話を山に戻し、ぜぇぜぇ息を切らしながら1時間で頂上にそびえたつAnvil Rockに到着しました!鍛冶の金床に見えることから「Anvil Rock(金床岩)」の名前が付いたそうで、町のシンボルになっています。ここからの眺めも最高でした...!見下ろしてみるとノームの町は家はまばらなことがわかります。ケンブリッジベイは家同士が隣り合ってぎゅっとまとまっていて、こうしたところにも町の違いを感じました。景色を堪能した後は、別の登山道から下山しました。こちらは車で行き来するルートなので道が広くてなだらか。行きのルートを降りるのは危険すぎるので、もう一つ道があって良かったです笑運動不足を解消できたし、緑もたくさん見れたし、すごくリフレッシュできた1日でした!とはいえ、まだ航海は半分残っています。また運動不足になりながら、今度は暑い夏の日本に帰ることになるので、暑さに耐えられるのかどうか不安になってきました...。前半の反省を活かして、船の上でできるエクササイズを探してみようと思います(笑)

北極圏調査2026

2026.07.25

  • #北極圏

⑩北極圏への道2026 北極の町比べ:前編

函館を出港して20日目。アラスカ州の町「ノーム」に到着し、航海の前半が終了しました!ノームはかつては金鉱、今は犬ぞりレースで有名な町で、ベーリング海峡の南にあります。前回のブログで少し登場したチャクチ海は航海後半にももう一度訪れるので、その時に調査のことを詳しくお話ししたいと思います。船内で入国手続きを済ませ、3週間ぶりの陸へ!踏みしめる土の感触、視界に入る緑の心地よさ...普段過ごしていると当たり前だったこともすごく素敵に感じます。さて、目指すは港から正面に見える山。この頂上にある「Anvil Rock」という岩を目指し、他の研究者の方々と山登りをしてきました。目的は2つ、1つは移動範囲が限られる船の上で運動不足だったので、とにかく歩きたかった(笑)もう1つは、2016年に別の方法で北極圏生物収集のためにカナダの「ケンブリッジベイ」を訪れたことがあり、北極の町同士で同じところ、違うところを比べてみたいなと思っていたからです。※ノームは北極圏外なので厳密には「北極の町」と言えないかもですが、近いのでヨシということで...まずは植生から。ケンブリッジベイでは大きな樹木を見ることがなく、芝状の低い草がほとんどでした。対してノームは少し南にあるからか、人の背丈くらいの低木も見られます。また、市街地では植樹された高めの木も見られましたが、自生はしていないようでした。▼ケンブリッジベイ▼ノーム次に動物。ケンブリッジベイ前の海に潜った時に大きなジャコウウシの頭骨を見つけて生きてる姿も見れるかも!?と思ったのですが残念ながら出会えず...。でもノームでは町の中にも野生のジャコウウシが!!▼ケンブリッジベイ▼ノーム突進されると大けがじゃすまないので、離れたところからそっと観察しました。反対に、ケンブリッジベイでは出会えたホッキョクギツネはノームでは出会えませんでした。ケンブリッジベイから10分ほど車で走ったところにいたので、ノームも町はずれまで出かけていたら出会えていたかもしれません。長くなってしまったので今回はここまで。山登りは後編でご紹介したいと思います。

北極圏調査2026

2026.07.24

  • #北極圏

シロクラゲ、すくすく成長中

今回は「シロクラゲ」についてお話します。シロクラゲは、冷たい海に生息するクラゲで日本でも東北や北海道の海で見られます。成長しても3cm程と小型のクラゲで、「海月銀河」の他の種類と比べると、その小ささがより目立つと思います。こちらの動画をごらんください。 拍動しているのがわかるでしょうか?こんなに小さいのに力強く生きる生命の神秘さを感じます。そんなシロクラゲですが、現在、水槽内の個体数が徐々に増えて賑やかな水槽となっています。「個体数が増えたということは北まで行って採取してきたのか?」とお思いになるかも知れせんが、実は海遊館生まれのクラゲがどんどんと増えているのです!クラゲは種類によって違った生活史を持ちます。シロクラゲはポリプから稚クラゲとして発生します。その稚クラゲがこちらです。写真はポリプから発生して1日目の稚クラゲ、大きさにして1mm程です!私も初めて稚クラゲを見た時は、あまりの小ささに驚きました。目を凝らさないと見逃してしまう大きさ。ポリプに与えたアルテミア(餌となる小さな生きものです)や水中の汚れと見間違うほどです。クラゲの種類には、エフィラと呼ばれるおおよそクラゲとは思えない形で発生するものもいますが、シロクラゲは発生直後からクラゲのような見た目をとっています。現在、海遊館では順調に稚クラゲが発生しており、展示に見合うサイズまで成長した個体を「海月銀河」に展示しています。シロクラゲはサイズが小さい為、数が少ないと「海月銀河」では寂しく感じてしまいますが、数が増えて、ぷかぷかとシロクラゲたちが泳ぐ水槽はとても綺麗で、皆様にも楽しんでいただけるのではないでしょうか?ぜひともすくすく成長中のシロクラゲたちに会いにきてください!

無脊椎動物

2026.07.23

  • #シロクラゲ

カマイルカの潜水給餌

みなさまこんにちは。本日はカマイルカ「トト」の潜水給餌(トレーニング)についてお話します。 海遊館では不定期で、カマイルカへ潜水して給餌することがあります。以前から「タスマン海」水槽で暮らしているミュー、アクア、ルーシーは潜水給餌もお手の物ですが、2022年にやってきたトトは潜水給餌の経験がほとんどありませんでした。練習開始時、私が水中に潜ってみたところ、トトはまさか自分の給餌者が水中にいると思わなかったのか、水面でトレーニングをしている他の給餌者のところに順番に顔を出し、戸惑っている様子でした。私が一度浮上し、トトとアイコンタクトを取って改めて水中に入り、給餌を開始しました。まずは水中で餌がもらえることを覚えてもらい、その後徐々に飼育員の正面にいることを覚えてもらいました。今は簡単なサインは伝わりますが、まだまだ他の個体に比べて出来る種目は少ないです。これからトトと一緒にたくさんトレーニングしていきます。もしみなさまが海遊館に来られた際に潜水給餌をしているイルカと飼育員を見かけたら応援してくださると嬉しいです。 最後に、絶賛練習中のトトをご覧ください!

哺乳類

2026.07.21

  • #カマイルカ

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