海遊館

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Blog 海遊館の舞台ウラ

展示のこだわりや、赤ちゃん情報、生きものたちの普段の様子など、
現場ならではの裏側をのぞいてみませんか?新しい発見がたくさんあるかも。

おもしろいカワハギ

「瀬戸内海」水槽のカワハギ。釣りをする方はこのおちょぼ口でエサを上手にとるので、「エサとり」として嫌がられることも多いと思いますが、白身で肝臓がおいしい魚ではあります。フグの仲間に近いですしね。かたい皮の上に細かい鱗がびっしり並んでいて、皮に切り込みを入れるだけでつるっとむくことができるため「皮はぎ」の名前がつき、別名では「ばくちうち」とか「丸はげ」などと呼ばれることもあります。さて、カワハギ、外見で雌雄を区別することができます。オスは背びれの一番前の軟条が糸のように長く伸びていますが、メスは伸びていません。ということで、上の写真はオス、下の写真はメスです。オスの中で1尾、おもしろいカワハギがいます。それはこちら。糸のように伸びた軟条が先で二股になっているのです。軟条はやわらかいので、喧嘩でもしたのか、裂けてしまったようです。個人的には「枝毛」と呼んでいますが、担当からすれば「毛じゃないわ!!」って言いそう(笑)じゃあ何?枝条?→「えだじょう」ってちょっと俳優さんみたいですね。二股?→響きがなんだか...呼び方はまあいいとして、枝をなびかせて泳ぐカワハギを探してみてくださいね。

魚類

2025.07.29

  • #カワハギ

オスのようでメスだった!?とあるトラフザメが見せた超不思議な生態

ジンベエザメが悠々と泳ぐ「太平洋」水槽、底に目をやってみるとじっとしていることの多い斑点模様の大きなトラフザメ。そんなトラフザメの不思議な生態の論文がこの度、国際学術誌に掲載されました。トラフザメはインド洋から太平洋にかけて広く生息する底生のサメで、幼魚のころはシマシマ模様から英語では "zebra shark(シマウマ(模様の)サメ)" なんて呼ばれることもあります。ちなみに和名の "トラフザメ" は "トラ斑(ふ)のサメ" が由来といわれており、成長に合わせて由来の生きものが変わるのも面白い特徴の一つです。トラフザメを含むサメ・エイの仲間は通常、おなか側のヒレ(腹ビレ)にある "クラスパー" の有無で簡単にオスメスが見分けられます。クラスパーはオスの特徴で、交尾の時に活躍する器官なのです。腹側から見たイズヒメエイのオスとメスの写真(左側がオス、右側がメス)おもしろいことに、時々、クラスパーを持っているのに卵を産む個体『雌雄同体=オスとメスの特徴を併せ持つ』が見られることがあります。更に、メスであっても、オスが居ない状態で卵を産んで殖える "単為生殖" を行う種類がいるなど、サメ・エイの性別や繁殖にはたくさんの不思議があります(しかも原因はまだハッキリとしていない...)。今回はこんな雌雄同体と単為生殖にまつわる調査をニフレルと海遊館の飼育員が筆頭となり、他機関と共同で研究し、論文を執筆しました。過去にニフレルで飼育していたトラフザメ、よく見てみると腹ビレの付け根にとても小さなクラスパーを発見しました。つまりオスですね。今回のトラフザメで確認されたクラスパー不思議だったのは、体は大人のサイズだったのに、クラスパーの大きさが未熟ということでした。稀にこんなオスもいるものなんだな。と思っていました。しかし1個体だけで順調に数年間飼育を継続していると、なんと卵を産んだのです!トラフザメの卵まさかのメス?でもクラスパーあるし・・・珍しい個体だな。と思いました。トラフザメでは、これまでにも単為生殖の報告が知られており、もしかしたら発生するのかも...という一縷の望みを持って卵を収集・保持していました。すると数ヵ月後に8個の卵の卵黄に胚(赤ちゃん)が見えたのです。そしてさらに数ヵ月後に1個の卵から稚魚が孵化したのです!(残念ながら稚魚は死亡...)その後、産卵した親個体は海遊館に移動してしばらく飼育していたのですが、残念ながら死亡してしまいました。そこで、これまでに起きた色んな謎を明らかにするべく、親個体の解剖・観察と稚魚との遺伝子の比較(親子鑑定)を行ったところ、このトラフザメが"不完全ながら雌雄同体の特徴を持ったうえに、"単為生殖" したことが明らかとなりました。当事者の我々も、混乱してしまいそうな事例でした。前述したように、世界中のいくつかの水族館でトラフザメが単為生殖を行うことはこれまでにも報告されてきましたが、"雌雄同体の特徴を持つ個体が単為生殖を行う" という事例はこれまでサメ・エイでも報告が無く、今回の事例が初めての報告となりました。これらの出来事をまとめた論文は下記URLから要約のみ無料で閲覧可能となっております。ご興味がある方は是非ご覧いただければと思います。https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jfb.70122サメやエイ、軟骨魚と呼ばれるグループは "原始的" と言われることもありますが、実はその生態にはわかっていないことも多くあります。今回の論文がそんなサメ・エイの生態の謎解きの一助となってくれたらいいなぁ...なんて著者は思っています。"単為生殖" のような現象は、同一個体を長期的に観察することができる水族館からの報告が多く、実は水族館は重要な研究フィールドとなります。こんな水族館という特殊なフィールドを活かしながら、これからもサメ・エイを始め、色々な生きものの不思議について発信していきたいと思います。

魚類

2025.07.27

  • #トラフザメ

アオリイカの三角関係

こんにちは。連日とても暑い日が続き、今年は梅雨だなと感じる間もなく梅雨明けしましたね。今日は「特設水槽」にいるアオリイカの繁殖行動の様子をお話します。アオリイカは主に、春から夏にかけて繁殖を行います。海遊館においても、同じ時期に繫殖行動が行われます。水槽の擬海藻をよく見てもらうとサヤエンドウのような卵のう塊が付いています。↑産み付けられた卵のう塊アオリイカの繁殖行動はオスが精きょうと呼ばれる精子が入ったカプセルのようなものをメスに渡すという方法です。繁殖期になると1匹のメスに複数のオスが求愛する様子や、交接する様子が見られます。オスはメスをめぐりオス同士で争い、時には嚙みつかれて傷がつくほどの個体もいます。大きなオス個体が争いに勝つ場合が多いです。動画においても、ペアになったオス(一番体が大きく、体色が濃くなった個体)が他のオス(画面中央の最下の個体)を威嚇する様子(0:01頃)や、メスを守って寄り添って泳ぐ様子(0:04以降)が見られ、争いに負けたオスはペアから離れます。しかし、負けたオスは繁殖行動に参加できないという訳ではありません!スニーキングという繁殖戦略をもっているのです。スニーキングとはペアになれなかったオスがペアオスの隙を狙い交尾を試みる方法で、スニーカーと呼ばれます。スニーキングはサケ科魚類などにも見られます。 動画ではペアになったオスとメスが産卵している様子、先ほどペアのオスに負けた、スニーカーのオス(最下から右側に泳いでいく個体)が卵のう塊を触りながら(0:00~0:03頃)、産卵しているペアのメス(0:13頃)の体色に紛れてメスに近づき、交尾の機会をうかがう様子が見られます。スニーカーオスは、強い個体ではないものの、限られた機会を捉えて子孫を残すための戦略としてとても重要です。繁殖行動を見ていると、生きものの戦略や、強さに改めて感心します。アオリイカの産卵行動は海遊館では主に朝から昼にかけてよく観察できます。是非、アオリイカの動きや鮮やかな体色の変化をみてください!

無脊椎動物

2025.07.23

  • #アオリイカ

熱帯雨林の掃除屋 カラープロキロダス

みなさんこんにちは!7月に入り、蒸し暑い日が続いていますね~。今日は日本よりももっと蒸し暑い熱帯雨林に生息する魚を紹介します!この魚はカラープロキロダスといい、「エクアドル熱帯雨林」水槽で展示している淡水魚です。普段は人工飼料やアカムシを餌として与えていますが、ある日ちょっと変わったものを食べているところを目撃しました。 なんと、オオヨコクビガメの身体表面をついばんでいます!同じような行動は「太平洋」水槽にいるホンソメワケベラでよく見られますが(→「水中のお掃除屋さん」)まさか「エクアドル熱帯雨林」水槽でも見られるとは!カラープロキロダスは餌を得ることができ、オオヨコクビガメは体表がきれいになる、まさにWIN×WIN。このように互いが利益を得る共生の形を相利共生(そうりきょうせい)といいます。よく知られているのがカクレクマノミとイソギンチャクなどです。カクレクマノミは隠れ家をもらい、イソギンチャクは餌カスをもらい、お互いに利益を得ています。カラープロキロダスはコケを食べる生態を持っており、普段から水槽のコケも食べています。食事をとることが水槽をキレイに保つ手助けになっており、もしや私たち飼育員とも相利共生なのでは!?

魚類

2025.07.15

ブダイの寝袋

みなさんこんにちは!梅雨も明けてこれから暑い日が続きそうですね、今年の梅雨は晴れの日が多くて個人的に快適に過ごせました!さてそんな話はさておき、今回皆さんにはブダイの眠り方について紹介したいと思います。ある朝「いのちぐるぐるサンゴ展」のブダイの水槽を見に行くと、謎の粘液のようなものが水槽の擬岩に引っかかっていました。なんだろうと思って触ってみるとトロっとしており、まるでゼリーのよう!調べてみるとブダイは自分で粘液を出して、それで体中を覆って眠ることがわかりました。粘液は寝袋なのです。寝袋の役割としては天敵や寄生虫から身を守る役割があるといわれています。つつまれて眠る姿はまるで布団にくるまる人間そのもの!夜間にビデオを設置して確認したところ、粘液に包まれていたブダイが起きだす動画が撮れたので紹介します。 寝袋とそこで眠るブダイのようすがわかるかと思います。起きたブダイのテンションの高いこと(笑)寝ている時のブダイは熟睡しているのか、触ってもなかなか起きないほどです(笑)。皆様も今の時期、眠るときは部屋を涼しくして、布団にくるまるとブダイのように熟睡できるかもしれませんね。

魚類

2025.07.13

  • #ブダイ

イズヒメ2歳おめでとうぅぅ!!

みなさんこんにちは!今回は海獣や動物ではよくありますが、魚類では珍しいブログになります!それは魚の誕生日!!ということで、6月1日、バックヤードで飼育している3尾のイズヒメエイが2歳になりました!拍手~っ!お祝いに誕生日ケーキを作ろうと思ったのですが、なかなかいい案が思いつかず、とても簡単な誕生日ケーキをつくってみました。それがこちら!シシャモで数字の2を作ってみました。笑こ、こういうのって気持ちが大事ですからね!手抜きなわけではないですからね!毎月月初めにイズヒメエイの計測を行っているため、ケーキと共にお祝いしてみました!この子は一番大きなエイで体重はなんと5.58kg!一番小さいエイが1.54kgなのでおよそ3.6倍...!成長率の違いに驚かされます。これが産まれた日の写真で、体重は平均で174gでした!成長を感じられて、とてもうれしいです!現在、このエイたちの両親は「太平洋」水槽にともに展示しています。イズヒメエイと非常に似ているアカエイと間違えないように!お腹側の縁が黄色いのがアカエイ、茶色いのがイズヒメエイです!両方ともオスとメスが一匹ずついますので探してみてくださいね!

魚類

2025.07.09

  • #イズヒメエイ

花だけじゃないよ(クチナシ)

「日本の森」に朝、佇むとほのかに花の良い香りがします、とはいえ今年は梅雨明けも異常に早く、もう花も終わりかけてしまってますが...香りの正体はクチナシの花です。クチナシはアカネ科の仲間でなんと!コーヒーの木が近い仲間だそうです。東南アジアに広く分布し、日本では静岡県以西の本州や四国、九州、南西諸島の森林に自生します。温暖でやや湿った半日陰の場所を好みますが、園芸種として用いられることも多く、海遊館に来る途中の街路でも見られます。道端で香りと花の姿を見かけたら、少し遅れて「日本の森」で花が開きます。花が咲くのは6~7月で、よい香りがするということで、春のジンチョウゲ、秋のキンモクセイとともに夏のクチナシとして「三大香木」と呼ばれます。どの花も香りが特徴的ですね。クチナシの名前は諸説ありますが、冬になる実が熟しても口が開かないため、「口無し」に由来するといわれています。「死人に口無し」という言葉を連想させるとして、庭に植えることを好まない人もいらっしゃるようです。しかし、花は学名の Gardenia jasminoides からわかるようにジャスミンのような良い香りだし、実は生薬や染料として用いられるなどたいへん有用な種なのです。身近なところだと、たくあんや栗きんとんなどの色付けに使うため、お正月前にはスーパーや八百屋さんで売っていることもあるそうですよ。クチナシの色素はこのように黄色だけでなく、赤や青もあるのだとか。3種類の色素を混合し、カラーバリエーションを生み出すことも可能だというので、すごいですね。花は有名ですが、実はあまり気にしていなかったので、「日本の森」のクチナシ、今年は実についても注意深く見守りたいと思います。

植物

2025.07.07

  • #日本の森
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