以布利通信94「以布利の海にも華が咲く 2 :イソギンチャク編」
こんにちは。以布利センターです。まだまだ寒い時期が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。以布利の海も冷たい(最近は海中の水温が16度前後になり、かなり冷たいです...!)ですが、その中でも様々な生きものを見ることができます。今回はサンゴの名がつく生きものについての紹介です。紹介するのは以布利センターの近くの港の中に群生している、サンゴイソギンチャクです。サンゴイソギンチャクは体内に褐虫藻(植物のように光を浴びて栄養分を作り出す微細な藻類の仲間で、サンゴ類にも褐虫藻が共生しています)を持つイソギンチャクで、光を浴びて成長することで知られています。黄緑色や赤色などの体色、触手の先が膨らむのが特徴で、潜るたびに違う姿を見せてくれます。サンゴイソギンチャクの周りにいる小さな魚は、クマノミとミツボシクロスズメダイの幼魚です。サンゴイソギンチャクは毒針を持っていますが、こうした魚は体表に分泌される粘液によって毒針に刺されないようにしていると考えられています。サンゴイソギンチャクは浅い海によく見られるイソギンチャクなのですが、分類学的にも研究が進められておらず、触手がどのように膨らむのか、またその膨らむ理由など、まだまだ知られていないことが多い生きものです。サンゴや生きものの調査に加えて、こうした生きものの生態研究もしていきたいなと思う飼育員なのでした。
海洋生物研究所「以布利センター」
2025.03.29