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「無脊椎動物」の記事

ハゼとエビの関係性

先日、「ぐるぐるサンゴ展」のサンゴ水槽前を通りかかった際、ハゼの仲間とエビが一緒にいるのをちらりと見かけましたので、あらためてじっくり観察することにしました。あっ、いた、いた!黄色いギンガハゼです。頭部から第一背びれあたりにある青い斑点が散らばるようすが「銀河」のようだということで名前がつきました。カメラを向けると、穴に引っ込んでしまいましたが、しばらくすると慣れてきたみたい。ところで、エビは??と思いつつ、見続けていると...用心しつつハゼの後ろからそろりそろりと出てきた!このエビはテッポウエビの仲間・ニシキテッポウエビです。「錦」と名前に入っている通り、きれいな模様です。はさみは平べったい形になっていて、砂を掘り起こすのに便利そうだなあ。続いて観察していると、ハゼは穴を出てどんどん前に進んでいきます。エビははさみ足でハゼの尾をつかんでいますが、ハゼはさらに進んでいく...その後、エビは「これ以上は進めません!」とばかりにハゼからはさみ足を離し、バックして穴へ戻っていきました。あんたたち、意思の疎通とれてる??と思いました(笑)。このギンガハゼとニシキテッポウエビの関係、エビは砂底に巣穴を掘って生活し、その巣穴を隠れ家や繁殖場所としてハゼに提供する一方で、ハゼは巣穴の入口で見張り役となり、危険が近づくと尾でエビに知らせるという相利共生の関係にあるといわれています。共生には片方の生物だけが利を得るものもありますが、この2種は互いに役立っている相利共生の形です。最近の野生下での研究によれば、ハゼがニシキテッポウエビに尾で知らせるのは「敵が来た」という「警告」だけでなく、「ちょっと出ておいで」という「誘い出し」のサインもあるのだとか。巣の外にエビを誘い出し、砂を掘り返してもらうことで、底に潜む小さな餌生物がわらわらとでてきますから、ハゼはそれをいただくというしくみです。ちなみにエビはハゼの糞を餌としていますから、餌の面でもお互いに助け合っているということなんです。ただし、これは共生するハゼが底生動物を餌とする種類である場合に有効であり、プランクトン食のハゼに対しては、「誘い出し」はしないそうです。複雑だけどおもしろいですね!では、ギンガハゼはどっちのタイプなのでしょう?私の予想では底生動物を食べるのではないかと思うのですが...。それにしてもハゼの尾の振り方の違いを見てみたいものです!!巣穴の中のようすを私たちは見ることができませんが、警告の場合はパシッパシッと素早く振り、誘い出しの場合はゆらゆらとゆっくり振るんだそうです。なんとか見られるような工夫ができるとよいのですが。

魚類

2026.06.13

クラゲに舞う花びら

あっという間に春から夏にかけて季節が変わっていく中、皆様いかがお過ごしでしょうか。先日1週間ほど高知県にある以布利センターへ出張に行く機会がありました。その際、生物収集の目的で定置網船に乗った際に、あまり見たことがない、ひときわ大きいクラゲを見つけました。ヒゼンクラゲです。有明海などでも見られるクラゲで、傘経(傘の部分の大きさ)も最大70cmほどになる大型のクラゲです。一部の地域では "シロクラゲ" とも呼ばれ、食用にもなります。私が去年以布利センターへ赴任していた際には見たことがなかった印象でしたが、漁師さんの話によると、「ここ最近は毎日入っているよ~」とのこと。今回採集した個体も傘経40〜50cmほどの大きさでした。定置網に入るクラゲは網の中で魚に揉まれてボロボロになる個体が多いですが、この個体は傷がなく、綺麗な状態だったので以布利センターへ持ち帰り、育成してみようとなりました。 クラゲ担当の経験もある先輩飼育員にさっそく水槽を組み立ててもらい、水槽に入れてみると、傘の下の部分の口腕(足のような部分)に小さな魚がいました。 この魚はハナビラウオという魚で、幼魚の時期は大型のクラゲに寄り添い、身を守る習性があります。クラゲの毒で、他の大型の捕食者から身を守っているということですね。さらに寄り添っているクラゲを餌にもすることがあるそうです。水槽に入れた直後はクラゲの陰に隠れていましたが、次の日からクラゲの周りを泳ぐようになりました。 こういったクラゲや魚など以布利センターの一部の生きものは、海遊館に運ばれて展示されていることがあるので、ぜひ展示の生きものもよくみてあげてくださいね。

無脊椎動物

2026.06.02

タカアシガニ幼生、ついに稚ガニまで成長!

今までタカアシガニの幼生について紹介してきました。→ 「子持ちガニの献身」→ 「タカアシガニが孵化しました!」→ 「タカアシガニ幼生、メガロパまで成長!」ゾエア幼生を確認してから約50日、ついに...タカアシガニが稚ガニに成長しました!!!やったー!!! 稚ガニの大きさは、脚を広げた状態で約1cm。特徴的な長い脚や、鉗脚(ハサミ脚)を器用に使うところが成体とそっくりです。稚ガニになりたての頃は、体に細かい毛が生えているのですが、餌がくっついてしまうことがあります。目と目の間から背中にかけてなどにくっついている、白っぽいものは餌のサクラエビ(の身)です。メガロパ幼生と比較してみても、足が長く伸びて形が大きく変化した様子がわかるかと思います。ここまで成長させるために飼育員たちは毎日の水替えやエサやりなどを丁寧に行ってきました。タカアシガニの幼生を稚ガニまで成長させることはとても難しいのですが、研究者の皆様のアドバイスもいただきながら、今年も無事に稚ガニまで成長させることができました。そして今年は、この貴重な姿をお客様にもご覧いただけるよう、エントランスビル4F飼育員カウンターにてタカアシガニ幼生の展示をスタートしました!現在はメガロパ幼生と稚ガニの両方の姿をご覧いただけます。今しか見ることができない貴重なタカアシガニの様子を、この機会にぜひご覧ください!!(※生きものの状態により、予告なく展示を中止、終了する場合がございます。)

無脊椎動物

2026.04.28

  • #タカアシガニ

クラゲ担当の推しクラゲ!

みなさんこんにちは!今回ご紹介するのはエダアシクラゲですこのクラゲは傘の長さが稚クラゲで1mmほど、成体で3mmほどで、傘の高さは大きくなっても5mmほどにしかならない小さなクラゲです(※現在、展示は行っていません)▼成体▼稚クラゲこのクラゲの特徴は名前のとおり触手の付け根の部分から枝分かれして生えている触手です。触手の根元には光を感じることができる眼点があり、光に集まる習性があります。ポリプ(クラゲなど刺胞動物の形態のひとつ)も枝分かれしてる?▼ポリプこのクラゲは再生力もすごくて、口柄(傘の中心にある部分。先端に口がある。)さえ残っていたらきれいに再生するようです。また、エダアシクラゲはなぜかいろいろな水槽で突如現れます。「どこから発生した??」飼育員は首をひねっています。他の水槽で「なんか透明のちっちゃいクラゲでた!」って思ったら、大体エダアシクラゲのことが多いです。少しやっかいな扱いをされがちなクラゲですが、担当者はぴょこぴょこ泳ぐ姿がとても好きです。普段は底に沈んでじっとしていたり、なにかにくっついているのですが、水替えをする時に刺激で泳いだので、ご覧ください。 か、かわいい,,//みなさんに見ていただきたい思いでいっぱいなのですが、残念なことに、現在の「海月銀河」にはこのサイズを展示できる水槽がありません(涙)そこで!エントランスビル4階にある「飼育員カウンター」にて、時間限定で、不定期ではありますが、時々お客様に見ていただくことがあります。なんともおもしろくて、担当推し!のいとおしいクラゲを見ていただけたらうれしいです!

無脊椎動物

2026.04.13

  • #エダアシクラゲ

休館日のウラガワ

こんにちは。少しずつ暖かく、日が出ている時間も長くなり、春に近づいていると感じるようになってきましたね。海遊館では例年1月に2日間の休館日をいただいています。休館日なので、飼育員も休める!!...という訳ではありません。普段できない水槽の水を全部抜いて掃除をしたり、設備の点検をしたりと大がかりな作業をするのが恒例行事です。毎年ひーひー言いながら、和気あいあいと作業を行っています。今回はたくさんある作業の中で、普段お客様が見ることができない!?「グレート・バリア・リーフ」水槽の自壊サンゴ大掃除作戦を紹介します!自壊サンゴとは水槽中央にある、直径4m程の半円状になった大きな擬サンゴで「大きく成長したサンゴは時に自然の力の影響を受けて、割れてしまうことがある」ことをイメージしたものです。自壊サンゴを展示通路から観ると大きな3つの塊に見えます。実際は1本1本掃除ができるように取り外しが可能で、約200本のパーツで形成されています。毎日飼育員が潜水し掃除していますが、よく見るとコケや汚れがたくさん...。そうです、今回はこれを全部抜いて綺麗にして、元通りにする作戦です。サンゴの1つ1つに番号が割り当てられていて、正しい場所に正しい方向で入れないと綺麗な自壊サンゴの形に戻らなくなってしまうため、至難の業です。↓ 汚れているサンゴを抜いたときの画像です↓ 自壊サンゴの内側は空洞になっていて、中に入ってこのサンゴはここだよーと指示する人とサンゴを戻す人とで2人1組で作業します。と、簡単に書きましたがとても根気がいる作業でした。空洞内の暗さと濁りの中でサンゴの番号を覚えて、水中でコミュニケーションを取りながら行う大変な作業で丸1日かかりました。達成感と疲労感でいっぱいになった飼育員でした。綺麗になった「グレート・バリア・リーフ」水槽ぜひ、見てください!肉眼で見ていただくほうがとっても綺麗です!

無脊椎動物

2026.03.04

地味にすごい・地味に難しい・それがワムシ

みなさま、「シオミズツボワムシ」という生きものをご存知でしょうか?▼顕微鏡で拡大した写真です!大きさは0.1mm~0.3mmくらい。とても小さな動物プランクトンです。(以下、ワムシと呼びますね)このワムシというのは不思議な生きもので、基本的にはメスのみが生まれ、自分のコピーをぽんぽんつくりだしますが、環境が変わるとオスが生まれ、メスと交尾をくり返して繁殖することもあります。...要するに、どんな環境にも適応して爆増する繁殖力を持つ、地味にすごい生きものなんです。ワムシは、まだまだ口の小さい稚クラゲや仔魚・稚魚の最初の餌となります。つまり、このワムシがいつでも提供できる状態でないと、クラゲや魚類の繁殖はとても難しくなってしまうのです。基本的には、餌である緑藻のクロレラを与えていれば繁殖するのですが、▼餌となるクロレラいざ、育成するとなると...細菌が繁殖して全滅...他の生物がワムシ水槽に混入して全滅...ワムシが増えすぎたけど密度が高過ぎて全滅...マジ、ムズすぎて滅☆前述の最強伝説の如き適応力と繁殖力はどこへやら?意外と繊細で難しいやんか...ということで、海遊館では育成に難航していました。特にここ一年くらいは試行錯誤の繰り返しでした。そこで、以下のように工夫してみました。・小さな容器(ペットボトル)で育成→ある程度成長したら大きな容器に移動・作業者は肘まで水道水で念入りに洗って、混入物や細菌の混入を防ぐ・ワムシが増えだしたら、繁殖抑制のために水温を変える など何回か絶滅のピンチがありヒヤヒヤしましたが、ワムシ育成に詳しい係員にアドバイスをもらったりしながら、この1年ほどはワムシがいなくなることはなくなりました。▼現在は、こんな感じで育成しています!ワムシはまさに「縁の下の力持ち」。クラゲや魚類の繁殖の影には、このような小さな生きものの存在と、飼育員の地道な努力があることを皆様に妄想していただけると、ワムシ担当(私が勝手にそう名乗ってます)は大変嬉しく思います☆

無脊椎動物

2026.02.13

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