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Blog 海遊館の舞台ウラ

「魚類」の記事

その歯、使い捨て!?

先日、「太平洋」水槽に搬入されたシロワニ。新しい環境にもすっかり慣れたようで、今では水槽内をゆったりと優雅に泳ぐ姿をご覧いただけます。そんなシロワニを観察していたところ、口の端から、いつもとは違う位置に歯が見えているのを発見しました。実はこれ、シロワニの歯が生え変わろうとしているところなのです。サメの仲間は、顎の内側にもたくさんの歯が並んでいて、まるでベルトコンベアのように古い歯が抜け、新しい歯が次々と生えてくる仕組みになっています。今回見られたのは、ちょうど歯が抜け落ちる直前の様子でした。水槽を掃除していると、たまに抜け落ちた歯が見つかることがあります。こちらが実際に拾ったシロワニの歯です。鋭い形をしていますよね。この鋭い歯で、シロワニは獲物をしっかりと捕らえて逃がさないようにしているのです。ちなみに、サメの種類によって歯の形や役割はさまざまです。映画で有名なホホジロザメのように、獲物を切り裂くために歯の先端がのこぎり状になっているものもいれば、ジンベエザメのように餌を水ごと吸い込むことで食べる種では、歯をほとんど使わないため、小さく退化していると考えられています。ホホジロザメの歯ジンベエザメの歯ご来館の際には、ぜひシロワニや他のサメの「歯」にも注目してみてくださいね!

魚類

2025.08.04

  • #シロワニ

おもしろいカワハギ

「瀬戸内海」水槽のカワハギ。釣りをする方はこのおちょぼ口でエサを上手にとるので、「エサとり」として嫌がられることも多いと思いますが、白身で肝臓がおいしい魚ではあります。フグの仲間に近いですしね。かたい皮の上に細かい鱗がびっしり並んでいて、皮に切り込みを入れるだけでつるっとむくことができるため「皮はぎ」の名前がつき、別名では「ばくちうち」とか「丸はげ」などと呼ばれることもあります。さて、カワハギ、外見で雌雄を区別することができます。オスは背びれの一番前の軟条が糸のように長く伸びていますが、メスは伸びていません。ということで、上の写真はオス、下の写真はメスです。オスの中で1尾、おもしろいカワハギがいます。それはこちら。糸のように伸びた軟条が先で二股になっているのです。軟条はやわらかいので、喧嘩でもしたのか、裂けてしまったようです。個人的には「枝毛」と呼んでいますが、担当からすれば「毛じゃないわ!!」って言いそう(笑)じゃあ何?枝条?→「えだじょう」ってちょっと俳優さんみたいですね。二股?→響きがなんだか...呼び方はまあいいとして、枝をなびかせて泳ぐカワハギを探してみてくださいね。

魚類

2025.07.29

  • #カワハギ

オスのようでメスだった!?とあるトラフザメが見せた超不思議な生態

ジンベエザメが悠々と泳ぐ「太平洋」水槽、底に目をやってみるとじっとしていることの多い斑点模様の大きなトラフザメ。そんなトラフザメの不思議な生態の論文がこの度、国際学術誌に掲載されました。トラフザメはインド洋から太平洋にかけて広く生息する底生のサメで、幼魚のころはシマシマ模様から英語では "zebra shark(シマウマ(模様の)サメ)" なんて呼ばれることもあります。ちなみに和名の "トラフザメ" は "トラ斑(ふ)のサメ" が由来といわれており、成長に合わせて由来の生きものが変わるのも面白い特徴の一つです。トラフザメを含むサメ・エイの仲間は通常、おなか側のヒレ(腹ビレ)にある "クラスパー" の有無で簡単にオスメスが見分けられます。クラスパーはオスの特徴で、交尾の時に活躍する器官なのです。腹側から見たイズヒメエイのオスとメスの写真(左側がオス、右側がメス)おもしろいことに、時々、クラスパーを持っているのに卵を産む個体『雌雄同体=オスとメスの特徴を併せ持つ』が見られることがあります。更に、メスであっても、オスが居ない状態で卵を産んで殖える "単為生殖" を行う種類がいるなど、サメ・エイの性別や繁殖にはたくさんの不思議があります(しかも原因はまだハッキリとしていない...)。今回はこんな雌雄同体と単為生殖にまつわる調査をニフレルと海遊館の飼育員が筆頭となり、他機関と共同で研究し、論文を執筆しました。過去にニフレルで飼育していたトラフザメ、よく見てみると腹ビレの付け根にとても小さなクラスパーを発見しました。つまりオスですね。今回のトラフザメで確認されたクラスパー不思議だったのは、体は大人のサイズだったのに、クラスパーの大きさが未熟ということでした。稀にこんなオスもいるものなんだな。と思っていました。しかし1個体だけで順調に数年間飼育を継続していると、なんと卵を産んだのです!トラフザメの卵まさかのメス?でもクラスパーあるし・・・珍しい個体だな。と思いました。トラフザメでは、これまでにも単為生殖の報告が知られており、もしかしたら発生するのかも...という一縷の望みを持って卵を収集・保持していました。すると数ヵ月後に8個の卵の卵黄に胚(赤ちゃん)が見えたのです。そしてさらに数ヵ月後に1個の卵から稚魚が孵化したのです!(残念ながら稚魚は死亡...)その後、産卵した親個体は海遊館に移動してしばらく飼育していたのですが、残念ながら死亡してしまいました。そこで、これまでに起きた色んな謎を明らかにするべく、親個体の解剖・観察と稚魚との遺伝子の比較(親子鑑定)を行ったところ、このトラフザメが"不完全ながら雌雄同体の特徴を持ったうえに、"単為生殖" したことが明らかとなりました。当事者の我々も、混乱してしまいそうな事例でした。前述したように、世界中のいくつかの水族館でトラフザメが単為生殖を行うことはこれまでにも報告されてきましたが、"雌雄同体の特徴を持つ個体が単為生殖を行う" という事例はこれまでサメ・エイでも報告が無く、今回の事例が初めての報告となりました。これらの出来事をまとめた論文は下記URLから要約のみ無料で閲覧可能となっております。ご興味がある方は是非ご覧いただければと思います。https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jfb.70122サメやエイ、軟骨魚と呼ばれるグループは "原始的" と言われることもありますが、実はその生態にはわかっていないことも多くあります。今回の論文がそんなサメ・エイの生態の謎解きの一助となってくれたらいいなぁ...なんて著者は思っています。"単為生殖" のような現象は、同一個体を長期的に観察することができる水族館からの報告が多く、実は水族館は重要な研究フィールドとなります。こんな水族館という特殊なフィールドを活かしながら、これからもサメ・エイを始め、色々な生きものの不思議について発信していきたいと思います。

魚類

2025.07.27

  • #トラフザメ

熱帯雨林の掃除屋 カラープロキロダス

みなさんこんにちは!7月に入り、蒸し暑い日が続いていますね~。今日は日本よりももっと蒸し暑い熱帯雨林に生息する魚を紹介します!この魚はカラープロキロダスといい、「エクアドル熱帯雨林」水槽で展示している淡水魚です。普段は人工飼料やアカムシを餌として与えていますが、ある日ちょっと変わったものを食べているところを目撃しました。 なんと、オオヨコクビガメの身体表面をついばんでいます!同じような行動は「太平洋」水槽にいるホンソメワケベラでよく見られますが(→「水中のお掃除屋さん」)まさか「エクアドル熱帯雨林」水槽でも見られるとは!カラープロキロダスは餌を得ることができ、オオヨコクビガメは体表がきれいになる、まさにWIN×WIN。このように互いが利益を得る共生の形を相利共生(そうりきょうせい)といいます。よく知られているのがカクレクマノミとイソギンチャクなどです。カクレクマノミは隠れ家をもらい、イソギンチャクは餌カスをもらい、お互いに利益を得ています。カラープロキロダスはコケを食べる生態を持っており、普段から水槽のコケも食べています。食事をとることが水槽をキレイに保つ手助けになっており、もしや私たち飼育員とも相利共生なのでは!?

魚類

2025.07.15

ブダイの寝袋

みなさんこんにちは!梅雨も明けてこれから暑い日が続きそうですね、今年の梅雨は晴れの日が多くて個人的に快適に過ごせました!さてそんな話はさておき、今回皆さんにはブダイの眠り方について紹介したいと思います。ある朝「いのちぐるぐるサンゴ展」のブダイの水槽を見に行くと、謎の粘液のようなものが水槽の擬岩に引っかかっていました。なんだろうと思って触ってみるとトロっとしており、まるでゼリーのよう!調べてみるとブダイは自分で粘液を出して、それで体中を覆って眠ることがわかりました。粘液は寝袋なのです。寝袋の役割としては天敵や寄生虫から身を守る役割があるといわれています。つつまれて眠る姿はまるで布団にくるまる人間そのもの!夜間にビデオを設置して確認したところ、粘液に包まれていたブダイが起きだす動画が撮れたので紹介します。 寝袋とそこで眠るブダイのようすがわかるかと思います。起きたブダイのテンションの高いこと(笑)寝ている時のブダイは熟睡しているのか、触ってもなかなか起きないほどです(笑)。皆様も今の時期、眠るときは部屋を涼しくして、布団にくるまるとブダイのように熟睡できるかもしれませんね。

魚類

2025.07.13

  • #ブダイ

イズヒメ2歳おめでとうぅぅ!!

みなさんこんにちは!今回は海獣や動物ではよくありますが、魚類では珍しいブログになります!それは魚の誕生日!!ということで、6月1日、バックヤードで飼育している3尾のイズヒメエイが2歳になりました!拍手~っ!お祝いに誕生日ケーキを作ろうと思ったのですが、なかなかいい案が思いつかず、とても簡単な誕生日ケーキをつくってみました。それがこちら!シシャモで数字の2を作ってみました。笑こ、こういうのって気持ちが大事ですからね!手抜きなわけではないですからね!毎月月初めにイズヒメエイの計測を行っているため、ケーキと共にお祝いしてみました!この子は一番大きなエイで体重はなんと5.58kg!一番小さいエイが1.54kgなのでおよそ3.6倍...!成長率の違いに驚かされます。これが産まれた日の写真で、体重は平均で174gでした!成長を感じられて、とてもうれしいです!現在、このエイたちの両親は「太平洋」水槽にともに展示しています。イズヒメエイと非常に似ているアカエイと間違えないように!お腹側の縁が黄色いのがアカエイ、茶色いのがイズヒメエイです!両方ともオスとメスが一匹ずついますので探してみてくださいね!

魚類

2025.07.09

  • #イズヒメエイ

しま模様の成り立ち

大阪といえば野球はタイガースという方も多いでしょう。「ぎゅぎゅっとキュート」の新しい仲間はカゴカキダイです。今は4cm前後の大きさです。大きくなるとこんな感じ(こちらが「アクアゲート」のカゴカキダイ)。大きさは6~7cmです。魚のしま模様は頭を上にして考えるので、カゴカキダイは縦じま、後ろにいるヒレナガハギは横じまということになります。黄色と黒のしま模様はいかにも虎っぽくないですか??個人的には目にも黒い縞がつながっていて、目がきょろきょろ動くのが好みです。今回、「ぎゅぎゅっとキュート」にスカウトしてきたカゴカキダイは高知県の以布利からやってきました。春先にはタイドプールなどにいるのだとか。大阪に来たカゴカキダイはこんな感じ。小さいものは大きさは2cm未満で、しま模様がまだ定かではありません。このしまはどんな風に変わっていくのか?疑問がわき、ちょっと調べてみました。海響館さんの観察によれば、カゴカキダイの卵径は1mmくらい、うまれた直後は1.5mmほど、しかし、54時間後には3mm前後に。そして、2週間後には4mmになるそうです。しま模様の推移については日本産稚魚図鑑(沖山1988)やネットにでているものを参考にさせていただきました。フリーハンドなので、大きさがばらばらだったり、見にくいのはごめんなさい。最初は紡錘形だったのがだんだん体高が高くなり、しまは最初は頭部や側線上、背びれの下などにでき、数も増えていくのがわかります。3枚目の写真のおちびさんは下から3つめのような形、今展示にいるのは一番下が近いように思います。カゴカキダイの名前の由来である頭のもりあがりも4cmくらいででてくるもよう。こんなカゴカキダイ、しま模様の成り立ちを実際にご覧いただけるとうれしいです

魚類

2025.06.13

スズメダイ科の繁殖行動

あっという間に夏らしい気温になり汗をかく季節になりましたね!さて、昨年11月に "サンゴの生命力" をテーマに生まれ変わった「グレート・バリア・リーフ」水槽ですが、実は魚たちの生命力や命の巡りも感じることができます。今日はその一部分を紹介したいと思います。最下層のサンゴの周りではスズメダイ科の魚が多く遊泳していますが、実は産卵行動を見ることができます。最近ではグレートバリアリーフの固有種であるバリアリーフクロミスや、きれいな水色の体色をしているデバスズメダイ等が多く産卵しています。産卵行動は現在朝から昼にかけて観察できることが多く、① オスが産卵場所(構造物)を口や胸鰭を使ってキレイにする、産卵場所に入ってくる魚を追い払う② オスがメスに求愛行動を行い、産卵場所に誘う③ メスが擦り付けるように卵を産んだものにオスが放精する④ オスは卵が孵化するまで、死んでしまった卵を口で取る行動や、口や胸鰭を使って新鮮な海水を送る大まかに①~④の流れで産卵行動が行われます。 ↑この動画はバリアリーフクロミスの産卵行動で、上記では③にあたります。↑この写真はデバスズメダイの産卵行動で、上記では④にあたります。1つのサンゴに対して数個体のデバスズメダイたちが卵を守っている様子が見られます。みなさまも是非、スズメダイ科たちの繁殖行動を見に来てくださいね!

魚類

2025.06.01

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