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「魚類」の記事

性別が変わる魚たち

先日「瀬戸内海」水槽にコブダイが1匹入りました。もともといたコブダイと比べると、名前にもあるコブがないなどの違いがありますね。今回入ったコブダイ↓先に展示されていたコブダイ↓今回入ったコブダイはメスの個体です。先に水槽に入っていたのはオスのコブダイで、比べると大きさ、そして頭のコブがあるかないかの違いが良くわかりますコブダイは大きくなるまでメスで、成長するとオスになりコブが出てきます。このメス→オスに性転換(性別が変わること)することを雌性先熟といいます。他にもハタやハゼの仲間も雌性先熟の性転換をする種類がいます。雌性先熟に該当するハナダイの仲間逆にオス→メスの性転換をする魚もいます。こちらは「グレート・バリア・リーフ」水槽で示されているクマノミやクロダイ等が該当します。こちらは雌性先熟の反対で雄性先熟といいます。雄性先熟に該当するクマノミそして一部のハゼの仲間などはメス→オス、オス→メスの両方に性転換できる種類もいます。魚類にとって、性転換というのはよくあることなのかもしれません。このように魚類が性転換する理由としては多くの子孫を残せるよう、生存競争を有利に進めるためだと考えられています。雌性先熟では、初めはメスで、大きくなってからオスになると、縄張りを広く守ることができ、多くのメスと子孫を残せる可能性が出てきます。逆に雄性先熟では、一番大きな個体がメスになれば、より多くの卵を産むことができるため、子孫を残しやすくなります。とくにコブダイなどのブダイの仲間やハナダイの仲間はオスとメスで姿かたちが違う種類もいるので、ぜひ水槽をよく観察してみてくださいね。

魚類

2025.10.31

  • #コブダイ

みんなで集まれば怖くない!

みなさんこんにちは!夏も終わり秋らしい気温になってきましたね。秋といえばハロウィン、ハロウィンといえばお化け、お化けといえば『怖い』ですよね。でも家族やお友達一緒なら怖くない!はずです、、、。この魚たちはどうでしょう?こちらの写真は特設水槽を上から見た写真です。写真の左のほう、底付近にいる黒い塊はいったい何でしょうか?もう少し近くで見てみましょう。近くで見るとマイワシが群れで泳いでいます!!このマイワシたちはアオリイカやミズダコなどの怖い存在(捕食者)から身を守るためにみんな一緒になって泳いでいます。このような泳ぎ方を『希釈効果』といい、一匹で泳ぐよりも捕食者に狙われにくくする効果があります。絵本のスイミーをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。他にも、パートナーを見つけやすくして、繁殖行動がしやすくなる効果もあります。今回紹介したマイワシの群れの形は楕円形でしたが、常に同じ形で泳いでいるわけではないので、いろいろな形を見ることができます!ぜひ海遊館に足を運んでいろんな形の群れの写真を撮ってみてください。みんなと一緒にいるけども、怖がりなので水槽を叩いたり、脅かしたりしないでいただけるとうれしいです。

魚類

2025.10.11

  • #マイワシ

以布利通信102「色トリドリのチョウチョウウオたち」

10月に近づき、秋を少しずつ感じますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回は前回にも少し紹介がありましたが、以布利で見られるチョウチョウウオの仲間について紹介いたします。前回のブログ↓以布利通信101「秋の訪れ」 以布利通信70「以布利 黒潮の魚」まずは「ミスジチョウチョウウオ」です。枝状サンゴ周辺によく見られる魚で、眼と尾、そして尾鰭の付け根にある線が特徴です。サンゴのポリプを主食としており、サンゴの間に隠れている様子を見ることができます。次は「チョウハン」です。写真下の個体がチョウハン(上はチョウチョウウオ)なのですが、普通のチョウチョウウオとよく似ており、違いとしては鰓の後ろあたりに見られる黒い模様や、尾鰭基部の黒斑等で見分けることができます。ちなみにチョウハンは英名で「Raccoon butterflyfish」(ラクーンバタフライフィッシュ)と呼ばれることがあり、ラクーンとはアライグマのことを指します。目元付近の模様がそう見えるからとのことですが、個人的に幼魚の頃は、アライグマよりもパンダのような顔つきをしているなと感じます。チョウチョウウオの仲間は海遊館でも見ることができますので、種類によって違う体の模様や色をぜひみてください!

海洋生物研究所「以布利センター」

2025.09.30

シマアジの成長記録

こんにちは、9月に入って夜が少し涼しくなり秋を感じるようになってきましたね。今日は「太平洋」水槽にいるシマアジの成長記録です。以布利通信69「水槽デビューを目指して」↑この投稿はおよそ2年前で、2023年の夏に以布利センターから約30匹のシマアジが「太平洋」水槽にやってきました。シマアジたちは、ジンベエザメと一緒に遊泳することで、周りの大きな魚から身を守りながら、おこぼれの餌をもらって暮らしています。特に餌の時間になると、「自分が一番餌を食べるぞ!」と伝わってくるくらい、ジンベエザメの口の前でオキアミやイサザアミを食べています。ジンベエザメの給餌担当者曰く、シマアジがジンベエザメに吸い込まれないように網でガードするのが大変だそうです。(ジンベエザメの吸い込む力は、1回の口の開閉で約100Lもの水を吸い込むくらい強力です!)そして、すくすくと成長していき...なんと、シマアジたちが無事、全員大きくなりました!水槽に搬入した時は9cm、10g程だったのが、今では45cm、1.5kg程に成長しました。▲搬入時▲現在今では、シマアジだけで群れを作って泳いでいる姿や、イトマキエイの餌のおこぼれをもらったり、餌のイカや魚を拾ったりと賢く餌を食べている様子をよく見ます。夜間や、ゆったり泳ぐときにはジンベエザメに付きやすくなります。やはり、安心するのでしょうね。実はこのシマアジたちは私が以布利に赴任後、1年目の時に採集して、海遊館に来た同級生です。同級生のシマアジたちの成長を見て、私も成長しないといけないなと思う飼育員でした。

魚類

2025.09.18

  • #シマアジ

ジッとこちらを見つめてる?

水槽の周りを歩いたり作業をしていたりすると、時折視線を感じることがあります。も、もしかして幽霊!?と視線の方を見ると... きゃ〜!シロワニがこちらを狙ってる!? 生きものたちがこちらを見つめている瞬間、つまりは正面から見た顔を見かけることがあります。 このシロワニは「太平洋」水槽で暮らすサメで、比較的温厚な性格に反して正面から見るととてもイカついお顔をしています。水槽内を悠々と泳ぎ回っているので、ふとした時に正面を向いて泳ぐ姿を見られるかも...?? 次はこちらです。 明らかにこちらを覗き込んでいますね、、?こちらはヤイトハタで、シロワニと同じく「太平洋」水槽の生きものです。この魚も水槽の端っこでジッとしていることが多く、正面のお顔を捉えやすい魚ではありますが、こんなにも下から覗き込んでいる姿はレアです。 続いてはこちら。 「瀬戸内海」水槽よりホウボウです。翼のような形をもった胸びれが特徴的で、胸びれの一部が変化した3対の胸びれ(胸鰭遊離条)でよちよちと歩くように移動する魚です。ジッとこちらを見つめる顔は、何か言いたそうに見えますね(笑) 最後がこちら。 お、怒ってる?? 「北極圏」のツノガレイです。目の後ろにあるツノ状の骨質突起が特徴的で、普段は砂の下に潜りジッとしていることが多いのですが、この時は珍しく砂から出ており、ムッとした口をしてこちらを見ていました(笑)個人的には顔を正面から見られる機会は少ないので、捉えられて嬉しかったです。 皆さんも生きものを見ている時に視線を感じたら振り返ってみてください。私たち飼育員もまだ見た事がない、生きものたちの多彩な顔を見られるかもしれません。

魚類

2025.08.28

その歯、使い捨て!?

先日、「太平洋」水槽に搬入されたシロワニ。新しい環境にもすっかり慣れたようで、今では水槽内をゆったりと優雅に泳ぐ姿や、大きな歯をむき出しにしてエサを食べる様子をご覧いただけます。 そんなシロワニを観察していたところ、口の端から、いつもとは違う位置に歯が見えているのを発見しました。実はこれ、シロワニの歯が生え変わろうとしているところなのです。サメの仲間は、顎の内側にもたくさんの歯が並んでいて、まるでベルトコンベアのように古い歯が抜け、新しい歯が次々と生えてくる仕組みになっています。今回見られたのは、ちょうど歯が抜け落ちる直前の様子でした。水槽を掃除していると、たまに抜け落ちた歯が見つかることがあります。こちらが実際に拾ったシロワニの歯です。鋭い形をしていますよね。この鋭い歯で、シロワニは獲物をしっかりと捕らえて逃がさないようにしているのです。ちなみに、サメの種類によって歯の形や役割はさまざまです。映画で有名なホホジロザメのように、獲物を切り裂くために歯の先端がのこぎり状になっているものもいれば、ジンベエザメのように餌を水ごと吸い込むことで食べる種では、歯をほとんど使わないため、小さく退化していると考えられています。ホホジロザメの歯ジンベエザメの歯ご来館の際には、ぜひシロワニや他のサメの「歯」にも注目してみてくださいね!

魚類

2025.08.04

  • #シロワニ

おもしろいカワハギ

「瀬戸内海」水槽のカワハギ。釣りをする方はこのおちょぼ口でエサを上手にとるので、「エサとり」として嫌がられることも多いと思いますが、白身で肝臓がおいしい魚ではあります。フグの仲間に近いですしね。かたい皮の上に細かい鱗がびっしり並んでいて、皮に切り込みを入れるだけでつるっとむくことができるため「皮はぎ」の名前がつき、別名では「ばくちうち」とか「丸はげ」などと呼ばれることもあります。さて、カワハギ、外見で雌雄を区別することができます。オスは背びれの一番前の軟条が糸のように長く伸びていますが、メスは伸びていません。ということで、上の写真はオス、下の写真はメスです。オスの中で1尾、おもしろいカワハギがいます。それはこちら。糸のように伸びた軟条が先で二股になっているのです。軟条はやわらかいので、喧嘩でもしたのか、裂けてしまったようです。個人的には「枝毛」と呼んでいますが、担当からすれば「毛じゃないわ!!」って言いそう(笑)じゃあ何?枝条?→「えだじょう」ってちょっと俳優さんみたいですね。二股?→響きがなんだか...呼び方はまあいいとして、枝をなびかせて泳ぐカワハギを探してみてくださいね。

魚類

2025.07.29

  • #カワハギ

オスのようでメスだった!?とあるトラフザメが見せた超不思議な生態

ジンベエザメが悠々と泳ぐ「太平洋」水槽、底に目をやってみるとじっとしていることの多い斑点模様の大きなトラフザメ。そんなトラフザメの不思議な生態の論文がこの度、国際学術誌に掲載されました。トラフザメはインド洋から太平洋にかけて広く生息する底生のサメで、幼魚のころはシマシマ模様から英語では "zebra shark(シマウマ(模様の)サメ)" なんて呼ばれることもあります。ちなみに和名の "トラフザメ" は "トラ斑(ふ)のサメ" が由来といわれており、成長に合わせて由来の生きものが変わるのも面白い特徴の一つです。トラフザメを含むサメ・エイの仲間は通常、おなか側のヒレ(腹ビレ)にある "クラスパー" の有無で簡単にオスメスが見分けられます。クラスパーはオスの特徴で、交尾の時に活躍する器官なのです。腹側から見たイズヒメエイのオスとメスの写真(左側がオス、右側がメス)おもしろいことに、時々、クラスパーを持っているのに卵を産む個体『雌雄同体=オスとメスの特徴を併せ持つ』が見られることがあります。更に、メスであっても、オスが居ない状態で卵を産んで殖える "単為生殖" を行う種類がいるなど、サメ・エイの性別や繁殖にはたくさんの不思議があります(しかも原因はまだハッキリとしていない...)。今回はこんな雌雄同体と単為生殖にまつわる調査をニフレルと海遊館の飼育員が筆頭となり、他機関と共同で研究し、論文を執筆しました。過去にニフレルで飼育していたトラフザメ、よく見てみると腹ビレの付け根にとても小さなクラスパーを発見しました。つまりオスですね。今回のトラフザメで確認されたクラスパー不思議だったのは、体は大人のサイズだったのに、クラスパーの大きさが未熟ということでした。稀にこんなオスもいるものなんだな。と思っていました。しかし1個体だけで順調に数年間飼育を継続していると、なんと卵を産んだのです!トラフザメの卵まさかのメス?でもクラスパーあるし・・・珍しい個体だな。と思いました。トラフザメでは、これまでにも単為生殖の報告が知られており、もしかしたら発生するのかも...という一縷の望みを持って卵を収集・保持していました。すると数ヵ月後に8個の卵の卵黄に胚(赤ちゃん)が見えたのです。そしてさらに数ヵ月後に1個の卵から稚魚が孵化したのです!(残念ながら稚魚は死亡...)その後、産卵した親個体は海遊館に移動してしばらく飼育していたのですが、残念ながら死亡してしまいました。そこで、これまでに起きた色んな謎を明らかにするべく、親個体の解剖・観察と稚魚との遺伝子の比較(親子鑑定)を行ったところ、このトラフザメが"不完全ながら雌雄同体の特徴を持ったうえに、"単為生殖" したことが明らかとなりました。当事者の我々も、混乱してしまいそうな事例でした。前述したように、世界中のいくつかの水族館でトラフザメが単為生殖を行うことはこれまでにも報告されてきましたが、"雌雄同体の特徴を持つ個体が単為生殖を行う" という事例はこれまでサメ・エイでも報告が無く、今回の事例が初めての報告となりました。これらの出来事をまとめた論文は下記URLから要約のみ無料で閲覧可能となっております。ご興味がある方は是非ご覧いただければと思います。https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jfb.70122サメやエイ、軟骨魚と呼ばれるグループは "原始的" と言われることもありますが、実はその生態にはわかっていないことも多くあります。今回の論文がそんなサメ・エイの生態の謎解きの一助となってくれたらいいなぁ...なんて著者は思っています。"単為生殖" のような現象は、同一個体を長期的に観察することができる水族館からの報告が多く、実は水族館は重要な研究フィールドとなります。こんな水族館という特殊なフィールドを活かしながら、これからもサメ・エイを始め、色々な生きものの不思議について発信していきたいと思います。

魚類

2025.07.27

  • #トラフザメ

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