海遊館

Language
eチケット発売中 駐車状況

Blog 海遊館の舞台ウラ

展示のこだわりや、赤ちゃん情報、生きものたちの普段の様子など、
現場ならではの裏側をのぞいてみませんか?新しい発見がたくさんあるかも。

記事テーマを選ぶ

かしわもちあれこれ

「ぎゅぎゅっとキュート」ののぞき窓では、5月5日の「こどもの日」「端午の節句」に関連する海遊館の生きものについて紹介しています。例えば、生きものの「こども」ということで、今、エントランスビル4F飼育員カウンターで展示中のタカアシガニのこどもについてや、こどもとおとなで姿の異なる生きものなど。その中で、この時期に食べるかしわもちを取り上げました。かしわもちをくるむカシワは残念ながら当館にはないので「日本の森」に生えているカシワに近いブナ科コナラ属の樹木、コナラ、クヌギ、シラカシ、アラカシ、マテバシイを紹介しました。コナラ属の木は秋にはどんぐりをつけます。ただ、シラカシやアラカシの葉は細長いし、マテバシイはちょっと小さいので、おもちをくるむにはあまり適していないような??そもそもこの時期になぜかしわもちを食べるのかというと、カシワの葉は新芽が育つまでは古い葉が落ちないことから、家系が途切れない=子孫繁栄のため。かしわもちを求めて町中をうろうろしたところ、4月中旬ごろまではまだ桜餅がでまわっていて、20日を過ぎて、やっとかしわもちを発見!おもちはおいしく味わった後、葉っぱの写真を撮っていて、気づきました。「ん?私、こどものころ、食べてたかしわもちはこの葉っぱじゃなかった」▲カシワちょっと調べてみると、実はかしわもちにはいろいろバリエーションがあり、小豆のあんだけでなく、みそあんなどもあるし、あんをくるむのがよもぎもちであるとか、地方によって異なるようです。そして、もちをくるむ葉ですが、カシワが関西ではあまりみられないことから、代わりに使われていたのはサルトリイバラ。そうそう、私が食べてたのはこれです。かしわもちは1枚でくるっと巻く感じですが、これは2枚で包む感じです。サルトリイバラはつる性の多年草で、実や根は漢方薬としても使われます。ちなみにこのサルトリイバラのかしわもちは和歌山が実家の係員に買ってきてもらいました。係員の相方さんは高野山のほうではこの葉を「サンキライ」と呼んでいるというのも教えてくれたそうです。サンキライとは「山帰来」と書き、山に行った人が体調をくずしたが、これを食べて回復して戻ってきたというお話からきています。この時食べたのは実ですが、根も煎じて漢方薬に使われます。三重のほうではサルトリイバラの葉でつつんだもちを「いばらもち」として食することもあるそう。かしわもちの葉については、2007年に「兵庫県立人と自然の博物館」の方が調べられていて、使われている植物はなんと17種類、その中には当館にあるコナラやクヌギも含まれていたそうです。カシの仲間も使われている地域もあったので、私の予想ははずれました(笑)。かしわもちの葉から「私はこっちの葉だった」とか「こんな葉っぱ見たことない」など係員の間でも話がはずみました。みなさんのまわりではいかがですか?

植物

2025.05.04

イトマキエイの繁殖に関する論文が出版されました!

海遊館ではイトマキエイを飼育展示しています。イトマキエイの情報は海遊館のホームページをご覧ください。→ 生きもの図鑑「イトマキエイ」光に照らされたイトマキエイの背中の色は非常に美しい藤色で見る者を魅了します。現在飼育展示している個体は2015年11月に高知県にある以布利センターからやってきました。輸送の詳細は 機関紙「かいゆう」(Vol20) をご覧ください。イトマキエイの野生個体数は減少傾向にあるため、現在は絶滅の危機に瀕していると考えられています。そのため本種の生態解明が求められていますが、世界中の外洋(海の沖)に生息する生物であり、追跡調査が困難なことから、成熟までの年齢は?サイズは?交尾方法は?妊娠期間は?など、まだまだ生態に謎が多いのが現状です。このような場合に同一個体を追跡調査できる水族館は、研究にうってつけなのです。 海遊館では2015年〜2022年までオスとメスを飼育しており(残念ながらオスは2022年に死亡)、本種の長期飼育を実現し、2021年には世界で初めて交尾行動を確認しています。→ 海遊館ニュース「世界初・イトマキエイの妊娠を確認しました」嬉しいことに、その後メスには赤ちゃん一個体の妊娠が判明し、2023年5月に世界で初めてとなる、飼育下で出産を確認することができました。しかし、産まれた赤ちゃんは遊泳不良が見られ、獣医を中心とした飼育員による懸命な処置を行いましたが、出産後10時間で死亡してしまいました。→ 海遊館ニュース「イトマキエイの出産と赤ちゃん死亡のお知らせ」イトマキエイの繁殖は簡単にはいかないと痛感したとともに、野生のイトマキエイのために、この知見をなんとか世の中に残すべく、できる限りの記録を集めてまとめました。その結果、国際学術誌へ論文を投稿し、2025年1月に掲載されました!→ Zoo Biology | Zoology Journal | Wiley Online Libraryこの論文は、要約のみ無料で閲覧可能となっておりますのでご興味がある方はぜひご覧ください。今回の事例は今まで知られていなかった事も多く、本種の保護や保全のために重要な生態学的基礎情報を提供することができました。今後は、本論文を参考に他の研究者による調査研究・保全活動が実施されることが期待されます。このような観察を行えるのは水族館の特性であり、今後もイトマキエイをはじめ様々な生物の調査研究を行っていきたいと思います。

イトマキエイ

2025.04.19

  • #イトマキエイ

花と魚

桜もいよいよ散り際ですね。3月末より4月頭まで「ぎゅぎゅっとキュート」ののぞき窓では「お花見」をテーマとし、花や花見に関わる生きものを紹介していました。当館にいる花の名前がついた魚はバラフエダイ(「太平洋」水槽)スミレナガハナダイ(「グレート・バリア・リーフ」水槽)ヤマブキベラ(「パナマ湾」水槽)名前に「花」がつく魚はとても多く、ハナビラクマノミ(「グレート・バリア・リーフ」水槽)やハナヒゲウツボ(「いのちぐるぐるサンゴ展」)などがいます。今の時期にぴったりのサクラダイは以前は「アクアゲート」で展示していました。他に、今はいないけど花の種名をもつ魚はいないかと探してみました。その1)アヤメエビスは「パナマ湾」水槽にいました。赤に白い縞の魚なので、アヤメの紫はどこに?と思いましたが、花のアヤメは鼻に網目模様があったことが名前の由来ということですので、アヤメエビスもそのあたりからきているのかもしれません。その2)コギクザメは2015年に開催した特別展示「シャークワールド~ハンターたちの捕食に迫る!~」で標本として展示していました。詳細はこちら → 「続・怪しい人たち」 鱗の形がキクのように見えませんか?その3)イバラエイは1999年に開催した企画展示「なんこつぎょるいの世界~オーストラリアからやってきたなぞのエイ世界初公開!~」で展示していました。「前にイバラエイを展示してたよねー」とまわりに聞いても皆首をかしげるばかり。私の記憶違い?とゆらぎ始めた時、ちょうど古参係員が出張から帰ってきました。彼に聞くと「あー "ソーニーレイ" やろ?おったで」と。そうそう、ソーニーレイだ!英名は「ポーキュパインレイ」ですが、当時和名はまだはっきりしておらず、搬入先のオーストラリアでは「ソーニーレイ」と呼ばれていたため、当館ではそのように表示したようです。体表の背中部分に小さなトゲが多数あるので「イバラ」。このエイの皮は「かいらぎ(梅花皮)」と呼ばれ、刀剣の鞘(さや)や柄(つか)などの装飾に使われるそうです。棘は楯鱗(じゅんりん)と呼ばれるウロコであり、その形は梅に似ているというのがおもしろいですね。写真は以前、地下鉄の駅などにおいていた「海遊館とベイエリアのおもしろ情報誌」からです。花にちなんだ魚の名前は「色」からきていると思い込んでいましたが、「ウロコ」からもきているのがわかり、魚名って本当に奥深いなあと思います。

魚類

2025.04.18

カテゴリ別に見る

タグ別に見る

  1. ホーム
  2. 生きものを知る
  3. 海遊館の舞台ウラ

フォローして海遊館とつながろう!