海遊館日記

2016年6月

サビとの闘い(以布利センターバーション)

"♪ここは最果てぇ~以布利の~港ぉ~"と思わず口ずさんでしまいましたが、今回は高知県以布利センターの設備点検に行ってきました。
▼最果て?以布利の港
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当地では、周りが海に囲まれているため金属部分のほとんどが錆びているといっても過言ではありません。
▼錆びたナイフならぬ錆びたポンプ
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対策はサビ落しをして、ペンキを塗るのですが、モーターの端子箱(電気の線をつなぐ所)がサビで脱落しているのを見て唖然としました。
▼まとなモーター
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▼かわいそうなモーター
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これは交換するしかありません。
闘う前に敗北することがよくあります(>_<)。


コツメカワウソのグミ、地べたが好きなの?

「日本の森」のコツメカワウソ。
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ん?あなたは誰??
「ツバキでーす」

ってことは、水から上がってきたあなたはツバキの娘・グミちゃん?
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「そうよ!」
グミも上手に泳ぐことができるようになったんだね。

現在、"わんぱくフォー"は夏恒例の健康診断のため、ツバキ&グミを展示中です。

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▲健康診断待ちの方々

久々の「日本の森」で泳いだり、アユをおっかけたり、葉っぱで遊んだりと楽しいグミなのですが、どういうわけか、グミちゃん、木の上ではまだ寝ることができません。
木の上に乗るのがこわい?
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「わたしはここでいいの」

お母さんは木の上ですやすや寝てるよ。
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木の上は気持ちいいんだけどなー。
そういえば、予備水槽でもこんなことがありましたね。
海遊館日記:私も一緒に寝たいのに~・・・
この後、ハンモックで寝ているのは確認したんですけどね。
グミったら地べたが好きなのかしら?と思う担当でした。

カピバラの歯はすごい!かーたんが教えてくれたこと


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かーたん(昨年死亡)は、腸にできた腫瘍が原因でしたが、餌をあまり食べられなくなった時に疑ったのは歯の異常でした。
カピバラの前歯は、給餌の時にしっかり見えるのでわかりやすいのですが、奥歯は麻酔をかけて処置をした際に、かなり獣医ががんばって見てくれていたものの、奥のほうは見えにくいということでした。

そこで、かーたんの頭骨を標本にしました。
まず、上から見たところ。
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次に横からみたところ。
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口腔がかなり大きいのがわかります。
麻酔下では口ががばっと開くわけではないので、獣医の手も奥まで入りづらかったでしょう。

今度は正面から見てみましょう。
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前歯(切歯)の上は若干欠けています。
現在、ぴーたんの前歯も同じように欠けていますが、カピバラの歯は人間とは異なり、また伸びてくるので、問題はないと思われます。

そして、口腔から見た臼歯は!
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見事な臼歯がずらりと並んでいます。

臼歯の横から見ると。
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このようになっていました。
臼歯はものすごく大きなきしめんを折りたたんだようなイメージでした。
この臼歯で草をすりつぶして食べる歯なのだなーと感銘を受けました。

ということで、カピバラは切歯が全部で4本、前臼歯4本、後臼歯12本で計20本の歯がありました。
今後、カピバラの歯の処置などを行う時はぜひ参考にしたいと思い、カピバラ担当者と獣医でじっくり観察しました。

教えてくれてありがとう、と改めてかーたんに感謝します。

大阪湾で出会った生き物たち【ワレカラ】(ワレカラファンのつぶやき...2)

先日、ワレカラの特別講座が終了しました。

講師にお招きした阪口先生は、大阪湾のワレカラについて詳しく調査・研究されている方で、興味深いお話を伺うことができました。
▼ワレカラの講義をする阪口先生
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先生によると、大阪湾では約20種類のワレカラが見つかっていますが、湾奥に出現するのは、トゲワレカラ・クビナガワレカラ・ウミモワレカラの3種類にほぼ限定されるそうです。
▼トゲワレカラ
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▼クビナガワレカ
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▼ウミモワレカラ
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海遊館前の岸壁調査でもまさにこの3種類のみが記録されています。
どうもこの3種は海水の塩分濃度が低い方がお好みのようで、特にウミモワレカラは河口域に出現する傾向が強いとの事でした。
講座では、特殊な粘土でワレカラのフィギア作りにも挑戦しました。
▼フィギア作りに熱中する参加者のみなさん
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なるべく実物に近いワレカラを作るため、体の節の数や脚の付き方など細かな部分にも気を使いました。
おかげで参加したみなさんは完成まで1時間以上もかかって苦労しましたが、出来上がった時の達成感はひとしおでした。
なお、阪口先生もこのレプリカ作りに参加され、四苦八苦されながらも完成時にはにっこりと写真に納まっていただけました。
▼出来上がったワレカラフィギアを手にする阪口先生
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以布利通信 その2

こんにちは。
こちらは、以布利センターです。

センターでは現在、生簀でマンボウを飼育しています。
毎日、給餌の時に生簀に行くのですが、生簀の周りにはいろいろな魚がいます。
そこで本日は、この3種の魚を紹介したいと思います。
▼ロクセンスズメダイ
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▼テンジクスズメダイ
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▼オヤビッチャ
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この魚たちは上から見るとどの種類かとてもわかりにくいのですが、横から見ると違いがわかってきます。

体側の黒い横縞の数も違いますが、見るポイントはずばり尾ビレです!!
ロクセンスズメダイは尾ビレに2本黒い線があり、先端が尖っています。
テンジクスズメダイは尾ビレに黒い線がなく、先端が尖っていません。
オヤビッチャは尾ビレに黒い線がなく、先端が尖っています。

種がわかると、観察が楽しくなりますよ。
他の魚でも調べてみてくださいね。


親分(レオ)と子分(しずく)?

カリフォルニアアシカのレオ(2歳)としずく(もうすぐ1歳)、いつも一緒です。

例えば、お昼寝
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▼例えば飼育員に近寄るとき

▼そして飼育員がレオとしずくを呼びすぎて、レオとしずくがそれに飽きるとき

▼最後には飼育員に寄ってくるとき

親分と子分かはわからないですが、親分と子分みたいな2頭でした♪

※レオとしずくの見分け方:レオの後ろにくっついてるのがしずくです



悲願達成!イワトビペンギンの雛が誕生しました

先日、ついにイワトビペンギンの雛が誕生しました!
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2013年に展示水槽がオープンしてから3年・・・
新しい個体群の形成、温度・照明調整管理、栄養状態の向上などなど、少しづつ積み重ねた努力がようやく報われました。

しかも3羽も孵化するという快挙!
海遊館では1990年の開館以来、イワトビペンギンを飼育していますが、親鳥による子育てに成功した実績はありません。
過去のノウハウを生かして人工育雛に切り替え、我々飼育担当が育てることも検討しましたが、親鳥による子育てに兆戦する決断をしました。

その判断が吉と出て、雛の体重はぐんぐん伸び、生まれて1週間で体重は3~5倍にまで成長しました。
親鳥の凄さを痛感されられます。

現在、雛の成長も安定に向かい、少し安心して見ていられるようになりました。

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イワトビペンギンの子育てを是非、間近でご観覧下さい。
※但し、繁殖期間中は清掃が不十分になるため、臭いに敏感な方は、水槽から少し離れてご見学することをお勧めします。

革ジャン??

「クック海峡」水槽を見ていると、カワハギの仲間発見!
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はて?こんなのいたっけ?と担当に聞くと、これは「ホースシューレザージャケットですよ」とのこと。

レザージャケットとは革ジャンのこと。

カワハギの仲間は、鱗が退化して皮と一体化しています。
カワハギを料理したことのある方は、少し切れ目を入れたら皮がすっととれるのがわかりますよね?
なるほど、これを革ジャンに例えたのかー!!おっしゃれー!ふむふむ。
で、ホースシューとはなんぞ?と訳すると馬蹄、馬のひづめにつけるU字型の金属のことです。
さっそく図鑑やネットで写真を見ると、体側にひづめのようなもようがありました。
むっちゃきれいやん!

でも、うちのは...。
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ひづめはないし、色合いも地味。
「ウマヅラハギみたいやねえ」と担当に言うと...。
▼ウマヅラハギ
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「大きくなると40~50cmになるのですが、この個体はまだ20cmほどの若魚。模様はこれから出るのです。」と言うのですが...。

「ほんまにホースシューレザージャケットなん??これが馬の蹄模様になるの??」としつこく聞いたところ、不安になったらしく「もう一度調べます...」と小さい声で返答が。

数日後、「すみません、ホースシューレザージャケットではありませんでした。」と平謝りの担当。

「で、なんちゅう名前ですのん?」
「シックススパインドレザージャケットでした。」

直訳すると、6つの棘がある革ジャン、じゃん。
6つの棘とは尾柄部(尾の付け根)にあり、オスのほうがメスより若干長いそうです。
また、この個体は若いオスで、若いメスは茶色系なのだとか。見たいなあ...。
大きくなるとホースシュージャケットに似た感じの色合いになるらしいので、大きくなるのが楽しみです。
海外から来る魚は査定が難しいですが、水族館として正しいことをお伝えできるようにしなくてはと改めて思いました。

コツメカワウソのロック、腫瘍摘出手術

コツメカワウソのロック。
昨夏より腰の辺りに小さなふくらみがありました。
それがだんだんと大きくなってきたため、組織をとって獣医に調べてもらったところ、肥満性細胞種とのこと。

肥満性細胞種とは、犬や猫にもよくみられる腫瘍のことで、再発を阻止するためには広範囲を切除しなくてはなりません。
もともと心臓疾患のあるロックですので、処置については充分に準備をして、6月上旬に摘出手術を実施しました。
※手術写真があるので注意!

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麻酔をかけるための箱(導入箱)に入り、ちょっとすね気味なロックです。

麻酔後、メスを入れる前の準備に約40分。
腫瘍の周りは毛をそり、摘出場所はマジックで線をひきました。
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そして、手術開始。
慎重に腫瘍を取り除きました。

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腫瘍は直径3cm、高さは2cmくらいでしょうか。

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切り取った場所は大きな穴が開いているので、皮を寄せながら縫合していきます。
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なんと、表は19針、内側はその2倍以上もちまちまと縫合しています。
手術は4時間で無事終了!

ロック、よくがんばったね。
獣医も見守った担当たちもお疲れ様でした。

さて、麻酔が覚め、ドックケージに入り、カワウソ予備室に帰ったロックです。
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「実家に帰らせてもらうわ!」って、ここが実家です。

術後数日のロック。
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すっかり元気になりましたが、抗生剤などの薬を餌にまぜると「いや~~っ!!」と吐き出すので、注射しています。
注射のほうがいやだと思うけどなあ...。

患部もくっつきつつあります。
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しばらくしたら抜糸がありますが、それまでは経過観察です。

腫瘍は研究機関に送って詳しく調べてもらっています。
悪性ではありませんように!
再発しませんように!!
本人はいたってのんきにしてますが...。
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カワウソ担当一同、心から祈るばかりです。


はやりのイクメン ロイヤルファロウェラさん

みなさん、おはようございます。
私は普段、飼育展示部の普及交流チームでスクールやイベントの準備などをしています。
今は生き物の飼育から離れているのですが、時間があるときは出来るだけ館内を歩いて生き物たちが元気にしているか、変わったことはないか、新しい発見はないか・・・とアンテナを張るように心がけています。

先日の記事でもご紹介しましたが、「エクアドル熱帯雨林」水槽のロイヤルファロウェラの産卵の様子を今回は動画でご紹介します。

メスが卵を産み、隣でオスが見守って?いました。
オスはメスのそばで卵を守ったり、稚魚がふ化しても決して食べたりせずに子守をするみたいです。
ただこちらの水槽はたくさんの生き物がすんでいるため、他の生き物に食べられてしまうこともあります。

ところで、ロイヤルファロウェラには、オスとメスの見分け方ポイントがあります。
オスにはなんと「ヒゲ」が生えています!!人間みたいですよね~。
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写真の上がメスです。
オスとメスで見分けのつかない魚も多くいますが、見分けがつく魚は大きさが違ったり、体の色が違ったり、ヒレの形が違ったりと生き物によってさまざまなんです。
ロイヤルファロウェラの場合はヒゲで見分けることが出来ます。
ペアで泳いでいるところを見つけたらぜひ見分けてみてください!
エクアドル熱帯雨林水槽をじーっと観察してみると、他にも面白い発見があるかもしれません♪

「パナマ湾」水槽の「上・中・下」

先日のおとまりスクールで、参加者のみなさんと一緒に朝の見学をしました。
朝の見学は下の階から順々に上がっていきます。
で、今回はパナマ湾水槽に注目してみました。

底ではイシガキフグが目覚めて、そろそろ活動しようかなー、という感じでした。
ハリセンボンは砂の上で寝ていますが、イシガキフグはいろんなところでじーっとして寝ています。
コモリザメはまだおねむかな?
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中層ではサザナミフグが岩に座ってます。
笑っているような顔をしているけど、まだ活動しないみたいです。
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そして、上層では!
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桟の部分にどでーんと横たわるジャイアントホークフィッシュがいました。
これが見られたのはとてもレアですよ!

このように上層、中層、底と、場所によって見られる魚は様々ですので、見比べていただけると楽しいのではないでしょうか?
ぜひお試しあれ。


今回の主役は?

5月20日から5階企画展示室で始まった「ぎゅぎゅっとキュート」。
色や模様が美しくキュートな魚たちを展示しています。

今回の主役はこちら!
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みなさまもよくご存知のナンヨウハギとクマノミです。
私はこのレプリカに勝手に「ぎゅぎゅ」ちゃんと「キュート」くんという名前をつけてます。
一緒に写真を撮ってくださいね。

そして、もうひとつの主役は入ってどーんと正面にあるドーム(半球形)水槽です。
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この水槽は担当が四国の水族館で見て、惚れ込み作成した水槽です。
ここにナンヨウハギたちもいますので、ご覧ください。

これから順に展示している生物について紹介していきたいと思います。
どうぞお楽しみに♪


またまた 怪しい人たち

昨年の7月21日の海遊館日記の続編、「またまた怪しい人たち」が帰ってきました。
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前回にも増して怪しい人たちです。閉館後、最後のお客様を見送ります。案の定、お客様は不思議そうに見ていきます。
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特別展示「シャークワールド」は、無事に終わりましたが、我々には最大のミッションが残っていました。

コギクザメの移動!

ホルマリンの匂いと強烈な重さ・・・。以前、戦ったメンバーの代わりに、何も知らない新人さんが投入されていました。
あいにく私は、吊上げる機械を担当することになり、自動的に参戦となりました・・・
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入れるのも大変、出すのも大変です。
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前回の反省をふまえて、なるべく吊り上げられる高さを大きくしました。
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ようやく階段下まで降りることができました。
ここまでくれば楽勝です。
みなさん、お疲れ様でしたといいたいところですが
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大きな水槽の移動も残っていました。

みなさん、お疲れ様!


お!ロイヤルファロウェラさん

先日、館内を巡回していると「エクアドル熱帯雨林」水槽で、不審な動きをしている2匹の魚がいました。
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アクリルガラスにへばりつき、小刻みに動いています。
よ~くみると、なんと産卵しているではありませんか!
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アクリルガラスに産み付けられた卵たち。
元気に生まれたらいいのになぁ。

海のにゃんこ

今、ちょっとしたネコ=にゃんこブームなようですね。

夕方、「太平洋」水槽を見ていたら、こんなことをしているサメがいました。
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「顎を乗せられて、下のサメ、むっちゃ迷惑やん!」と思って、正面から見ると...。
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上に乗ってふんふんっと鼻息荒そうなのは、ネコザメでした。

それにしても、この顔、みなさん、ネコに見えますか??
どう見てもブタみたい...。

ネコザメの眼のあたりに隆起があり、
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これが正面から見た時、猫のように見えるのでネコザメという説があります。

つまりは
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こういうこと。

そ、そうなの?
ちょっと無理はないですか???

さて、ネコザメといえば、卵の形がとてもおもしろいです。
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スクリューねじのような形。

ネコザメは岩場や底に暮らしているので、岩の間などに卵がすぽっとおさまり、ごろごろころがっていかないようにできているのです。

海のにゃんこは、いろいろと面白いですね。



「ワモンだって、引きつるモン!」

さて、ひさしぶりのワモンアザラシ、アラレです。
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最近、採血のトレーニングをしています。
これが採血のポーズ。
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もう、私が血管をしっかり当てることができれば、無保定(ムホテイ:つかまえずに体がフリーな状態)で採血ができるようになります。

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後ろ足のところから採血するので、私はそっちしか見ていなかったのですが、どうも顔がおかしいらしい。
ということで撮影してもらったのが下の写真です。
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可愛らしいアラレの顔が、引きつっている・・・
私も採血されるときは目を背けてしまいます。アラレ、気持ちわかるヨ。

無表情そうなアザラシたちですが、案外気持ちが顔に出ちゃうみたいです。

お食事タイムのときに練習をしているので、びっくりされるかもしれませんが、これはアラレにストレスをかけずに健康チェックするためなので、応援をお願いします。

肉食女子!だったよね!

バックヤードでのんびり過ごしているリスザルのアンズ。
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他のリスザルとは折り合いが悪いアンズは、昨年、長らく一緒に過ごした(旦那さん)のジャックが21歳で亡くなり、今はひとりですが、特に寂しそうな様子はみられません。

1998年に関東の動物園からやってきたアンズは、その当時3~4歳だったと推定されますので、現在は21~22歳ぐらいと考えています。

一般にリスザルの寿命は10~15年と言われていることを考えれば、アンズはかなり高齢です。

これまでに3回も出産し、体が大きいイメージがあったアンズも、寄る年波には勝てず、体が小さくなってきました。

▼4年前のアンズ。上の写真と比べるとかなりふっくらしています。
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定期健康診断で甲状腺の病気が見つかり、毎日薬を飲んでいます。
抵抗力をつけるため少しでも痩せを止めたいと、いろいろな果物を買ってきて与えるのですが、あまり効果がありません。
はて?「アンズは何が好きだっけ??」と以前の担当者に相談したところ「アンズといえば、肉ですよ、肉」と教えてくれました。

そうだ、アンズは肉食女子だったわー。

リスザルというと果物を食べているイメージですが、実は自然界でも6割以上は昆虫など動物性のものを食べています。
当館で与えている肉系は、人工餌料やコオロギ、ゆで卵、ささみなどですが、もっといいものはないか?と考えて、以前にも与えていた冷凍マウスにしよう!!ということに。
小さな冷凍マウスなら骨もやわらかいし、内臓も栄養になりますから。

ただ、先日の定期健康診断でアンズの口内を見ると...。
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前歯がほとんどありません・・・。
出産後、どどっと歯に負担がきたのです。

本当は下記の図のように全部で9本×2(左右)×2(上下)=36本あるはずなのに、
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上が10本、下が2本しかなく、磨耗しているので、あまり硬いものはNGですね、これは。

しかし、先日、ハナグマのリンゴ(♂)に与えている鶏頭を少しだけアンズに与えるとばりばり食べていました。
やっぱりアンズは肉食女子なのでした。

「これ大好きーー!!」という食べ物が見つかるといいのですが。
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もう寝ます~



楽しく暑さ対策♪

だんだんと日差しも強くなり、暑くなってきましたね...
そこで、暑さでバテないよう、バケツいっぱいに氷を持ってアシカやアザラシたちの水槽へ行ってきました!!

大きな氷や小さな氷、中にはシシャモを入れて凍らせた氷、色々な形のものを持って行きました!!
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アシカたちは興味津々!!
くわえたり、つついたり、くわえて潜っていったり、個体によって遊び方が違っていて見ていて面白かったです。
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見ているだけで清涼感満載!!
アシカやアザラシたちは涼んでくれたでしょうか?

これから更に暑さが厳しくなってきます。
みなさんも暑さにまけないよう、楽しい暑さ対策を探してみてはいかがでしょうか?


しんかいすい

「しんかいすい」という言葉を聞いた方はいないと思いますが、海遊館の飼育展示部(飼育員たち)では普通に通用します(笑)

私が初めて聞いた時は「深海水」と思っていました。

新鮮な海水 ≒ 略して「新海水」、黒潮が接岸する和歌山県日御碕沖のきれいな海水を取水し、専用の運搬船で海遊館まで運んできた海水のことをそう呼んでいます。
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設備チームでは新海水が来ると、水質を検査します。

まず、船に乗り移って
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新海水の入っている上蓋をあけて
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プランクトンの量や水の濁り具合をチェック
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問題なければ、採水ビンに新海水を入れて検査室で水質チェック
▼チェック項目
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基準をクリアすると、海遊館に搬入されます。

船員の皆様、いつもありがとうございます。


イルカ通信6月号~お年頃のアクア編~

梅雨の季節になりましたね。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

先日、カマイルカの「アクア」を予備水槽に移動しました。「タスマン海」水槽で誕生してから、父:クルー、母:アーチ、幼馴染:ミューと一緒に4頭で暮らしてきたのですが、最近、餌の時間に集中力がなかったり、体をくねらせたり、血液中の性ホルモンの値に変化が見られたりと、発情のような兆しがみられるようになったのです。

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▲左が父:クルー、右が母:アーチ
アクアは、2010年にうまれ、今年で6歳。

▼アクアのこども時代の写真です。
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発情するにはまだ少し早いような気もしましたが、万が一の可能性も考えて、予備水槽への移動を決定しました。

こんなに小さかったアクアが大人へと成長している・・・
かわいいアクアと遊んでいたい、でも、アクアがお母さんになってこどもと泳いでいるところが見たい。生まれる前から見てきた私はうれしいような悲しいような複雑な心境です。

予備水槽に移ったアクアは、顔なじみのルーシー(メス)と、初対面のキール(オス)との生活が始まり、まだそわそわしています。

落ち着くにはもう少し時間がかかりそうですが、アクアの様子をしっかり見つめていきます。
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口を開けてアピールするアクア。

大阪湾で出会った生き物たち「板びき網漁」

先日、大阪湾南部の漁業協同組合にお願いして、板びき網漁に同行させていただきました。

板びき網とは、開口板が水中でひっぱられると水の抵抗で袋網の口を広げる役割を果し、この状態で海底付近を引き回す漁です。
▼開口板
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▼板びき網漁
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※大阪府環境農林水産総合研究所ホームページ
http://www.kannousuiken-osaka.or.jp/zukan/station/osaka/kaisui/gyogyou/sokobiki.htmlより引用

この日の漁場は大阪湾の湾口にある友ヶ島付近でした。
網をひき始めて約20分後、引き上げられた網の中の漁獲物を甲板にぶっちゃけた時の様子が下の写真です。
▼甲板上に広げられた漁獲物(1回分)
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港を出てから帰港するまで約9時間の航海でしたが、網を曳いたのは10回ほど、少しづつ場所をかえながら繰りかえされました。
今回確認できた魚の種類は以下の通りです。
ドチザメ・ドチザメの仲間・サカタザメの仲間・ガンギエイの仲間・アカエイ・ハモ・アナゴの仲間・カサゴの仲間・トゲカナガシラ・オニゴチ・コチの仲間・ホタルジャコ・テンジクダイ・マアジ・オキヒイラギ・ヘダイ・クロダイ・マダイ・シロギス・ヒメジ・イシダイ・マナガツオ・トラギスの仲間・ホロヌメリ・ヤリヌメリ・タマガンゾウビラメ・セトウシノシタ・ウシノシタの仲間・ウマズラハギ・フグの仲間

以上の30種類ですが、特にマダイとマアジの数が多かったようです。
なお、見逃してしまったものもありますので、種数はさらに増えるはずです。
この他に、エビ・カニ・シャコ類、イカ・タコ類、貝類なども加わり、甲板上はまさに大阪湾の「底もの」たちの多様性をギュッと詰め込んだようでした。

実際に漁業の現場を体験することで、大阪湾の「豊かさ」を実感できました。

でも・・・、小雨が降りしきる中、船上の約9時間は私にとってしばらくは船に乗るのは遠慮したくなるのに十分な長さでした。漁師さんはすごい!


ビワが実りました

ある朝、「日本の森」の植物に水やりしていた時ふと上を見上げると
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ビワが実っていました。

早速採りにいくことに。
しかし、ビワの木がある所までは茂みをかき分け滝を2つ乗り越えないといけません。
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なんとか辿り着き、命がけ?で採りに行ったビワの味は格別でした!
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※動物たちが食べても大丈夫か味見しただけで、一口かじっただけです(笑)

今年は去年同様、豊作でした。
早く動物たちにあげたいですね♪

以布利センター通信「キタマクラ」

こんにちは。
私は、4月から高知県土佐清水市にある「海遊館海洋生物研究所以布利センター」に配属となりました。
以布利センターの様子を皆様にお伝えしていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

さて、センターの近くには以布利港という港があります。

港を覗くといろいろな種類の魚を見ることができます。
本日紹介したい魚はこちら!
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これはフグの仲間のキタマクラです。
「北枕」という名前は、キタマクラには毒があるので、「食べると危ないよ」ということでつけられたようです。
(注:現在、海遊館では展示していておりません。)

今回紹介したかったのは.........
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写真の左側にいるキタマクラです。
右のキタマクラよりもちょっと青味がかっているのがおわかりでしょうか?
目の周りや尾びれなどがわかりやすいと思います。
実物はもっとわかりやすいんですけども...。

キタマクラは春先からこの時期にかけて繁殖シーズン。オスはメスにアピールするための婚姻色となるのです。

明るい太陽の光を受けて、とてもきれいな色に関心しました。

また、発見があったらお知らせしますね。

ゴマフアザラシの寝床

「モンタレー湾」水槽には、2つのイカダ(飼育員の間ではフロートと呼んでいます)があります。

ここは普段アシカたちの寝床になっているのですが・・・
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最近はゴマフアザラシのパールの寝床になっています。
パールは今、換毛(一年に一度の毛の生え変わり)の時期。
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▲毛が抜けた部分は、黒っぽく見えます。
この状態ででこぼこした岩の上で寝るのは痛いようで、ツルっとした床のフロートを選んでいるようです。

そして、寝床を先取りされたアシカたちは、パールに寝床を譲って他の場所へ移動して寝ています。
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アシカとアザラシたちでケンカすることなく寝床を譲りあえるのは素敵ですよね!

パールの美しい毛が生えてくるのが待ちどおしい♪
いまの時期は皆さんの近くでアザラシたちが寝ている様子がご覧いただけるかもしれませんよ(^^)

いつもと少し様子が違う「モンタレー湾」水槽の近況でした。


グミの吻タッチトレーニング

さて、グミの吻タッチの話の続きです。
コツメカワウソのグミにどうやって吻タッチを教えたのか?をニフレルのIさんに聞きました。

まずはターゲット(的)に触る練習です。
当館ではこのようなターゲットを使用しています。
20160530_1.JPG
直径約3cmの的に約30cmの柄がついています。

最初はグミもターゲットに対し、「なんじゃ、こりゃ!」と警戒していましたが、特に害がないものと理解させるため、徐々に慣らしていきます。
そして、次はターゲットに吻をつけることができたらOK→餌、を繰り返し、吻をつける時間をだんだん長くしていきます。

実はターゲットタッチは当館でもできていました。
これならば、咬まれることはないので。

ターゲットタッチが長くできるようになったら、今度は係員がターゲット(の柄)を持つ位置を少しずつ的に近づけていきます。
最終的には手で的を持っても気にしないようします。
図1.jpg

これができたら、次はターゲットの代わりに吻タッチマシーンを使用します。
吻タッチマシーンとは?
20160530_2.JPG
私が開発?したものでして、透明の板に取っ手がついてます。
これにタッチすればOKです。
図2.jpg

そして、次に吻タッチマシーンを手に装着!
20160530_3.JPG
だんだんと指をマシーンからそろそろ出して、指先から直接吻に触れていきます。
図3.jpg ←すごい手ですね~。

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(モデルはハチくん)

最後にマシーンをはずし、直接、吻に触れる→完成!!ばんざーい!
20160530_5.JPG
・・・という手順なのでした。

当館で生まれたこどもたちは、だいたい離乳訓練の際に吻先にトンっと触わりながら吻タッチを教えてきたのですが、それを行い損ねて成長してしまったのがグミでした。

きっと、グミのことだから、Iさんはかなりキレられていたのではないかと思いますが、根気よくトレーニングしてくれてありがとう!

それにしても。
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のんびりやのツバキの吻タッチと、
20160530_7.JPG
グミの吻タッチ。

ツバキはちょっと口が開いてますけど、彼女に吻タッチを教えたのは私なので、あまり怖いとは思いませんが、グミへの吻タッチは今だにドキドキしている私なのでした。

ふふん♪
20160530_8.JPG


感動!コツメカワウソ"グミ"の吻タッチ

ちょっと前のことですが、私がたいへん感動したことについてお話したいと思います。
当館の動物たちに給餌する時、係員はまず動物に吻(鼻先)タッチを覚えてもらいます。
吻タッチとはこれです。(モデルはゴマフアザラシのラピスです)
20160526_1.jpg
ここから、いろいろなトリック(握手とかボディタッチとかetc.)を教えていくわけです。

2012年1月に生まれたコツメカワウソのグミは4きょうだいの花一点(娘)で、同じ時に生まれたロックなどよりもたいへん気が強く、お母さんのツバキに対しても強いコです。
(▼左:ツバキ、右:グミ)
20160526_2.JPG
お母さんだけでなく、係員に対してもとても強気で(笑)、餌の時間に少しでも餌を渡すのにもたついて遅れたりしようものなら「ギャィッ」と手にとびつき、ひと噛みしてくるような激しい娘なのです。

カワウソの性格も人間と同じように様々で、のんびりやさんもいれば、グミのようにおこりんぼもいます。
そんなグミなので、吻タッチトレーニングはずっと後回しになっていました。

しかし、昨年12月~今年の2月まで、ニフレルに出張(?)中に、元アシカアザラシ担当I嬢の指導(?)により、グミは変わりました。
なんと!吻タッチができるようになったというのです。

海遊館に戻ってきたグミ、担当の若い係員たちに「グミ、吻タッチできるようになったやろ?みんなできるの?」と聞くと、「できますよ」と答えます。
みんなができるのなら、私もできるかなあ...。でも、最近私、あんまり担当に入らないし、いまひとつ、グミは信用ならんしなぁ...などと思ってたら、遂に私がカワウソ担当の日が回ってきてしまったのです。

餌の時間になり、部屋の扉をばーんと開けると、ツバキとグミが待ちかまえていました。
まずはツバキに吻タッチして餌を与えます。
次はグミの番。
えーい!やってみるぞ!!と決心して、そーっとグミの吻先に手をのばすと...。
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こつん!
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きゃーっ!!できた!!グミが吻タッチした!!
本当に感動しましたわー。
写真を後で見ると、グミの目がちょっとこわい気がしないでもありませんが(笑)。

ありがとう、I嬢。
次回は、I嬢はどうやってグミに吻タッチを教えたか?をみなさまにお知らせしますね。


オウサマペンギンの換羽

オウサマペンギンたちは、今、換羽と呼ばれる羽の生え変わりの時期を迎えています。
20160526_1.JPG

「南極大陸」水槽の掃除の時に、抜け落ちた羽を回収するのですが、とんでもない量の羽を回収します。
多いときでは、バスケットボールくらいの大きさの羽玉ができることも・・・

160526_2.JPG
餌やりも大変ですが、今の時期は掃除の方が大変そうですね。
掃除をしている飼育員さんを見かけたら応援してあげましょう!!


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