世界へピョンピョン 国際ペンギン会議参加報告 Part3

今回は、「チリ国立動物園見学編とバルパライソ水族館見学編」です。

サンチアゴ市内中心部には「サン・クリストバルの丘」という市街地との標高差が288mの小高い丘があり、公園として整備されています。チリ国立動物園はその丘の斜面にあります。
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開園は1925年と、100年近くの歴史のある動物園で、近年では順次エリア毎にリニューアル工事が続いているようです。
リニューアルしたエリアは急斜面という立地上のデメリットをうまく活用する工夫が施されており、その展示手法はとても参考になりました。

動物園内にはチリに暮らす動物の他、世界中の動物が展示されています。また、どのエリアでも動物がもつ本来の行動を引き出したり、動物園での暮らしをより良いものにしたりする環境エンリッチメントの工夫が、いくつも実施されていたのが印象的でした。

今回はたくさんのエリアの中から、いくつかを紹介させていただきます。

まず、動物園に入ってすぐにミーアキャットがお出迎えしてくれます。観覧通路は坂を上るようになるため、展示エリアの地面は目線から少しずつ上がってくるように設定されています。
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そのため、大人でも子供でも、目線の高さでミーアキャットを見ることができます。動物も活発に動いており、こんな写真も苦労なく撮影できました。
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私たちが最も圧倒されたのは、トラの展示です。
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急斜面を利用した高低差のある展示場に、多様な環境を作り、かつ裏側にはトラの生態と保全に関する展示、さらに観察窓まで設けられ、トラを余すことなく見ることができます。時間が許すなら、何時間でもこの場所でトラを観察していたいと思える展示でした。

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陸上動物の他にも海の動物も暮らしています。

チリの海岸に生息し、時にフンボルトペンギンの天敵にもなるアシカの仲間、オタリアです。
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実はこのあとチリ沿岸で、たくさんのオタリアを見ることになります。チリの沿岸の生き物の豊かさを実感することになるのですが、そのお話はまた今度...。

そして、最後はフンボルトペンギンです。
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日本の動物園水族館では多くのペンギン類が飼育されているのですが、その中でもフンボルトペンギンは最も、いや断トツに飼育数が多く、国内に1800羽以上が飼育されています。
フンボルトペンギンは、チリ国内でも比較的暖かい地域で暮らしています。そのため、日本の気候もぴったりなのでしょう。

ペンギンエリアのプールは斜面の下側に作られているため、水中の様子も見やすくなっています。
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斜面を登ると上からペンギンたちの様子を観察できるように作られています。
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入り口の壁面にも描かれていましたが、園内でもフンボルトペンギンの絵を見ることができました。
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ペンギンエリアのリニューアルは十何年か前、おそらく動物園のリニューアル計画でも最初の方に実施されていたのではと推測しています。
ひと昔前は、人が暮らすようなチリの沿岸域にペンギンがいるということはあまり知られていなかった(関心がなかった?)そうです。動物園としてこのように展示に力を入れしっかりアピールしてきたこともあり、現地を訪ねるとフンボルトペンギンの存在は一定数認知されているように感じました。

続いて訪れたのは、バルパライソ水族館です。
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とても小さな水族館なのですが、水族館の大切な役割である、生き物や自然環境、環境保全について来館者に伝えることにとても重きを置いている印象を受けました。
展示物で最も興奮したものはこれ↓です。
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とても大きなフジツボの一種、「ピコロコ」です。
手のひらほどの大きさにもなります。
このピコロコの殻を展示にうまく活用されていました。
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ちなみにこのピコロコはレストランでもメニューにあるそうです。
今回のチリ訪問で食したかったのですが、願いかなわず...。
水族館ではピコロコの殻だけでしたが、鮮魚市場でその姿を見ることもできました。
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動物園、水族館の視察を終えると、いよいよ国際ペンギン会議ですが、その前に少し息抜きで、次回Part4ではバルパライソとビニャデルマールの街を紹介したいと思います。

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