調査・研究
2023年10月19日
海遊館は、2023年7月11日(火)から、高知県の定置網に入網したジンベエザメに記録装置(データロガー)を取り付け、回遊ルート等、生態解明を目指した調査を行っていました。
→ジンベエザメの調査を開始しました。
1ヶ月間の調査を終え、記録装置から送信された調査データを取得することに成功しました。
データを解析し、今回の調査で分かったことをご報告致します。
1.回遊ルート
過去の調査個体では日本列島に沿って関東~東北沖までや、南下しフィリピン付近まで回遊していたことが記録できていますが、今回の調査個体は南東へ進み、小笠原諸島付近まで回遊していたことが分かりました。
2.潜行回数
今回は取得できたデータ数が多く、10分おきの詳細な遊泳データによって、明け方と夕方に潜行回数が多かったことが分かりました。
3.深海域への長時間潜行
小笠原諸島付近では、水深500~600mの深海域へ最大6時間ほど潜行していたことが分かりました。
水温データをみてみると、他の海域と比較して水温が高く、それが長時間潜行できた理由ではないかと考えています。
今後は調査データをより細かく解析していく予定です。
調査結果は引き続き、海遊館ホームページでお知らせ致します。
ジンベエザメの回遊ルート調査「バイオロギング」は、調査のさらなる発展のために、2022年12月から2023年2月にかけてクラウドファンディングを実施し、1,000万円を超えるご支援をいただくことができました。
→海遊館クラウドファンディングの結果ご報告
皆様からのあたたかいご支援、ご声援により、こうして調査を実施し、成果を出せたことを大変うれしく思います。改めて、厚く御礼申し上げます。
海遊館は、これからもジンベエザメの生態解明を目指し、調査研究に努めてまいります。
2025.06.13
生きもの情報
カリフォルニアアシカの赤ちゃんが誕生しました
2025年6月12日(木)に、「モンタレー湾」水槽でカリフォルニアアシカの赤ちゃんが誕生しました。海遊館でのカリフォルニアアシカの誕生は、今回で19頭目です。 2025年6月11日(水)より、「モンタレー湾」水槽で暮らすメスの「アスカ(15歳)」に出産の兆候を確認し、飼育員が24時間体制で観察を実施していたところ、6月12日(木)午前8時00分、無事に出産を確認しました。母子ともに健康で、「モンタレー湾」水槽では授乳など子育ての様子をご覧いただけます。誕生した赤ちゃんがすくすく育ってくれるよう、成長を見守っていきたいと考えています。尚、赤ちゃんは状況に応じてバックヤード等に移動させることがあり、ご覧いただけない場合がございます。予めご了承ください。 親子の様子(6/12撮影) 今回誕生した赤ちゃんについて(2025年6月12日時点) (6/12撮影) ・生年月日:2020年6月12日(木)・展示水槽:海遊館7階「モンタレー湾」水槽内・体 長:60㎝(目測)・体 重:9.4㎏(実測)・性 別:オス・親:母親 アスカ(15歳)、父親 不明 カリフォルニアアシカについて 英名 : California sea lion学名 : Zalophus californianus北太平洋東岸のみに生息。成長するとオスは体長約200cm、体重約300kg、メスは体長約170cm、体重約100kg になる。オスは全身こげ茶色で、メスはやや淡いこげ茶色。四肢が発達し、水中遊泳だけでなく、陸上歩行にも 役立っている。 一夫多妻で、1頭のオスが約30頭のメスや子どもを率いて「ハーレム」と呼ばれる群れを作り生活する。 妊娠期間は約1年間。通常1回の出産で1頭の子どもを産み、生後約1年間授乳を続ける。 カリフォルニアアシカの担当飼育員からのコメント カリフォルニアアシカの繁殖は季節性があり、受精時期は1年間でごく僅かな期間に限られます。交尾などの繁殖時期にみられる行動の観察だけでは、出産日を特定することが非常に困難な生きものです。今回、母親により一層安心して出産に臨んでもらえるよう、飼育員と獣医師が連携を密にとり、定期的な超音波検査や体重測定等により、出産日の特定に尽力しました。そのこともあり、出産当日は多くの飼育員に見守られ出産を迎え、飼育員一同、歓喜の渦に包まれました。今後もアスカが安心して子育てができ、赤ちゃんが健康にすくすくと育ってくれるよう、担当飼育員全員で協力してケアを行っていきます。
2025.06.12
調査・研究
ミナミイワトビペンギンの人工繁殖研究が、 日本動物園水族館協会最高の賞「古賀賞」を受賞しました
葛西臨海水族園と共同で取り組んでいるミナミイワトビペンギンの人工繁殖研究が、両園館が加盟する日本動物園水族館協会(JAZA)の最高の賞である「古賀賞」を受賞し、2025年5月22日(木)に開催された同協会の総会にて表彰されました。海遊館では2011年より、野生下において絶滅の恐れがあり、また、日本国内での飼育個体数も減少傾向にある本種の繁殖生態の解明と人工繁殖技術の確立を目指した研究を開始しました。2016年からは葛西臨海水族園と連携し、同年に本種では世界初となる液状保存精液を用いた人工授精に成功しました。 2017年には両園館で共同研究契約を締結し、さらなる研究の発展を目指して冷凍保存精液による人工繁殖に着手しました。2022年に葛西臨海水族園で誕生した雛が冷凍保存精液を用いた人工授精による個体と判明し、本種では世界初となる繁殖成功、さらに2024年には、海遊館で誕生した雛が世界2例目の成功を収めました。 日本動物園水族館協会(JAZA)総会の授賞式の様子(豊橋総合動植物公園提供) この度、14年にわたる研究の実績が認められ、日本動物園水族館協会より「古賀賞」を受賞しました。古賀賞は、希少動物(繁殖が難しく、世界的にも重要な種)の繁殖にとくに功績のあった動物園や水族館に対して贈られる、日本動物園水族館協会の最高の賞です。1986年の制定以降、これまでに37件の授与があり、本件が38件目となります。 海遊館と葛西臨海水族園は、本研究で培った技術を用いて、館内繁殖による国内のミナミイワトビペンギンの継続飼育や、将来的には野生下のペンギン類保全へ貢献できればと考えています。研究の発展のため、これからも取り組みを続けてまいります。 人工繫殖研究について詳細はこちら 2024年に海遊館で誕生した冷凍保存精液による人工授精で誕生した雛 人工授精の様子
2025.06.11
生きもの情報
ミナミイワトビペンギンの雛が2羽誕生しました
展示水槽で子育ての様子をご覧いただけます。 2025年5月29日(木)、6月7日(土)に、「フォークランド諸島(マルビナス)」水槽でミナミイワトビペンギンの雛が2羽誕生しました。「フォークランド諸島(マルビナス)」水槽で飼育しているミナミイワトビペンギンたちは、4 月下旬より繁殖期を迎え、複数形成されたペアから2ペアで1羽ずつ、計2羽の雛が誕生しました。 現在は、親鳥がそれぞれの巣で子育てをしており、時折、雛に口移しで餌を与える等の様子をご覧いただけます。 雛たちの成長は順調で、1羽目の雛は孵化から約2週間で体重が10倍以上になりました。2羽目の雛も孵化してから4日で2.5倍を超え、すくすく育っています。飼育員は毎朝の体重測定や観察で健康状態をチェックしながら、子育てを見守っています。 ミナミイワトビペンギンの親子(6月11日撮影) 【ミナミイワトビペンギンの雛について】 【1羽目】・孵化日 : 2025年5月29日(木)・性 別 : 不明・体 重 : 75.3g(孵化直後)752.1g(6月11日時点) 【2羽目】・孵化日 : 2025年6月7日(土)・性 別 : 不明・体 重 : 64.1g(孵化直後)150.0g(6月11日時点)