調査・研究
2020年09月11日

オヤビッチャの稚魚(約2cm)
海遊館では、当館で繁殖に成功したスズメダイの仲間「オヤビッチャ」の稚魚を館内5階の企画展「ぎゅぎゅっとキュート」にて一般公開を開始いたします。今だからこその小さな姿がご覧いただけます。
飼育員が、オヤビッチャの稚魚に関する情報がない中で産卵場所や飼育環境、そして稚魚の餌など様々な工夫を重ねた結果、繁殖に至りました。
また、オスがヒレを使って卵に水流を送る行動は卵の孵化に大きな影響があり、水流ポンプを使った一方向の流れでは孵化もその後の成長もうまくいかないということや、稚魚の成育には海水の比重が関係していることなどがわかってきています。
オヤビッチャの繁殖・展示を通して、命の素晴らしさを感じていただきたいと思っています。
今後も多様な生物が暮らす海、そして地球を未来に届けられるよう、種の保存や環境保全に関わる様々な調査研究活動を続けてまいります。
※稚魚の展示は生き物の状態により予告なく終了する場合がございます。
オヤビッチャの繁殖は、失敗の繰り返しが延々と続きその難しさに心が折れそうになりました。 はじめは、透明で目だけが大きく目立つ赤ちゃんが、次第に白っぽくなりその後、意外なことに真っ黒になりました。 赤ちゃんが育つ過程で、なぜ真っ黒になるのかと不思議に思いましたが、これからも生き物たちをしっかりと観察し、長い時間がかかっても、あきらめずに繁殖研究に取り組んでいきたいと思います。
英名:Indo-Pacific sergeant 学名:Abudefduf vaigiensis
日本を含むサンゴ礁や沿岸地域の岩礁などの温かく浅い海に広く生息しているスズメダイの一種で、体長は20cm程になり、体側にある5本の縞模様が特徴的な魚です。 海遊館では「アクアゲート」水槽、「グレートバリアリーフ」水槽、「ぎゅぎゅっとキュート」(稚魚)にて飼育展示を行っています。
オヤビッチャ(成魚)
2025.11.20
ニュース
水中からメリークリスマス!「サンタダイバー」が登場します
2025.11.19
生きもの情報
飼育員が人工保育した絶滅危惧種の海鳥「エトピリカ」の展示決定!!
~12/1(月)より「アリューシャン列島」水槽にてご覧いただけます~ 2025年12月1日(月)に、同年4月9日よりリフレッシュ工事中の「アリューシャン列島」水槽が再オープンします。これに合わせ、バックヤードで飼育員が人工保育したエトピリカの幼鳥(1羽)がデビューします。今回デビューするエトピリカは、2025年8月25日にバックヤードで誕生しました。誕生直後から飼育員が親代わりとなり、エサやりや体重測定を行って育てています。10月20日からは飼育員が一緒にプールに入って遊泳訓練を重ね、成鳥と同じように泳げるようになりました。現在は水鳥らしい姿になってきましたが、成鳥に比べてクチバシが小さく黒ずんだ色をしており、まだまだ幼くあどけない姿をご覧いただけます。▼飼育員による遊泳訓練の様子 【エトピリカの幼鳥について】 ・産卵日 : 2025年7月18日(金)・孵化日 : 2025年8月25日(月)・性 別 : 不明・体 重 : 54g(孵化直後)→ 610g(2025年11月19日時点)※生きものの状況により予告なく展示を中止する場合がございます。 エトピリカの担当飼育員からのコメント まずは「アリューシャン列島」水槽という新しい環境に早く慣れてほしいです。またバックヤードでしっかり遊泳訓練しましたが、まだまだぎこちない泳ぎ方でとても愛らしいので、たくさんのお客様に幼鳥の間だけの魅力をご覧いただきたいです。 【エトピリカについて】 英名 : Tufted puffin学名 : Fratercula cirrhata北太平洋の亜寒帯域に広く生息する海鳥で、現在、日本国内では北海道の一部地域でのみ繁殖が確認されているものの、その数は少なく、環境省レッドリストにて絶滅危惧IA類に分類されている。
2025.10.31
調査・研究
ジンベエザメの身体測定を実施しました
11月1日(土)の "計量記念日" を前に、10月31日(金)に「太平洋」水槽で飼育展示中のジンベエザメの全長・胴回りの計測を行いました。 結果は以下のとおりです。 全長 胴回り 推定体重 推定年齢 海(かい)/オス 5 m 30 cm昨年(4 m 70 cm) 2 m 60 cm昨年(2 m 30 cm) 1,100 kg昨年( 700 kg) 8~9 歳 遊(ゆう)/メス 6 m 20 cm昨年(6 m 20 cm) 2 m 70 cm昨年(2 m 60 cm) 1,800 kg昨年(1,800 kg) 18~19 歳 「海」は、昨年 10 月 2 日の搬入時に比べ、全長で 60 cm、推定体重で 400 kgも大きくなりました。「遊」は全長には変化ないものの、胴回りが 10 cm 大きくなっています。全長から体重を推定しているため、昨年と同じ推定体重になりますが、増加している可能性が高いと推察されます。 海遊館では、まだ詳しい生態がわかっていないジンベエザメの生態研究や健康管理の一環として、定期的に身体測定を行っています。飼育員が水槽に潜ってエサを食べている最中のジンベエザメにメジャーを当て、全長と胴回りを実測し、推定体重を割り出しました。 計量記念日を通して生きものたちが元気に成長する様子を紹介し、海遊館の健康管理の取り組みや、自然環境について興味をもっていただきたいと考えています。