実はフグの仲間です。

  • 和名:マンボウ
  • 英名:Ocean sunfish
  • 学名:Mola mola

体の後ろ半分を切ってしまったような、ユニークな姿が人気のマンボウ。見かけによらず、実はフグの仲間です。フグと言えば、体を風船のようにふくらませるイメージですが、体をふくらませることはできません。また、成長すると全長約3mにもなり、フグの仲間で一番大きくなる種類です。

マンボウの学術名

ユニークな体型には理由がある!

マンボウの部位説明

フグの仲間の多くは沿岸性で、岩場や海藻の茂った場所、サンゴ礁などに生息しています。マダイなど一般的な魚類と異なり、尾ビレはあまり使わず、胸ビレと背ビレ・尻ビレを使って“ちょこまか”“パタパタ”と泳ぎます。速いスピードで泳ぐのは苦手ですが、小回りがきくため、岩の隙間や海藻についたエサをとるのに適しています。

マンボウは同じフグの仲間ですが、世界中の温帯および熱帯の外洋に生息域を広げていきました。

一般的なフグ(クサフグ)

一般的なフグの形(クサフグ)


日本近海に回遊することが知られていて、高知県土佐清水市にある海遊館の研究施設「大阪海遊館 海洋生物研究所以布利センター」では、冬季に土佐清水市以布利沖の定置網に入網することを確認しています。

定置網に入網したマンボウの個体数

過去25年のマンボウ入網状況
(以布利センター調査)

外洋を広く回遊して暮らすため、背ビレと尻ビレが大きく発達したと考えられています。また、尾ビレはなくなり、背ビレと尻ビレの一部が変化してできた「舵ビレ」という特殊なヒレになりました。舵ビレは、船が方向を変えるための舵と同じ役割を果たしています。
のんびりしていて泳ぎが下手なイメージのマンボウですが、エサをとるときにはすばやく泳ぐことができます。
「以布利センター」で撮影した俊敏に泳ぐマンボウの映像をご覧ください。

海遊館チャンネル

「マンボウはエサを食べるとき
は素早いのです!」

エサは特製の“お団子”

マンボウは、自然の海でクラゲやイカなどのやわらかい生き物を食べています。
海遊館では、イカ、アジ、エビをミンチにしたものにビタミン類などを混ぜた特製のお団子を準備し、健康管理のための観察を兼ねてダイバーが水槽に潜り、手渡しでお団子を与えます。
マンボウの飼育には、栄養の管理も重要であり、マンボウの体調や体型に合わせて、エサの量や内容を細かく調整しています。水中で生活するマンボウも水分補給が必要です。現在、水をゼラチンで固めたゼリーを与えるなど、マンボウを飼育するための工夫に注力しています。

マンボウのエサを食べる姿

健康管理と寄生虫

血管は超音波検査を使ってみつけます!
マンボウの採血は、脊椎骨(せきついこつ)の近くを走る大きな血管から行います。この血管は、体の外側から正確な位置を確認することができません。このため、海遊館では超音波検査機器を用いて血管の位置を特定して、採血を行っています。
マンボウの血液に関する情報は少なく、海遊館は2010年から10年間かけてデータを蓄積した結果、健康状態を把握する上で必要な基準値を明らかにし、異常の早期発見、治療ができるようになりました。
現在、さらに発展させた取組みとして、水面でマンボウの体を支えた状態で尿を採取(採尿)し、血液中の成分との相関を調べています。 尿は血液よりも容易かつ負担を減らして採取できる検体として注目しており、現在、研究を進めています。

マンボウの健康管理

便には貴重な情報がいっぱい
自然界の海で見られるマンボウの体表や体内には寄生虫が存在しています。 寄生虫が増えすぎると体調を崩してしまうので、目などに付着した寄生虫は淡水で洗いながして駆除しています。また、定期的に医療用の細いチューブを使って便を採取し、顕微鏡等で検査も行っています。
現在、最適な治療方法を検討するため、酪農学園大学と連携し、寄生虫の種類を特定するなど、研究分野の範囲を広げています。

マンボウの排便から見つかった寄生虫の卵

マンボウの排便から見つかった寄生虫の卵

卵の数は魚類でナンバーワン!

マンボウは、姿形以外にもスゴイ特徴があります。
魚類の中で最も多くの卵を持つことが知られているのです。
その数は3億個とも言われていますが、最近の研究によると、全長2.7mのメスのマンボウがおよそ8,000万個の卵を持っていたという報告もあります。
しかし、多くの卵を何回かに分けて産卵するのかなど、繁殖方法については知られていません。

マンボウの赤ちゃんのレプリカ

15mmの稚魚

体型だけでなく、その生態も不思議でユニークなマンボウの世界。いかがでしたか?
マンボウの生態については、まだまだ謎が多く、現在明らかになっていることはごくわずかです。
海遊館では、「以布利センター」での調査研究活動や、海遊館での飼育展示を通して、
マンボウの謎に迫るとともにマンボウの魅力を皆さんにお伝えできればと考えています。