水族館業界と未来

水族館業界と未来

「水族館は好きだけれど、実情は知らない…」
そんな方も多いのではないでしょうか。
ここでは、株式会社海遊館を取り巻くレジャー業界や、水族館の変遷とその未来をご紹介します。

レジャー業界のなかの水族館

レジャー業界のなかの水族館

レジャー業界の特徴

遊園地、テーマパーク、動物園、水族館、映画館などのレジャー施設は、「非日常」を経験できる場所として多くの消費者に親しまれています。施設ごとにロケーションやコンセプト、ターゲットが異なり、顧客数、滞在時間、消費金額等も様々です。少子高齢化が進行し、余暇の過ごし方が多様化している現在、業界各社には集客に向けた更なる創意工夫が求められています。

一般にレジャー施設の経営には、新規顧客に加えてリピーターの獲得が、また今後は、国内の人口減少に備えたインバウンド需要の取り込みもキーとなるといわれています。そのためには、継続的な話題提供や新規投資、顧客接点における顧客体験の質の維持・向上が欠かせません。

レジャー業界における水族館の特徴

水族館や動物園と他のレジャー施設との大きな違いは、「生きものたち」の「いつ来ても違う」を提供することができるという点です。そこで、水族館では、生きものたちの魅力を最大限に引き出し、「いつ来ても違う」を提供し続けられるよう、飼育展示技術の向上に努めています。

また、水族館の中には、博物館法における「博物館相当施設」として指定を受けている施設もあり、人々の生涯学習を支援する重要な役割を担っています。(海遊館も博物館相当施設として指定されています) 国内外の施設や大学、研究所などの関係機関と連携・協力関係を築きながら、希少生物の保護、調査・研究、環境教育活動などにも注力しています。

水族館業界を知る

水族館業界を知る

民営と公営の違い

水族館には、民営、公営とその中間形態である第三セクターの施設があります。
入館料などの収益で、ヒト(採用、報酬、育成等)、モノ(仕入、広告宣伝、メンテナンス等)にかかわるすべての費用をまかない、株主に配当を支払う必要があるため、一般には民営の方が入館料が高くなっています。その分、お客様の期待にも違いがあるでしょう。

株式会社海遊館は、1988年大阪市と民間企業の共同出資により誕生した会社です(第三セクター)。当時の社名は、大阪ウォーターフロント開発株式会社で、大阪ベイエリア地区の振興を目的に設立されました。2015年に大阪市が保有株式を全て売却したことによって、完全民営化し、現在は、近鉄グループホールディングスの一員となっています。

水族館の開発・運営体制

水族館の開発・運営には、様々な分野のエキスパートが力を合わせていく必要があります。
例えば、新施設の建設を行う際、建物等の建築、水槽や水質・水温維持のための様々な設備、生きもののQOL(Quality of Life)を最優先に考える飼育の技術、お客様が気持ちよく滞在できるようなサービスなどの知恵を結集していきます。また、完成してからもその魅力を維持向上し、より多くのお客様に知っていただけるよう、オリジナルグッズの開発、サービスの向上、販売チャネルの整備、プロモーション活動などが必要となります。

水族館の開発・運営には、あらゆる分野のエキスパティースやノウハウ・経験が必要になるのです。

業界における株式会社海遊館の強み

株式会社海遊館の強みは、企画開発から製作、運営までをすべて自社で行っていることです。施設によっては、ハードを作る所有者と、実際に運営にあたる運営者が異なる場合があります。

私たちは、あらゆる分野のエキスパートがそろうことによって、事業企画・開発から運営まで、一気通貫したコンセプトを持ち、自分たちオリジナルの事業に挑戦しています。もちろん、各プロセスにおいては、外部のプロフェッショナルとも連携しながらプロジェクトを進めます。外部のプロフェッショナルとの連携が、組織的な学習へとフィードバックされ、さらなるインサイトやノウハウの獲得と蓄積につながっています。

水族館の進化、そして未来へ

水族館の進化、そして未来へ

日本における水族館は、1882年に初めて登場したと考えられています(諸説あり)。当時は小さな水槽を並べていたものでした。建築技術の発展と共に展示も進化していきます。世界的に見ても水族館には「ブーム」があるようです。

1900年頃~
水族館黎明期。汽車窓式水槽の時代
1950年頃~
戦後の水族館設立ブーム。水槽の近代化と大型化
1990年頃~
2度目の水族館設立ブーム。水槽の超大型化  例:海遊館
2010年頃~
個性と多様性の時代へ  例:ニフレル

「巨大水槽」が世界的なブームであった1990年代に、海遊館は開業しました。当時、海遊館の水量5,400tの「太平洋水槽」は、世界最大の大きさでした。さらに時代は進み、水族館も「個性」の時代になってきました。地域や特定の種などをテーマにする水族館が多い中、ニフレルは新しい水族館・動物園のカタチとして立ち上げたものです。
近年は自然環境や社会問題への取り組みも今まで以上に問われています。

水族館は時代に合わせて進化しながら、たくさんの人々に愛されてきました。しかしその社会的な存在価値は、レジャーだけではありません。自然環境の保全や調査研究など、様々な役割を担っています。
現代では、簡単に海中探索をVR(仮想現実)やAR(拡張現実)で楽しむことができます。そんな中、10年後、50年後、そして100年後、一体どんな水族館が求められるのでしょうか?

水族館は、常に、時代に合わせた進化が求められています

最後に、両館長が考える「水族館の未来」を聞いてみました。

館長が考える「水族館の未来」

海遊館は、「すべてのものはつながっている」というコンセプトのもと、水槽の規模や展示種数の多さだけでなく、国内外からの多様なお客様に対して、常に面白いことを提供してきた歴史と、好奇心・探求心溢れる企業文化があります。

地球規模の環境問題や社会問題は多岐にわたり、「過去の成功体験が通用しない!?」など、未来の世界を予測することは容易ではありません。しかし、こうした複雑な問題に向き合い、生命の素晴らしさや、生命を育む環境を守ることの大切さを伝えていくことが、海遊館のひとつの役割です。そしてこれからは、多様な視点を持った人々とのコミュニケーションを通して、未来について考え、アイデアを生み出せる場所でありたいと思っています。

これからも、生命の不思議さと尊厳、それらを育む地球の面白さについて、もっと知りたくなる・好きになる機会を提供し、さらに面白い海遊館を創造し続けます。

海遊館館長 村上 寛之海遊館館長村上 寛之

“水族館という枠にとらわれず、今までに無い新たなものを創造しよう!”という思いで創り上げたニフレルは、水族館、動物園、美術館、博物館等の要素を融合させた、世界のどこにも無い新しいタイプの生きもの展示施設です。そのため、“生きているミュージアム”と呼んでいます。「水族館」と呼ぶことで、先入観を持ってしまう。また、互いに関わりながら生きる生き物たちの姿を見せるのに、水辺(水族館)や陸(動物園)を区別する必要はあるだろうか?そんなことを考え続けた結果、今までの概念にとらわれない「生きているミュージアム」として動き出すことを決意しました。
これからも、自由な発想で、魅力ある展示を創造し続けたいと考えています。どこかや何かの真似ではなく、ニフレルにしか無いものを生み出していきたい。

ニフレルの展示テーマは「多様性(Diversity)」。人を含む全ての生きものは、多様で個性的だからこそ魅力的です。個性的で豊かな感性を持つ皆さんと、共に新たな創造にチャレンジできることを楽しみにしています。

生きているミュージアムNIFREL館長 小畑 洋生きているミュージアム
NIFREL館長
小畑 洋

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