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種の保存

ミナミイワトビペンギンの人工繁殖

ミナミイワトビペンギンの繁殖率向上を目的に、2011年より繁殖生態の解明と人工繁殖技術の確立を目指し、神戸大学大学院農学研究科と共同研究に取り組んできました。

研究開始から6年目の2016年は、葛西臨海水族園(東京)の協力を得てオスから精子を採取し、海遊館で飼育中の3羽のメスに人工授精を行いました。人工授精を行った3羽のメスは、計5つの卵を産み、3羽の雛が誕生しました。卵の殻の内側に付着した血液からDNA検査を行った結果、3羽のうち1羽が人工授精による雛の誕生であることが判りました。

海遊館では、今後、この人工繁殖技術を国内外の水族館や動物園に普及し、ペンギン類の繁殖を向上させるとともに、精子を凍結保存する技術を確立させて、絶滅の恐れがある野生下のミナミイワトビペンギンの種の保存にも貢献したいと考えています。

人工授精による雛誕生の要因

  • メスの血液検査から産卵日を推定し、授精に最適なタイミングで人工授精を実施できた。
  • ペアをつくっているオスが交尾を行う前に人工授精を行うことができた。
  • 葛西臨海水族園のオスから、良好な精子が採取できた。
  • 予備実験を経て葛西臨海水族園から海遊館まで、精子の性状をあまり劣化させずに輸送できた。

過去に成功できなかった原因のひとつに、海遊館のオスの精子性状が低い可能性も示唆されている。

前回の人工授精からの変更

前シーズン(2015年春)にも受精卵が得られ、人工授精によるものかと期待されたが、卵から雛が孵らず、DNA検査の結果も自然繁殖による受精を示しました。
そこで、今シーズンは、昨年の失敗要因を考察し、大きく2つの点を変更した。

  • メスの血液検査を基に受精に最適なタイミングの少し前、すなわちペアのオスが交尾する前に人工授精を行う。
  • 人工授精を実施したいタイミングに精子が採れるオスが、時期的に海遊館にいないため、葛西臨海水族園のペアをつくっていないオスから採取した精子を用い、凍結せずに液状輸送する。

葛西臨海水族園のミナミイワトビペンギンの繁殖ピークは、海遊館の繁殖ピークより少し早いことがわかっていたため、今回、よいタイミングで人工授精を実施することができた。

備考

海遊館と神戸大学大学院農学研究科の楠 比呂志氏(准教授)は、ミナミイワトビペンギンの繁殖生理を解明し、人工繁殖の技術を確立することを目的として共同研究を行いました。研究テーマは「行動観察による交尾時期の特定」、「メスの血液性状からみた受精および産卵日の特定」、「エコー検査による排卵日の特定」「精液採取法の開発」と「精液の保存法の確立」など。

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