今年もチャレンジしました

2011年から取り組んでいるミナミイワトビペンギンの人工繁殖研究。
コロナ禍で色々な制限がかかる中、今年も凍結精液を用いた人工授精にチャレンジしました!
海遊館のイワトビペンギン達、繁殖期は4月末から5月初旬。1年に1回、わずか1~2週間しかチャンスがありません。
今年は準備を入念に。
精液の凍結保存や人工授精の作業手順の再確認、練習を何度も繰り返してから本番に挑みました。

▼練習
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4月に入ると、本格的に繁殖研究のスタートです。
緊急事態宣言真っ只中なので、係員のお互いの感染予防のためフェイスシールドと高機能マスクを着用して実施しました。
今年、人工授精の対象に選ばれたメスは、R153。(海遊館ではペンギンたちに、名前の代わりに番号をつけています。ちなみにRはイワトビペンギンの英語名Rockhopperの頭文字です)
まずは産卵日を予想するための血液検査を実施します。
血中のカルシウム値、中性脂肪、リンの値からおおよその産卵予想を立てます。
血液検査の結果から産卵予想日は5月12日頃となりました。
次は超音波検査による卵胞の発育確認です。
主席卵胞(排卵できる卵胞)の大きさから、あと何日で排卵が起こるか分かるようになってきました。

▼超音波検査
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▼発育した卵胞の超音波画像
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オスからは採精(精子を採取すること)をして、今後の人工授精に向けて精子を凍結保存します。

▼採取した精液を液体窒素に入れて冷凍保存するところ
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▼そして人工授精。
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あとは無事に排卵してくれることを祈ります。
これまでの研究データから、授精適期どんぴしゃで人工授精を実施できたと思っていたのですが...
産卵した卵は未受精卵で、今回は人工授精成功とはなりませんでした。

準備を入念に、何度も人工授精チームで話し合い、時にぶつかりながらチャレンジしてきたので、成功に至らなかったことは悔しさしかありません。
来年こそは人工授精ヒナが誕生するように、頑張りたいと思います!

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