水分補給(その3)

水分補給(その1)と(その2)では、皮下輸液による水分補給を紹介しました。
でも、これだけでは充分ではありません。
輸液以外で水分をなんとか補給できないかなーと冷蔵庫を見ていたら、タッパー容器に入ったものがふと目にとまりました。
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▲写真の右:これはゼラチンをかためたもので、カマイルカに与えています。

海生哺乳類(イルカやアシカなど)は、水分を餌から吸収しますが、冷凍した魚を餌に与えると水分が不足ぎみ。以前は魚の腹腔(お腹)に注射器で水を入れていたのですが、近年は水をゼラチンで固めて与えています。

イルカ担当者に、この水分補給ゼラチンのかけらをもらって、カピバラ・ぴーたんやカワウソ・オリーブに与えましたが、「なんじゃ、これは!」と触りもしない...。
よく考えたら、イルカは餌を丸呑みするので、サバなどと一緒にゼラチンを口内に入れることが可能ですが、餌をくちゃくちゃと咀嚼する生物ではそう簡単にいかないのです。

でも、あきらめないのが飼育係員。
ぴーたん用に、コマツナやチンゲン菜をジュースにして、草食性なので、ゼラチンではなく寒天でつくってみました。(写真1の左)
自分でもひとくち食べてみたところ「うーん、コマツナ!」って感じ。
そのまま与えると「ふんっ」と知らんぷり。
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チンゲン菜の葉やキャベツにくるむと...。
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食べたー!
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でも、口から少しこぼれてるような...。

オリーブにも何か・・・と考えて、水分補給用ゼラチンを普段よりやわらかめにつくり、注射器で吸い込み・・・。
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これをニジマスの腹部に充てんします。
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これは、オリーブも食べてくれました。ただし、ちょっとでも形がくずれて、ゼラチンがはみでてたら嫌がります。
ちょっとぐらい許してーや!

魚の腹腔に入れるのなら、水でいいじゃん!と思うでしょう?
でも、一口かんだら、じゃーって流れていってしまうんです。
ゼラチンにしても、寒天にしても、スムーズに食べてくれたら、薬も混ぜやすいので一石二鳥なのになあ。

そんなこんなで水分補給に悩む夏なのでした。 早く涼しくなってくださーい!

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