カワウソのエコー検査

5月の最終水曜日は「世界カワウソの日」。
イギリスのNPO団体である国際カワウソ保護基金(International Otter Survival Fund)が、世界のカワウソ類の保全を呼びかけるために定めました。
日本の動物園や水族館でもこの日などに、カワウソについてのさまざまな情報発信を行っています。
この時期はカワウソ好きにとっては非常に楽しいです!

海遊館では、今年はミニ企画展「伝えるカワウソたち」を実施しております。
カワウソの「コミュニケーション」について、詳しく解説していますよ。

ミニ企画展の中ではカワウソの保全のために私たちひとりひとりができることを紹介していますが、カワウソ担当として現在目標としていることは「コツメカワウソの人工授精」。
人工授精ができるようになれば、いろいろなペアでの繁殖が可能になると考えられます。
コツメカワウソの繁殖生理はまだわかっていないことが多く、これまで糞や血液を調べてきたのですが、雌の発情は1頭1頭違うことがわかってきました。

今は雌の卵巣をエコー(超音波)で観察して排卵のしくみを調べています。
レッサーパンダやイルカではこの研究が進んでいますが、怖がりのコツメカワウソで実施するのはなかなか大変。地道なトレーニングを繰り返し、香港出身の「センティ」はかなりエコー検査ができるようになってきました。

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係員が給餌をしている間に獣医が、エコー機器のセンサーをカワウソにあてて、モニターで映像を確認しつつセンサーを動かします。カワウソも係員も危なくないように工夫をして、ここまでトレーニングを行ってきました。
センティは今年に入り、他園館からやってきた「ビジュ」と同居中。ビジュは繁殖経験豊富な雄なので、センティを導いてくれるといいなあ。

▼センティ(左)とビジュ(右)
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センティがエコーを実施している間、ビジュはあまり係員や機器を気にしていないため、助かります。ありがとうね。

こんなそんなで2頭は仲良くやっていますが、気分転換となるように6月3日から1週間程度、この2頭を「日本の森」に一時的に展示する予定です。ただし、状況によって予定を変更することもありますのでご理解ください。ビジュは「日本の森」は初めて。楽しんでくれるとよいのですが。

▼ビジュ
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センティのエコー検査がうまくいったら、次はもう1頭の若い雌、「ポポ」のトレーニングができたらいいな~と思う先輩カワウソ担当でした。トレーニングしている後輩担当さん、よろしくお願いします。

▼ポポ
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