ノリの養殖

先日の4月1日、日本財団の「海と日本PROJECT」の一環で、主に中学生を対象とした環境学習を行いました。
場所は大阪湾南東部の海岸です。
この地先の海では、大阪府では数少ないノリ養殖が行われており、収穫されたノリは地元で加工されています。まず学生たちは製品になった海苔(のり)を試食させてもらいました(写真1)。

▼写真1:製品になった板海苔を食べる生徒たち。
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みんな、おいしい!おいしい!の連発です。次に、ノリをスノコの上で板状に広げる「漉(す)き体験」をさせてもらいました(写真2)。

▼写真2:ノリ漉き体験。ノリをスノコの上に流し込んでいる様子
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初めての経験でぎこちなさはありましたが、仕上がりは立派なもの。おまけに加工業者さんのサービスで、四角形だけでなく、ハート型やタコ型など、色々な形のものを作らせてもらえました(写真3)。

▼写真3:生徒たちが作った板海苔。この状態で天日干しします。
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天日で乾燥させ、数日後には生徒たちの手に届くことになっています。

さて、ノリ養殖では、紅藻類の「スサビノリ」を使うのが主流です。スサビノリを含むアマノリ類の多くは、写真4のように波が直接当たる岩に付着するのが普通ですが、養殖では網にノリの種付けを行い、その網を海中に広げ、浮かせた状態で養殖されるのが一般的です。養殖風景は、ブログ『大阪湾で出会った生き物たち』シリーズ2016年1月27日の「海苔を育てる」を参考にして下さい。

▼写真4:岩の上に付着するアマノリ類。
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ちなみに、(写真5)が収穫されたスサビノリです。

▼写真5:収穫された直後のスサビノリ。
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ノリ養殖が多いのは兵庫県で、大阪湾の淡路島側や播磨灘で特に盛んです。最近、ノリの「色落ち」という現象がおこり問題となっています。海の栄養分が少なすぎて多くの栄養を必要とするノリに生理異常が起こるのです。乾燥海苔にした場合、黒色が高級とされますが、薄茶色になってしまうそうです。かつて大阪湾を含む瀬戸内海は人間が海に流す汚れ(=栄養分)が多すぎ、汚染が進みました。様々な取り組みの結果、現在では海がきれいになってきましたが、今度は栄養分が少なすぎることが問題になってきたのです。栄養分が少ない海はノリの異常だけでなく、多くの動植物を養う海の豊かさが減少してしまうことにつながります。
人間が自然をコントロールすることの難しさを感じます。

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