年明けの海から

新年早々の寒い日、海遊館前の海の様子を見に行きました。水面に浮かんでいたのは、オオバン・コガモ・ヒドリガモです(写真1-1)。
また、岸壁ではイソシギが羽を休めていました(写真1-2)。この時、心配に思った事があります。水面をよく見ると小さな物が多数浮いているのがわかります(写真2)。これを調べてみると、多くは木片やプラスチックの破片でした(写真3)。水鳥たちが水面で何かをついばんでいる様子(写真1-1)から、こうした浮遊物も一緒に飲み込んでしまうように思えました。

 近年、小さなプラスチック(特に5㎜以下のマイクロプラスチック)が、鯨類や魚類、ウミガメ、海鳥などの体内から見つかる事例が報告されるようになりました。今回、岸壁で観察したカモ類は、水面付近で水草や海藻などの植物性の餌を食べるため、紐状のプラスチック小片を餌と間違って飲み込む事や、胃(砂のう)に砂を貯めて消化を助ける習性があることから、砂に代わるものとしてプラスチック小片を積極的に飲み込んでしまう可能性が指摘されています。さらに、マイクロプラスチックが水中の有害物質を吸着したりプラスチック自体の添加剤が溶け出すこにより、飲み込んだ動物の組織に化学物質が移行し蓄積される事が明らかになりました。ただ、生物影響についてははまだ不明な点が多いようです。

 寒空の中、黙々と生活を営む水鳥たちと多量に浮遊するプラスチックを見ていると、人間がひき起こしてしまった環境汚染の大きを実感します。水鳥たちの健康被害が心配になった年明けでした。

【写真1-1】 天保山岸壁で見られた鳥たち
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【写真1-2】 天保山岸壁で見られた鳥たち
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【写真2】 水面に浮遊するゴミ
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【写真3】網ですくって調べてみると、
木片、プラスチック製品の破片、発砲スチロール片、レジンベレット(プラスチック製造時の中間原料)様の粒状物が多く目についた2021_osakabay_04.jpg

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