ワモンアザラシ「アラレ仔」誕生(前編)

4月1日の午前2:58分、遂にアラレの赤ちゃんが誕生しました!
出生体重2.44㎏、オスの赤ちゃんです。

私はその様子を監視カメラのモニターで確認していたのですが、生まれるまで「今夜は生まれるかもしれない⁉」と何日も前から交代で係員室に泊まり込んでは空振りを繰り返していたので、「やっと生まれてくれた」というのが生まれた瞬間の正直な感想でした。
また、赤ちゃんがしっかり動いている様子も確認できたので、ひとまずはホッとしました。

しばらく親子の様子を確認していると、移動する赤ちゃんをアラレが咥えて自分の近くに戻そうとするなど、アラレが仔を気にする様子も確認できました。

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「出産までに行ってきた取り組みがバッチリ上手くいったな!」と安堵していたのですが、出産から15分程が経過した頃から、モニター越しに少しずつ赤ちゃんの身体の動きが鈍くなっているように感じました。
 
不安を感じた私は、いてもたってもいられずにアラレ親子のいる「北極圏」水槽に向かい、直接赤ちゃんの状態を確認することにしました。すぐに現場へ到着しましたが、水槽に入る際に「自分が水槽に入ったことで親子を驚かせてしまうかもしれない。」など色々な考えが頭をよぎりましたが、意を決して水槽内に入りました。そこで目にしたのはグッタリとした赤ちゃんと、どうして良いのか分からず、少し離れた所から心配そうに赤ちゃんを見つめるアラレの姿でした。

ここからはとにかく赤ちゃんを助けようと夢中だったため、自分でもあまり覚えていないのですが、湿った氷の上で体が濡れて冷たくなった赤ちゃんの身体をタオルで拭いて必死で温めるようにしました。しばらくして、出産の連絡を受けた応援の飼育員と獣医が到着して、検査の為バックヤードに移動することにしました。移動後、すぐに獣医さんの指示のもと検査が行われ、低体温と低血糖のケアを実施しました。懸命のケアの結果、なんとか赤ちゃんの状態を持ち直すことに成功しました。

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ケアの後に赤ちゃんをアラレの元に戻すことも検討しましたが、ケアに長い時間を要したため、このまま親元に戻しても、アラレが赤ちゃんを認識するのが難しいと判断して、飼育員が親代わりとなって赤ちゃんを育てる人工哺育に切り替えることにしました。

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