ヒカリウミウシ

11月下旬に行った海遊館前岸壁の生物調査で、初めてヒカリウミウシ(写真1)が見つかりました。名前のとおり発光性のウミウシですが、今回は発光の様子は観察できず、かわりにその泳ぐ姿を見ることができました。

ウミウシの仲間は海底を這うのが普通ですが、敵に襲われた時などに一時的に水中を泳ぐ種類がいます。泳ぎ方は種類によってほぼ決まっているようで、ヒカリウミウシの場合、体を左右に「くの字」に曲げてくねくねと動かします。このくねくね泳ぎを見ていて注目したのがウミウシの尾です。まるで魚の尾びれのように見えませんか(写真2)?

このような背腹方向に膜状に広がった形は、他のウミウシにはあまりみられません。しっかりと水をとらえるためのものと考えられますが、ヒカリウミウシは魚のように前に進む泳ぎが得意なわけではありません。凹凸の多い体つきや全体をくねらせる動きは推進力を得るには効率が悪く、くねくね泳ぎは敵がいる海底を離れ少しでも水中に長くとどまるための行動のように思われます。これが有利になるよう、尾びれを発達させたのかもしれません。発光性といい、ヒカリウミウシは生きるために様々な知恵と工夫に満ちた生活を送っているように思えました。

なお、ウミウシの仲間の一部には、魚のようにスイスイ泳いだり、一生浮遊生活する種類もいる事を付け加えたいと思います。

(写真1)
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(写真2)
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