頑張れ!タテジマフジツボ

お正月気分も抜けた1月初旬、さっそく海遊館前の岸壁を見て回りました。この時、目についたのがタテジマフジツボ(写真1)です。

場所は、写真2の矢印が示す岸壁上部で、普段海水のこない場所です。ただし、約2週間に1度繰り返す大潮の前後には潮が大きく満ち引きし、海水に浸かります。この時の潮位は分かっていますので、潮位表で1月の潮位予測を調べると、フジツボがどれくらいの期間空気中に出たままなのかがほぼわかります。

その結果、1月初めの大潮を過ぎた1月10日頃から次の大潮が近づく20日頃まで海水がこない状態だとわかりました。つまり、約10日間空気中に出たままのタテジマフジツボは、寒さと乾燥、風雨に耐え、餌なしで過ごすことになります。海の生き物がこの様な空気中の環境に長時間耐えることができるのは驚きですが、タテジマフジツボは、殻の中に海水をため、筋肉が付いた蓋をしっかり閉めて体を外界から遮断して身を守っているのです。

フジツボの仲間は、卵から生まれるとノープリウス幼生(写真3)となって海中を漂います。適当な岩などにたどり着くと、キプリス幼生に変態して住む場所を触角で確かめたり、先に住んでいる仲間からの化学的な信号を受け取ったりして最適な固着場所を探します。
最近の研究では、タテジマフジツボのキプリス幼生は眼で仲間がいる場所を認識できる可能性もあるそうです。

しかし、他の多くの仲間が岸壁のもっと下の海水に浸りやすい場所にいるのに、なぜ今回のような過酷な場所を選んだのか?一度固着すると一生動くことができないフジツボ。もしかしてミスってしまったのか?キプリス幼生に聞いてみたい気がします。

写真1:岸壁で見つけたタテジマフジツボ 
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写真2:天保山西岸壁 矢印は、タテジマフジツボを見つけた場所。
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写真3:フジツボ類のノープリウス幼生
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