「グレート・バリア・リーフ」のその後~魚の移動編その2~
- 2023.07.19
- 魚類チームの日記
今回は、グレート・バリア・リーフのその後 ~魚の移動・後編~ です。
「グレート・バリア・リーフ」水槽の閉鎖後、大きな網を使った魚の取り上げを行いましたが、すべての魚の移動はできず、全体の半分程度の魚が水槽に残っていました。
そのため、次は水槽の水を抜きながら魚を取り上げる方法に変更しました。
リニューアル工事を始めるには海水を全部抜かないといけませんし、海水を抜くことで水槽の水位が低くなり、魚を取りやすくなるのです。
家にある小さな水槽の水を全て抜くのは数分程度で済みますが、水量300立方メートルの「グレート・バリア・リーフ」水槽ではそうはいかず、海水を全て排水するには数時間必要です。
排水しているこの数時間も利用して魚を取っていこうと考えました!
作業当日、魚を取り上げる2名のダイバーが入水して排水開始。
なんだかんだ言って2~3時間で水は抜けるだろうと勝手に思っていましたが、想像していた以上に時間が掛かり、1時間で数十cmしか海水が抜けません。
排水中に魚は擬サンゴの隙間に隠れてしまうので、隙間に入る小さな網で取り上げていきましたが、まだ沢山の魚が水槽の中を悠々と泳いでいます。

このままでは1日で終わらないかもしれないと感じ、排水用のポンプを1台追加して排水スピードを上げました。
排水開始から約6時間後、膝下くらいまでの水位になったところで一旦排水ストップ、残った魚を取り上げていきました。
実はこの作業が最も時間が掛かり、大変でした。

「グレート・バリア・リーフ」水槽は精巧に造られた擬サンゴに加え、現地の地形を擬岩で再現しており、水槽の底あたりの擬岩の構造は非常に複雑です。その擬岩の隙間の奥に沢山の魚が隠れてしまっていたのです。
ダイバーを一人追加し、3名で魚たちを端に追い込み、できるだけ優しく網ですくって移動。魚たちを取り上げること約4時間、なんとかすべての魚を取り上げることができました(へとへとです)。

すべての作業が終わり見上げると、初めて見る景色が広がっていました。
私たちは普段海水で満たされた水槽に入っていたので、水が抜けた水槽を見るのは初めてでした。
潜水してみたこの水槽の景色より、はるかに広く高い印象を受けました。

この景色を目に焼き付け、最後に挑むのは、「水槽から出ること」です。
7mの水槽からどのようにして出るかというと...
縄ハシゴを設置し、安全帯を付けたうえで一段ずつゆっくり上っていき水槽から出ました。ハードワーク後のハードワークで、もう二度とやりたくありません。笑
無事に作業を終え、予定通り「サンゴショウウィンドウ」が開催されたのです。
(魚の移動編 おわり)
- 最近の記事
- カテゴリー
- 月別アーカイブ