ゴマフアザラシの採血

海遊館の生き物たちは、1年の中で決められた月に採血などの検査を行い、健康かどうかを分かりやすく数値化して獣医さんに診てもらっています。
普段から生き物たちに健康で元気に過ごしてもらえるように毎日観察を行い、行動に異常が無いか、怪我をしていないか、食欲はあるかなどチェックしています。それ以外にも定期的に健康診断もしています。例えば、アシカやアザラシたちは週に1回体重を測り、イルカは月に2回エコー検査をしてます。

今回は、ゴマフアザラシの採血についてご紹介します。
海遊館のゴマフアザラシたちは、4ヵ月に1回の採血を行っています。

皆さんは採血をする時、お医者さんに腕を差し出してジッと採血が終わるまで痛みを我慢して待つことができますよね。
では生き物たちはどうでしょうか。生き物たちには「健康診断のため我慢!」という認識がないので、注射の痛みや恐怖で逃げてしまったり、場合によっては怪我をしてしまうかもしれません。

そこで、生き物ができるだけ嫌な思いをすることなく、飼育員と生き物の双方が安全に検査を行うことを可能にする「トレーニング」を行っています。
生き物が自主的にその体勢になって、針を刺すなどの刺激があっても落ち着いている動作を「ハズバンダリービヘイビア」といい、その行動を形成するためにトレーニングすることを「ハズバンダリートレーニング」といいます。

最初に、アザラシの背後に人がいても落ち着いて待つことから教えていきます。
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そして背後からアザラシに近付き、後肢を持っても嫌がらなければ、次のステップに進みます。
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採血をする場所に徐々に刺激を与えていきます。最初は針を使わず飼育係員の指先を針に見立てて採血場所を押しながら、最初は小さい刺激から徐々に刺激を大きくしながら慣れてもらいます。
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指で押しても嫌がらずに落ち着いていれば、次にダミーの針(針の先を削り刺さらない針)が登場します。
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ダミーの針の刺激にも落ち着いて待っていることができると、いよいよ本番の採血です。
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本番までのステップが細かく分かれていますが、これらは生き物たちにできるだけ負担をかけず、健康に暮らしてもらうためには重要なことであり、生き物たちと一緒に、ひとつずつクリアしていきます。

海遊館の「モンタレー湾」水槽でトレーニングの様子を見かけられましたら、「がんばれ!」と応援してもらえると嬉しいです!

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