2022.12.22
調査・研究
~ジンベエザメの生態解明を目指して~ 目標達成と継続実施のお知らせ
「ジンベエザメ保全のために海遊館ができること 謎に包まれた回遊ルートの解明に挑む」プロジェクトへのご支援、誠にありがとうございます。みなさまからの温かいご支援により、開始21日目で目標金額に到達することができました。想像を上回る反響の大きさに驚くとともに、海遊館や生き物たちを愛してくださるみなさまの想いや熱量を改めて感じることができました。大変嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。ご賛同・ご支援いただいたみなさまや、取り組みを知っていただいた皆様に深く御礼申し上げます。以降はネクストゴールを1,000万円とし、より困難な中長期のデータ取得に挑戦するとともに、このプロジェクトを通して、1人でも多くの方にジンベエザメの現状や取り組みを知っていただけるように、最終日の2023年2月28日(火)までこのクラウドファンディングの実施を継続いたします。今後は順次返礼品の追加も予定しておりますので、楽しみにしていただけますと嬉しいです。プロジェクトへのご支援・ご賛同はこちらさらなる温かいご支援、どうぞよろしくお願い致します。 海遊館 生き物たち&スタッフ 一同
2022.11.24
調査・研究
~ジンベエザメの生態解明を目指して~ 海遊館初 クラウドファンディングに挑戦します
長年取り組んでいるジンベエザメの生態解明を目指した調査・研究を更に発展させるため、12月1日よりクラウドファンディングに挑戦します ★追加情報:2022/12/22 目標達成しました! 詳しくはコチラ 海遊館では1990年の開館以来、飼育展示や調査研究を続けているジンベエザメ、実は世界的に生息数が減少しているとされており、国際自然保護連合(IUCN)の定める世界の絶滅の恐れのある生物リスト「レッドリスト」には 絶滅の危険が増大している種(Endangered)に分類されています。 しかし、ジンベエザメの生態はまだ謎が多く、生息域や移動経路、そして個体数など、適切に保全を行う上での生態学的な情報が不足しているのが現状です。 海遊館ではそんなジンベエザメの生態解明のため、様々な調査・研究をおこなっています。中でも、小型の記録装置を用いて外洋でのジンベエザメの行動(回遊ルート等)を調査する 「バイオロギング」という調査に力を入れています。 しかし、バイオロギングは機器が高額である事や、データの回収率が高くはない事などから、 現状として十分なデータが取得できていません。また、ジンベエザメという生き物の現状はまだ多くの方に知られていません。 そこで、クラウドファンディングに挑戦し、より多くの調査機会を得るとともに、皆様にジンベエザメのことや海遊館の取り組みを知っていただきたい、皆様とのつながりを深めたいと思っています。 バイオロギングについて 今回のクラウドファンディングについて 返礼品について 海遊館からのメッセージ ジンベエザメについて 英名:Whale shark 学名: Rhincodon typus 温帯から熱帯の沿岸および外洋に生息する大型のサメで、日本近海では黒潮に乗って春から秋にかけて現れます。小型甲殻類などのプランクトンを食べ、成長すると最大で10~12mになり、さらに大きく成長する可能性もあると考えられています。 海遊館では現在、「太平洋」水槽にて2頭のジンベエザメを飼育・展示中です。 バイオロギング について バイオロギング(Bio-logging)とは、生き物に小型の記録装置(データロガー)を付けて、その生き物(Bio)が自ら記録(logging)した行動を解析する研究手法です。近年、様々な生き物を対象に研究が進み、その成果が世界中で注目されています。 海遊館では2011年より北海道大学とジンベエザメの回遊経路を共同研究しています。小型記録装置は計画した調査期間が経つとジンベエザメの体から自動的に外れ、記録されたデータが人工衛星を経由して得られます。記録項目は、回遊経路(位置)と遊泳水深、水温です。 ▲回遊経路調査イメージ--> ▲回遊経路調査イメージ 過去のバイオロギング調査結果と課題 2015年に実施した6ヶ月間の調査では、高知県土佐清水市を出発したジンベエザメは東へと回遊した後、フィリピン海域まで回遊したことが判明しました。他の調査では水深1,800mを超える深海域を回遊していることや東北や千葉県沖へ回遊していることを示すデータなどが得られています。 このようなデータを蓄積することによって、ジンベエザメの回遊経路をより正確に推察することができます。また、長期間の調査を行うことによって得られるデータ量は増加しますが、同時に機器の故障などのトラブルが発生する可能性も増加し、データの回収率が低くなります。加えて、機器が非常に高額であることもデータ蓄積が進まない一つの要因です。 今回のクラウドファンディングについて 資金の用途 ・バイオロギングの機器購入 ・調査研究の作業費 ・その他諸経費 等 目標金額 500万円 形 式 All in形式(目標金額を達成しなかった場合も実施) 実施期間 2022年12月1日~ 2023年2月28日 プラットフォーム エールレール( https://yell-rail.en-jine.com/projects/kaiyukan ) 目 標 短期間の回遊経路把握を目標にデータ回収を目指し、以降長期間のデータ回収に着手します 第1目標:1ヶ月間の回遊経路データを3個体分回収する 第2目標:3ヶ月間の回遊経路データを2個体分回収する 第3目標:6ヶ月間の回遊経路データを2個体分回収する 返礼品について 海遊館にまつわる様々な返礼品を準備予定です。 支援額 個 数 返礼品 1,000円 - お礼メールのみ 3,000円 300 「限定」アクリル2連キーチェーン - お礼メールのみ 5,000円 50 海遊館オリジナルカレンダー(12月支援者限定) 300 「限定」ピンバッチ 300 「限定」ミナミイワトビペンギンの羽入りキーホルダー - お礼メールのみ 10,000円 100 「限定」トートバッグ+「限定」アクリル2連キーチェーン 25 海遊館入館引換券大人1枚+「限定」アクリル2連キーチェーン - お礼メールのみ 15,000円 50 ぬいぐるみエラ付ジンベエザメ+「太平洋」水槽の底砂 - 海遊館の入館引換券大人2枚+「太平洋」水槽の底砂 20,000円 10 カマイルカのおもちゃ+「限定」アクリル2連キーチェーン 5 ゴマフアザラシのひげ+「限定」アクリル2連キーチェーン 5 ワモンアザラシのひげ+「限定」アクリル2連キーチェーン 10 サメの卵の殻+「限定」アクリル2連キーチェーン 30,000円 10 ワモンアザラシの換毛で抜けた毛+「限定」アクリル2連キーチェーン 1 エトピリカの嘴覆+「限定」アクリル2連キーチェーン 10 飼育員ナイトツアー (4/22 10名) 50,000円 2 ジンベエザメ飼育員セット(ジンベエザメの柄杓+給餌バケツ) 10 ジンベエザメの歯+海遊館館長による証明書 100,000円 4 ジンベエザメ給餌体験(3/5・3/12:1日2名 AM/PM各1名) 4 ワモンアザラシ給餌体験(4/1・4/2:1日2名 AM/PM各1名) 1 飼育員体験 魚類コース(4/23 調餌・清掃体験、給餌見学 1名) 1 飼育員体験 海獣コース(4/22 調餌・清掃体験、給餌見学 1名) 300,000円 - 館長と一緒に海遊館を周るプレミアムツアー ※予告なく内容を変更、または中止する場合があります。 ▲ジンベエザメの歯と証明書 ▲ジンベエザメ給餌の様子 ▲サメの卵の殻(イヌザメ) ▲「限定」ミナミイワトビペンギンの羽入りキーホルダー --> ▲ジンベエザメの歯と証明書 ▲ジンベエザメ給餌の様子 ▲サメの卵の殻(イヌザメ) ▲「限定」ミナミイワトビペンギンの羽入りキーホルダー 海遊館館長より ジンベエザメのことをもっと知りたい。 地球で最も広大な海"太平洋"を回遊し、いろんな地域を通って日本沿岸を訪れるジンベエザメ。 その姿は雄大で、太陽が差し込む海中を、なめらかに泳ぐ姿は、美しさと生命の尊厳を感じさせてくれます。 多種多様の生命を育んできた海、そして地球の美しさと面白さに、興味が尽きることはありません。 ジンベエザメが行う地球規模の回遊生態を調べ、未来に向けて脈々と命のリレーを続けていくことが出来るよう配慮していくことは、地球規模の環境を考えることにつながると思います。 しかしながら、ジンベエザメの暮らしについて、私たちはまだ知らない事ばかりです。それどころか、どのような方法で調べればよいのかさえ、わからないこともたくさんあります。海遊館だけで出来ることは多くなく、さまざまな分野の方々と協力し合い、一歩ずつでも前に進み、探求を続けていきたいと思っています。また、日本に限らず、ジンベエザメが暮らす地域の方々と共に、この課題に取り組めたらと願っています。 海の中のこと、遠い地域で起こっていることは実感しにくいかもしれません。しかし、ジンベエザメの暮らしを想像することで、多くの人の気持ちがつながり、この美しい海と地球、そして生命を、将来の世代に届けていきたいと思います。 海遊館館長 村上 寛之
2022.11.01
調査・研究
ジンベエザメの全長を実測しました!
"計量記念日" の本日11月1日(火)に、館内「太平洋」水槽で飼育展示中のジンベエザメの全長・胴回りの実測を行いました。 結果は以下のとおりです。 全 長 胴回り 推定体重 推定年齢 遊: 6 m 00 cm昨年(5 m 85 cm) 2 m 35 cm 1,650 kg(1,500 kg) 15~16 歳 海:5 m 25 cm昨年(4 m 80 cm) 2 m 20 cm 1,050 kg(800 kg) 7~8 歳 ※今年より、健康管理の精度向上を目指し胴回りも実測しています。 海遊館では、まだ詳しい生態のわかっていないジンベエザメの生態研究や体調管理の一環としてジンベエザメの全長測定を行っています。全長測定はメジャーによる実測を行っており、この方法は給餌中のジンベエザメの体に触れるトレーニングによって実現しました。 計量記念日を通して生き物たちが元気に成長する様子や海遊館の健康管理の取り組みを紹介し、自然環境について興味をもっていただきたいと考えています。 【担当者のコメント】 遊、海ともに今年もしっかり成長していました。日々のトレーニングの甲斐あってスムーズに計測することができました。また、今年からは胴回りの測定も行っています。プロポーションを把握することで給餌量の参考にするなど、健康管理の精度向上を目指しております。これからも定期的に測定し、健康管理に努めてまいります。
2022.07.05
調査・研究
世界初!ミナミイワトビペンギンの凍結精子を用いた人工授精に成功しました!
葛西臨海水族園との共同研究による世界初の快挙!ミナミイワトビペンギンの凍結精子を用いた人工授精の成功を確認 海遊館と葛西臨海水族園(東京都)は、共同でミナミイワトビペンギンの人工授精に取り組み、本種では世界初となる凍結した精子を用いた人工授精に成功しました。海遊館では平成23年より、野生下において絶滅の恐れがある本種の繁殖生態の解明と人工繁殖技術の確立を目指した研究を開始しました。平成28年からは葛西臨海水族園と連携し、同年に世界初となる液状保存の精子を用いた人工繁殖に成功しました。平成29年には両園館で共同研究契約を締結し、取り組みをさらに発展させるべく、精子の冷凍保存への研究を開始しました。昨年度に海遊館で飼育しているミナミイワトビペンギンから精子を採取、凍結保存の処理後に輸送し葛西臨海水族園の1羽のメスに対して人工授精を実施しました。人工授精を実施した1羽のメスは、4月4日、8日に計2つの卵を産み、5月8日に1羽のヒナが誕生しました。血液を用いたDNA検査の結果、凍結保存の精子を用いた人工授精によるヒナであることが判明しました。なお、孵化したヒナは、残念ながら5月10日に死亡しました。 今回実施した人工授精の結果 親鳥 母:葛西臨海水族園メス 父:海遊館オス 精子の処理 凍結保存 ※世界初 人工授精の実施日 3月28、31日 産卵日 4月4日 孵化日 5月8日 DNA検査の結果 人工授精によるヒナと判明 今後の取り組み 海遊館と葛西臨海水族園は協力関係をより深め、本種における人工授精の技術を確立させます。また、この技術を国内外の水族館や動物園に普及させることで、繁殖を推進し、絶滅のおそれがある野生下のミナミイワトビペンギンの種の保存にも貢献したいと考えています。 ミナミイワトビペンギンについて 英名:Eudyptes chrysocome 学名:Southern Rockhopper Penguin体長は成熟個体で45〜58cm、体重は2.2〜4.2kg。ペンギンのなかでも小型の種で、岩場を飛び跳ねながら移動することからこの名前がついたといわれています。目の上にある黄色い冠羽が特徴で、沿岸の岩場の小石や雑草で巣づくりをします。メスは1回の繁殖で通常2個の卵を産みます。ペンギンの中では気性がやや激しく、小魚やオキアミなどを食べます。
2022.06.01
調査・研究
海遊館で繁殖した3種類の生き物が日本初繁殖に認定されました。
海遊館で繁殖した3種類の生き物が日本初繁殖に認定されました! タテスジトラザメ(幼魚) ヤッコエイ(幼魚) オヤビッチャ(幼魚) 「初繁殖認定」とは、日本動物園水族館協会(JAZA)の加盟園館における飼育下での繁殖技術の向上とその蓄積が生物学的記録の一つとして学術的に寄与することを目的に、諸条件を満たした種について国内初繁殖として認定されるものです。 今回認定された3種の中で、タテスジトラザメは孵化までの日数や、飼育下での成熟サイズ・年齢まで分かりました。 海遊館では旧繁殖賞を含め、13種の生き物が初繁殖認定されており、今後も生き物たちの展示と繁殖を通じた生態解明や魅力を発信していくと共に、種の保存や環境保全に関わる様々な調査研究活動に貢献してまいります。 担当者コメント 今回、3種の国内初繁殖に成功しました。水族館で繁殖することは、うまく飼育できていることだと思うのでとても嬉しいです。タテスジトラザメにおいては、これまで成熟年齢が分かっていませんでしたが、2015年に海遊館で生まれたメス個体が昨年産卵したことから、飼育下ではありますが本種の成熟年齢やサイズが分かりました。このように、ただ繁殖するだけでなく、その経緯や経過を記録することで少しずつかもしれませんが生態解明に迫ることができるので、今後も様々な生物種の繁殖を積極的に促進できればと思います。 タテスジトラザメ について 英名 : Pyjama shark学名 : Poroderma africanum 南アフリカ沿岸の固有種で、トラザメ科に属するサメの一種。体表にある特徴的な縦スジ模様が名前の由来になっている。海遊館では2005年より飼育、2014年に初繁殖。 現在はバックヤードにて飼育中。 ヤッコエイについて 英名 : Bluespotted stingray学名 : Neotrygon kuhlii 北海道以南からインド洋に分布するアカエイ科に属するエイの一種。背中に青や灰色の斑点模様が見られる。海遊館では2013年より飼育、2017年に繁殖。 現在は「アクアゲート」にて飼育展示中。 オヤビッチャについて 英名 : Indo-Pacific sergeant学名 : Abudefduf vaigiensis 日本を含むサンゴ礁や沿岸地域の岩礁などの温かく浅い海に広く生息しているスズメダイの一種。 体長は20cm程になり、体側にある5本の縞模様が特徴的な魚。 今回繁殖に成功したオヤビッチャは2019年より飼育を始め、2020年に繁殖に成功。 現在は「アクアゲート」、「グレート・バリア・リーフ」水槽、「モルディブ諸島」水槽にて飼育展示中。
2021.11.03
調査・研究
ジンベエザメの全長を実測しました!
11月1日の"計量記念日"にちなみ、本日11月3日(水・祝)に館内「太平洋」水槽で飼育展示中のジンベエザメの全長実測を行いました。 結果は以下のとおりです。 全 長 推定体重 推定年齢 遊: 5 m 85 cm昨年(5 m 70cm) 1,500 kg(1,400 kg) 14~15 歳 海:4 m 80 cm昨年(4 m 50 cm) 800 kg(750 kg) 6~7 歳 海遊館では、まだ詳しい生態のわかっていないジンベエザメの生態研究や体調管理の一環としてジンベエザメの全長測定を行っています。 全長測定はメジャーによる実測を行っており、この方法は給餌中のジンベエザメの体に触れるトレーニングによって実現しました。 計量記念日を通して生き物たちが元気に成長する様子を紹介し、自然環境について興味をもっていただきたいと考えています。 【担当者のコメント】 遊、海ともに今年もしっかり成長していました。嫌がることなく計測ができたのは、日々トレーニングを行っているジンベエザメのおかげです。これからも定期的に測定し、健康管理に努めてまいります。
2020.11.03
調査・研究
ジンベエザメの全長を実測しました!
11月1日の"計量記念日"にちなみ、本日11月3日(火)に館内「太平洋」水槽で飼育展示中のジンベエザメの全長実測を行いました。 結果は以下のとおりです。 全 長 推定体重 推定年齢 遊: 5 m 70 cm 1,400 kg 13~14 歳 海:4 m 50 cm 750 kg 5~6 歳 水上から撮影した100枚の写真の平均値で全長を計測する従来の方法では、ジンベエザメの体の傾きや水面の揺れから計測結果の誤差が生じやすい問題点がありました。 今回、より精度の高い情報を得るため、ダイバーが給餌中のジンベエザメの体に触れるトレーニングを行った結果、ジンベエザメの全長を実測することが可能になりました。(体重は過去の計測値から推定して算出) 海遊館では、計量記念日を通して生き物たちが元気に成長する様子を紹介し、自然環境について興味をもっていただきたいと考えています。 【担当者のコメント】 体を触るトレーニングでは、ジンベエザメに嫌悪感を与えないよう、反応を見ながら慎重にトレーニングを進めました。今回の結果から、しっかりと成長していることが分かり安心しました。今後もジンベエザメの成長を記録し、飼育技術の向上に尽力したいと思います。
2020.09.11
調査・研究
海遊館初「オヤビッチャ」の繁殖に成功しました。
海遊館初「オヤビッチャ」の繁殖に成功しました~長きにわたる飼育員の挑戦が実を結びました~ オヤビッチャの稚魚(約2cm) 海遊館では、当館で繁殖に成功したスズメダイの仲間「オヤビッチャ」の稚魚を館内5階の企画展「ぎゅぎゅっとキュート」にて一般公開を開始いたします。今だからこその小さな姿がご覧いただけます。飼育員が、オヤビッチャの稚魚に関する情報がない中で産卵場所や飼育環境、そして稚魚の餌など様々な工夫を重ねた結果、繁殖に至りました。また、オスがヒレを使って卵に水流を送る行動は卵の孵化に大きな影響があり、水流ポンプを使った一方向の流れでは孵化もその後の成長もうまくいかないということや、稚魚の成育には海水の比重が関係していることなどがわかってきています。オヤビッチャの繁殖・展示を通して、命の素晴らしさを感じていただきたいと思っています。今後も多様な生物が暮らす海、そして地球を未来に届けられるよう、種の保存や環境保全に関わる様々な調査研究活動を続けてまいります。※稚魚の展示は生き物の状態により予告なく終了する場合がございます。 【 担当飼育員のコメント 】 オヤビッチャの繁殖は、失敗の繰り返しが延々と続きその難しさに心が折れそうになりました。 はじめは、透明で目だけが大きく目立つ赤ちゃんが、次第に白っぽくなりその後、意外なことに真っ黒になりました。 赤ちゃんが育つ過程で、なぜ真っ黒になるのかと不思議に思いましたが、これからも生き物たちをしっかりと観察し、長い時間がかかっても、あきらめずに繁殖研究に取り組んでいきたいと思います。 【オヤビッチャについて】 英名:Indo-Pacific sergeant 学名:Abudefduf vaigiensis 日本を含むサンゴ礁や沿岸地域の岩礁などの温かく浅い海に広く生息しているスズメダイの一種で、体長は20cm程になり、体側にある5本の縞模様が特徴的な魚です。 海遊館では「アクアゲート」水槽、「グレートバリアリーフ」水槽、「ぎゅぎゅっとキュート」(稚魚)にて飼育展示を行っています。 オヤビッチャ(成魚)
2019.12.10
調査・研究
ジンベエザメの回遊経路調査について
2019年10月19日、ジンベエザメにデータロガー(小型記録装置)を取り付けて放流しました。 取り付けたデータロガーは2つで、調査期間の異なる1ヶ月間用と1年間用です。そのうち1か月間用のデータが回収でき、専門機関で解析した結果、遊泳経路がわかりました。徳島県の沖合から、和歌山県、三重県の沖合まで移動したジンベエザメが、大阪湾へと遊泳方向を変えました。大阪湾の水温が例年より高く、シラスなど餌となる生物を追って移動した可能性があるのでは?など、考察しているところです。また、過去の調査記録では、ジンベエザメは海水温の低下に伴い南に向かっていますので、今後、海水温の変化とともに、南に向かうのではないかと考えています。※以降の遊泳経路は、1年間用データロガーが切り離され、データが回収でき次第、専門機関による解析後に判明します。(2020年10月以降) 【過去の調査記録】 ▷ 海遊館の研究詳細ページ 海遊館では、ジンベエザメの研究フィールドを自然の海と飼育下の両方におくことで、まだわかっていないジンベエザメの生態解明に役立て、保全活動に貢献してまいります。
2018.10.22
調査・研究
「サメのゲノム解析」について、記者発表しました。
ジンベエザメを飼育展示している、海遊館と沖縄美ら海水族館では、健康管理や生態研究を目的に、1ヶ月に1回の定期的な血液検査を行っています。【ジンベエザメに負担をかけない方法で採血を行なう様子】このジンベエザメの血液をはじめ水槽内で産まれたイヌザメの卵など、水族館での飼育展示を通して得られる試料を用いたDNA研究を、理化学研究所(理研)生命機能科学研究センターの工樂 樹洋博士を中心とする共同研究グループで取り組み、先日、その成果「サメ3種のゲノム解析」を発表しました。 共同研究グループの説明 理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター分子配列比較解析ユニット工樂樹洋ユニットリーダー 沖縄美ら島財団総合研究センター佐藤圭一上席研究員(沖縄美ら海水族館副館長) 海遊館西田清徳館長 大阪市立大学大学院理学研究科小柳光正准教授 東京大学大気海洋研究所兵藤晋教授 ⇒ 詳しい内容は、こちらから