2019.12.10
調査・研究
ジンベエザメの回遊経路調査について
2019年10月19日、ジンベエザメにデータロガー(小型記録装置)を取り付けて放流しました。 取り付けたデータロガーは2つで、調査期間の異なる1ヶ月間用と1年間用です。そのうち1か月間用のデータが回収でき、専門機関で解析した結果、遊泳経路がわかりました。徳島県の沖合から、和歌山県、三重県の沖合まで移動したジンベエザメが、大阪湾へと遊泳方向を変えました。大阪湾の水温が例年より高く、シラスなど餌となる生物を追って移動した可能性があるのでは?など、考察しているところです。また、過去の調査記録では、ジンベエザメは海水温の低下に伴い南に向かっていますので、今後、海水温の変化とともに、南に向かうのではないかと考えています。※以降の遊泳経路は、1年間用データロガーが切り離され、データが回収でき次第、専門機関による解析後に判明します。(2020年10月以降) 【過去の調査記録】 ▷ 海遊館の研究詳細ページ 海遊館では、ジンベエザメの研究フィールドを自然の海と飼育下の両方におくことで、まだわかっていないジンベエザメの生態解明に役立て、保全活動に貢献してまいります。
2018.10.22
調査・研究
「サメのゲノム解析」について、記者発表しました。
ジンベエザメを飼育展示している、海遊館と沖縄美ら海水族館では、健康管理や生態研究を目的に、1ヶ月に1回の定期的な血液検査を行っています。【ジンベエザメに負担をかけない方法で採血を行なう様子】このジンベエザメの血液をはじめ水槽内で産まれたイヌザメの卵など、水族館での飼育展示を通して得られる試料を用いたDNA研究を、理化学研究所(理研)生命機能科学研究センターの工樂 樹洋博士を中心とする共同研究グループで取り組み、先日、その成果「サメ3種のゲノム解析」を発表しました。 共同研究グループの説明 理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター分子配列比較解析ユニット工樂樹洋ユニットリーダー 沖縄美ら島財団総合研究センター佐藤圭一上席研究員(沖縄美ら海水族館副館長) 海遊館西田清徳館長 大阪市立大学大学院理学研究科小柳光正准教授 東京大学大気海洋研究所兵藤晋教授 ⇒ 詳しい内容は、こちらから
2018.06.22
調査・研究
ミナミイワトビペンギンが誕生しました。凍結保存の精子を用いた人工授精が成功した場合、世界初となります
ミナミイワトビペンギンが誕生しました。◆凍結保存の精子を用いた人工授精が成功した場合、世界初となります 2018年6月13日(水)~6月18日(月)にかけて、一般公開中の「フォークランド諸島」水槽で、ミナミイワトビペンギンの雛が3羽誕生しました。 今回誕生したミナミイワトビペンギンの雛は、全て人工授精を行った親鳥から産まれました。海遊館では2016年に液状保存の精子を用いて、本種の人工授精に世界で初めて成功しており、本年6月16日(土)に誕生した雛の親鳥には、さらに発展させた試みとして、凍結保存の精子を用いた人工授精を行いました。 人工授精の成否は、卵殻の内側に付着した血液を用いたDNA検査と海遊館で飼育している本種の行動観察を行い、約1ヶ月後に判明する予定です。人工授精が成功していた場合、本種における凍結保存の精子を用いた人工授精として、世界で初めて成功したことになります。 現在、親鳥が熱心に子育てをしています。雛は親鳥のお腹の下に隠れていますが、親鳥が動いたタイミングなどに顔を出し、ピーピーと鳴く様子をご覧いただけます。 凍結保存の精子による人工授精の意義について 人工授精の技術を確立し、技術が普及することで、国内外の水族館や動物園におけるペンギン類の繁殖を向上させることができます。さらに精子の凍結保存の技術が確立できれば、半永久的に凍結された精子(遺伝子)を保存できるため、絶滅の恐れがある野生下のミナミイワトビペンギンの種の保存に貢献することができます。 ミナミイワトビペンギンについて フォークランド諸島など南極周辺の島々に生息し、体長は約50cmでペンギンのなかでも小型の種。岩場を飛び跳ねながら移動することからこの名前が付いた。目の上にある黄色い冠羽が特徴。沿岸の岩場の小石や雑草で巣を作り、メスは1回の繁殖で通常2個の卵を産む。ペンギンの中では気性がやや激しい。小魚やオキアミなどを食べる。IUCN(国際自然保護連合)が定めるレッドリストにて、絶滅危惧種に指定されている。 海遊館のミナミイワトビペンギンの飼育総数は18羽(メス7羽、オス11羽)
2016.06.23
調査・研究
DNA検査の結果、人工受精によるミナミイワトビペンギンの雛の誕生を確認しました~本種では世界初~
海遊館では、平成28年6月4日から6日にかけて、ミナミイワトビペンギンの赤ちゃんが3羽誕生し、公開中の「フォークランド諸島」水槽で元気に成長しています。この赤ちゃんのDNA検査を行った結果、1羽が人工授精により誕生したことがわかりました。ミナミイワトビペンギンの人工授精の成功は、世界で初めてです。 海遊館では、ミナミイワトビペンギンの繁殖率向上を目的に、2011年より繁殖生態の解明と人工繁殖技術の確立を目指し、神戸大学大学院農学研究科の楠 比呂志氏(准教授)と共同研究 に取り組んできました。 研究開始から6年目の今シーズンは、飼育羽数が多く自然繁殖の実績を持つ葛西臨海水族園(東京)に協力を依頼し、4月末に葛西臨海水族園のオスから精子を採取し、海遊館で飼育中の3羽のメスに人工授精を行いました。 人工授精を行った3羽のメスは、4月28日から5月4日にかけて計5つの卵を産み、ペアの親鳥が約1ヵ月間あたため、6月4日から6日にかけて3羽の雛が誕生しました。 卵の殻の内側に付着した血液からDNA検査を行った結果、3羽のうち1羽が人工授精による雛の誕生であることが判りました。 海遊館では、今後、この人工繁殖技術を国内外の水族館や動物園に普及し、ペンギン類の繁殖を向上させるとともに、精子を凍結保存する技術を確立させて、絶滅の恐れがある野生下のミナミイワトビペンギンの種の保存にも貢献したいと考えています。
2015.06.16
調査・研究
「天保山岸壁の生物調査(6月6日)」の結果をお知らせします
海遊館では、天保山岸壁にすんでいる付着生物や泥中の生物を定期的に採集して調査を行っており、6月7日(土)にも「2015年大阪湾生き物一斉調査」の一環として、一般の参加者と共に実施しましたので、その結果をお知らせします。 《実施日》 平成27年6月6日(土)9:30~12:00《調査場所》 海遊館西側の天保山岸壁《調査員》 事前募集による一般からの参加者26名様とスタッフ4名《調査方法》 岸壁に沈めてある付着基盤から採集と、採泥器でとった泥より採集。《調査結果》 カニやエビの仲間(節足動物門)、貝やウミウシの仲間(軟体動物門)をはじめ、合計50種類以上の生き物を観ることができました。 当日確認できた生物の一部をご紹介します。
2015.06.16
調査・研究
「大阪湾スナメリ調査」(5月30日)の結果をお知らせします
5月30日に行った「大阪湾スナメリ調査」の結果をお知らせします。 《調査日》 2015年5月30日(土) 10時頃に海遊館横の岸壁を出港。16時頃に帰港。 《調査場所》 大阪湾、関西国際空港付近《参加者》 一般の参加者17名様と海遊館スタッフ、大阪ECO動物専門学校近藤先生と生徒の皆さん、マスコミの皆様 当日は比較的おだやかな天気でしたが、若干風があり、そのため水面が波立って、背ビレを持たないスナメリを発見するには大変難しい状況でした。残念ながら参加者の皆さんが発見することはできませんでしたが、近藤先生は関空の南東で1頭のスナメリを確認しています。 スナメリ発見位置 緯度:N34:22:40.21 経度:E135:12:26.52 今回の調査航路です。
2014.06.13
調査・研究
「天保山岸壁の生物調査(6月7日)」の結果をお知らせします
海遊館では、天保山岸壁にすんでいる付着生物や泥中の生物を定期的に採集して調査を行っています。今回は「2014年大阪湾生き物一斉調査」の一環として、一般の参加者と共に実施しましたので、結果をお知らせします。 ・実施日 :平成26年6月7日(土)9:30~12:00・場所 :海遊館西側の天保山岸壁・参加者 :一般募集の参加者26名とスタッフ4名・調査方法 :岸壁に沈めた付着基盤より採集、採泥器でとった泥より採集・結果 :カニやエビの仲間(節足動物門)、貝やウミウシの仲間(軟体動物門)をはじめ、 合計約50種の生き物を観ることができました。 ※現在、種の同定作業を行っている生き物もいますので、さらに種数は増える見込みです。 詳細は後日ホームページ上でお知らせします。 【 確認された生き物(一部)】 イッカククモガニ イトマキヒトデ サルボウガイ マンハッタンボヤ ケフサイソガニ フトメリタヨコエビのオス・メス マヒトデ タオヤギソウ
2014.06.02
調査・研究
「大阪湾スナメリ調査」の結果をお知らせします
「大阪湾スナメリ調査」の結果をお知らせします。 調査日 : 2014年5月31日(土)出航9時50分ごろ、帰航15時50分ごろ場 所 : 大阪湾、関西国際空港付近参加者 : 一般の方(19名)、大阪ECO動物海洋専門学校(19名)、マスメディア関係者(3名)、海遊館(4名)航行距離 : 130km発見数 : 5回、のべ10頭(5群10頭)群れサイズ : 1~3頭 NO 緯度 経度 時刻 頭数 1 N34:23:31.88 E135:09:17.68 12:01 2 2 N34:24:48.82 E135:10:06.56 14:12 2 3 N34:24:53.64 E135:09:54.72 14:24 1 4 N34:28:14.19 E135:14:13.39 14:48 3 5 N34:30:43.85 E135:16:55.49 15:09 2 スナメリは、体が小さく背びれがないことから波に紛れてしまうことが多く、海上で発見するのが非常に難しい生き物ですが、今回はお天気と海況にも恵まれ、参加者全員でスナメリを目撃することができました。 また、ご参加いただいたみなさまと一緒に大阪湾を見ながら、あらためて人の暮らしと環境について考えるよい時間を持つことができました。これからも、「大阪湾スナメリ調査」を継続し、たくさんの方とスナメリの暮らしを見守りたいと考えています。 今回の調査航路です。 大阪湾のスナメリたち (体は少ししか見えていませんが、2頭います)※春から初夏は、繁殖シーズンと考えられています。雌雄のペアや親子の可能性があります。 スナメリ調査の様子「え~っ、どこどこ~?」 「大阪湾スナメリ調査」の様子は、「海遊館日記」(ブログ)でも紹介しています。「イルカ通信番外編」 http://www.kaiyukan.com/blog/2014/06/post-438.html