夏の終わりの珍客

8月の「真夏の珍客」に続いて、9月初旬にも天保山岸壁で「珍客」が見つかりましたのでご紹介します。
その珍客は、写真1のように水面付近をふわふわ枯れ葉のようにただよっていました。これはもしや!と思い網ですくってみるとナンヨウツバメウオの幼魚(写真2)でした。本種の幼魚は、港に流れつく流木などのゴミの中で枯れ葉に擬態しているのが見つかる事がよくあります。採集する前にしばらく幼魚の行動を観察してみると、その形や色、動きが水中をただよう枯れ葉にそっくりで、この様な擬態がどのように発達したのか、不思議でなりません。

ナンヨウツバメウオの成魚は南方の熱帯海域が主な分布域です。幼魚は漂流しながら移動する習性があり、この時期、上で述べたように枯れ葉に擬態するようです。海流に乗って日本の太平洋沿岸には夏の終わり頃から幼魚が姿を見せます。しかし、大阪湾のような内湾のしかもその奥の天保山岸壁にまでたどり着く例は少ないようです。また、大阪湾の冬の水温は熱帯性のナンヨウツバメウオがすむには低すぎ、移動できなければ死んでしまうのでしょう。
今回採集したナンヨウツバメウオは、海遊館の水槽で飼育してみる事にしました。上手くいけば、その経過をお知らせしたいと思います。

▼水中をただようナンヨウツバメウオの幼魚
頭を下にして逆立ちになったり(写真1-1)、体を横倒し(写真1-2)にしつつ、流れに身をまかせていた。
【写真1-1】
2110_osaka_bay01_1.jpg

【写真1-2】
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【写真2】天保山岸壁で採集したナンヨウツバメウオの幼魚。全長約8㎝。
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