川から来るものたち

 海遊館のある大阪港の天保山では、川から流れてきた淡水の生き物(死がいも含めて)が見つかります。特に目につくのは水草です(写真1)。逆にほとんど目につかないのは、小さなプランクトンです。先日、大阪港のプランクトン調査をされている研究者から、数種類の淡水の植物プランクトンが採集されている事を教えてもらいました。大阪港には淀川本流やそれとつながる安治川などが流れ込んでいるため当然なのですが、これまで考えた事はほとんどありませんでした。採集された淡水の植物プランクトンの中には、琵琶湖からきた可能性のある緑藻類のミクラステリアス・ハーディー(写真2)も含まれていました。本種は、オーストラリアやニュージーランドなどに分布し、本来日本には分布していません。なぜ見つかるようになったのかは不明ですが、2016年から琵琶湖で急に増え出して生態系への影響が注目されています。そんなミクラステリアス・ハーディーが琵琶湖から流れ出て宇治川を通じて淀川に入り、大阪港まで流れついたのではないかと研究者は推測しています。

 川から海に流れ出た淡水の生き物は、アユやウナギのように川と海を行き来する例もありますが、ほとんどは高い塩分に耐えられず死滅していく運命にあります。今回、その中には小さなプランクトンもたくさんいる事に気がつきました。また、遠く琵琶湖とのつながりもかい間見えました。

【写真1】 天保山岸壁に流れついた水草。

① 特に大雨の後に多く流れてくる事がある。
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② 色々な種類の水草が見つかる。
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【写真2】天保山で採集されたミクラステリアス・ハーディー(学名:Micrasterias hardyi
淡水産の緑藻類で、植物プランクトンとしては大型の種類。写真の個体は、大きさ約0.2㎜。オーストラリアやニュージーランドなどに分布し、2011年に琵琶湖で初めて確認される。日本への侵入経路は不明。
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