淀川河口域を考える会に参加してきました
- 2021.11.30
- 魚類チームの日記
先日、「日本の森」水槽の担当者として大阪市漁業協同組合が主催する「第4回淀川河口域を考える会」に参加してきました!!!
会では、淀川河口域が生の多様性に富むために必要な生物調査や環境整備、また人と川、海をつなぐ文化、観光、食、イベント、普及活動などについての講演がありました。私は初めて参加したのですが、とてもとても有意義な時間でした!
今回、発表された研究者の皆様に掲載許可をいただきましたので、それも併せてみなさまにもちょっぴりご紹介します。もっと詳しく知りたいという方は生き物サロンをご覧ください。
今回の会の中でもっとも驚いたのが海遊館の「日本の森」水槽でも展示しているアユについてです!
アユは1年で一生を終える魚で、秋に産卵します。「清流の女王」と呼ばれているため、清流にしかいないと思われている方も多いと思いますが、ふ化した仔魚は川を下り、冬場は海や河口で成長し、春には幼魚が川を遡上し夏に川で成長します(地域によっては一部海へ下らないアユの群れもいます。)
みなさまは大阪の淀川にもアユが生息していて、毎年仔魚や稚魚が大阪港まで下ってくることをご存じでしたか?
淀川は明治時代に治水のため、下流部で新淀川(新淀川流路)と旧淀川(大川)にわかれます。
(※Google mapより)
上流で孵化したアユの仔魚が海に下るには、それぞれの川にある堰を無事に突破しなければなりません。京都大学防災研究所環境研究センターの瀬口氏によると仔魚は旧淀川に行くものが多く、そこでは堰の水位の落差が大きく生存率がとても低くなるのだとか。
どうすれば生存率を上げられるかを研究した結果、各々の堰を通る水量を調整し、仔魚をなるべく新淀川に導く方法を考え出されました。しかし、これは簡単なことではありません。
海遊館のコンセプト「すべてのものはつながっている」の様に、流量の調整にはアユだけではなく、他の生き物、その周りに住む人々の暮らしへの影響も考える必要があるからです。これから様々な検討がなされるとのこと。
では、無事、海に下ったアユの稚魚はどこにいるのでしょうか?
アユ稚魚は日本各地で波打ち際など浅場に生息すると報告されていますが、淀川河口の大阪ベイエリアは大部分がコンクリートなどの直立直線護岸となっています。
直立直線護岸であっても、港内や、防波堤や構造物に囲まれ、潮の出入りはあるが流れが緩い場所で、かつ、大型捕食者(スズキなど)から逃がれられる場所があることが稚魚の生育場の条件となっていると推測されています。中筋氏は大阪ベイエリアに生きるアユのために上記のような場所をつくってはどうかという提案をされていました。
これからの季節は特に稚魚がみられるそうなので私たちも中筋氏のご指導をいただき、アユの稚魚を探してみたいと思います!稚魚を見つけることができたらまた報告しますね。
人と自然が共生する環境づくりができるように、地元の大阪に注目し、いろんなことをお伝えしていければと思います!
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