クラゲの輸送

先日、高知県にある海遊館の研究施設、以布利センターから「ハナガサクラゲ」を搬入しました。
普段魚類や動物の担当をしている私はクラゲに関してはド素人なのですが、ハナガサクラゲの輸送を担当することになったので、今回はその様子をご紹介します。

傘の黒い縞模様と、そこから伸びた触手の桃色や黄色の鮮やかな色彩がとても美しいハナガサクラゲ。
美しい姿とは裏腹に強い「刺胞毒(しほうどく)」を持っていて、刺されるととても痛いそう。
夜行性と言われていて、日中は海藻などにくっついてじっとしているのも特徴です。

ハナガサクラゲは、以布利センター近くの漁師さんが仕掛けた網の中で採れます。
網を揚げる際に、網の底にくっついていたハナガサクラゲが浮かび上がってくるのだそうです。

それを柄杓ですくって採集します。
しばらくセンター内の水槽で飼育してから、海遊館に運びます。

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以布利センターの水槽内で飼育しているところ


餌は「アゴハゼ」や「メジナ」の稚魚といった小魚。
以布利で採れる旬のお魚たちを与えています。
餌をあげるのにもちょっとした工夫が...。
一斉に餌を与えると、クラゲ同士で餌の取り合いになるため、1匹ずつ別カゴに移して与えるそうです。
手間暇かかっていますね。

では、実際の輸送の様子をご紹介。
まずは、水槽からハナガサクラゲをすくいます。
仕切りカゴにくっついているので、無理にはがすと触手がちぎれてしまいます。
下から桶で水流を起こし、自然にはがれたものをすくいます。

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傘(クラゲの胴体部分)の中に空気がたまっていることがあるので、一度傘をひっくり返して丁寧に空気を抜きます。
そのままにしておくと、空気と接している部分が乾燥し、傘に穴が開いてしまうのだそうです(驚!)
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海水が入ったビニール袋の中にクラゲを入れて、空気が入らないように袋をゴムで縛ります。
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魚をビニールに入れて輸送する際は、「酸素パック」といって水の中に酸素をたくさん吹き込んだ状態で梱包することが多いのですが、
ハナガサクラゲに関しては、「酸素パック」はしない方が状態良く運べるのだそうです。
なるほど、なるほど。
クラゲの輸送も奥が深いですね。

こうして以布利センターから海遊館にやってきたハナガサクラゲ達が、展示水槽にデビューしました。

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ぜひ、美しいハナガサクラゲを見に来てくださいね!

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