真夏の異変 2

先日、海底から引きあげたカゴに付着する生物が激減していた話をしました。(→「真夏の異変」
原因は汚濁した海で夏場におこる酸素不足と考えられますが、同時にこの調査では、そんな環境でも生きていける生物がいるという、新たな発見もありました。

その生き物たちを見つけたのは、カゴを海水で軽く洗い流した後に残った泥の中でした。よく観察してみると、大きさ1~2cmほどの多数の生物がうごめいている事がわかりました(写真1)。種類を調べると、ダイリンチビクモヒトデ(写真2)とカキクモヒトデ(写真3)というクモヒトデの仲間、ノリコイソメ科のゴカイの仲間(写真4)の3種がほぼ独占状態だったのです。彼らは普通では耐えられない低酸素でもへっちゃらな、汚濁環境に強い生物と言えそうです。

今回の例のように、汚濁した海では過酷な環境に耐える一部の種のみが数を増やし、生物多様性が失われることが知られています。海遊館前の海は、春先から夏まではそれなりに生物の種類も豊富なのですが、「真夏の異変」が多様性を失った不健康な海へと変えてしまうのです。1年を通して、多様な生物が多様に関わり合う豊かな海の生態系を取り戻したいものです。

写真1:カゴの中の泥から取り出した生物
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写真2:ダイリンチビクモヒトデ
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写真3:カキクモヒトデ
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写真4:ノリコイソメ科の一種
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