以布利通信64 カサゴの赤ちゃん

こんにちは 以布利センターです。
先日、カサゴが仔魚(魚類の成長段階の初期の発育段階で、ヒレや骨格ができあがるまでの段階)を産出しました。
今日はカサゴの産出前から、仔魚が産まれてから数日までのお話をしたいと思います。

カサゴは最大で25cm程度になり、沿岸域の岩礁に生息し、カニ類や魚類などを食べます。
カサゴはメスの体内で受精し、胎内で卵が孵化して、仔魚として産出する「卵胎生」を行う魚です。
以布利センターでは、写真のような抱卵したメス個体を飼育していました。
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そして、春一番が吹いた日、カサゴの仔魚が誕生しました。
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黒い点のように見えるのが、全部カサゴの仔魚です。
写真1枚目の個体は、1回でなんと約2000尾近くもの仔魚を産出しました。
この後も数回に分けて産出+他のメス個体も同じように産出し、合計で約1万尾近くの仔魚が産まれました。

こちらは産出されてから約20時間後の仔魚を顕微鏡で見たものです。目や口、肛門が形成されているのが確認できます。
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しかしながら、産まれた約1万尾の仔魚全てが成長できるわけではありません。

仔魚から稚魚になるまでの間に「初期消耗」が起きることが理由です。
人工下で管理しても、先天的に成育する能力がなかったり、エサを取ることができない個体がいたりと、様々な理由で死んでしまうのです。
特に仔魚にとっての大きな試練は油球(仔魚がお腹にもっている栄養)を使い切る前にエサにたどり着けるか否かです。

私たちもなるべく仔魚の生残率を上げるために、照明の時間や海水の濃度を変えたり、仔魚がエサに遭遇しやすく、食べやすい状況にしたり、エサの与え方を変化させるなど、毎日試行錯誤しています。
また、カサゴの仔魚が順調に育ったら続編をあげたいと思います。

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