カピバラ・アンの現状

「エクアドル熱帯雨林」水槽で暮らしていたカピバラの「アン」ですが、今年の2月はじめ頃より食欲の不振と足をひきずるような行動が観られたことから、麻酔をかけて詳しい検査を行いました。その結果、「運動器疾患」を有していることが判明しました。
獣医の診断で、しばらくは安静がよいとのことで、バックヤードで療養に専念することにしました。

ここからは、アンの療養の様子を紹介します。

1つ目は、環境改善です。
つまずき等での指先の怪我や、足腰への負担を減らすため、段差の少ない平坦な状態を作りました。床には滑りにくい特殊なマットや、ゴムマットを設置するなど、アンの体調に応じて様々な工夫を行っています。

2つ目は、マッサージです。
安静中も血行が悪くならないよう、負担にならない程度に全身マッサージを行ったり、指圧や、後で説明するお灸を行っています。
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3つ目は、温浴です。
温浴は、体を温めて血流を改善し、老廃物の代謝を促すことや、むくみを取るなどの様々な効果があります。海遊館には温泉のようにお湯が湧き出る場所はないので、大きなタンクに水を溜め、ヒーターを使用して、アンが常にお湯が使えるように工夫をしました。温浴中にマッサージや指圧を行ったり、肢の曲げ伸ばしを行ったりすると、気持ちが良いのかうっとりとしているように見えます。。
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4つ目は、鍼灸治療です。
東洋医学を用いた治療を施す動物病院の先生の指導を受け、鍼灸治療に臨んでいます。海遊館では初の試みです。人間と同様に動物にも様々な経穴(ツボ)があります。鍼治療では、経穴(ツボ)を刺激することにより、自然治癒力を高め、健康へと導く効果があると言われています。上記のマッサージも、先生の指導により行っています。また、灸による治療は血行を促進し、痛みを和らげ、体を温める効果があります。

針治療の様子↓

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台座灸
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棒灸


棒灸はもくもくと煙が出るので、最初は戸惑う様子がありましたが、担当者の馴致により慣れたようで、今ではお灸をすると目がとろ~んとなっているように思われます。

以上の4つを紹介しましたが、全てを行う上で最も大切なことは「動物も人間も常に安全な状態である事」です。アンと飼育係員は、これまで時間をかけて信頼関係を築いてきました。新しく治療に携わっていただいている東洋医学の先生に初めてお越しいただいた日は、少し警戒し、ほとんど何もできなかったアンですが、2回目、3回目と、治療にも徐々に慣れていき、状態も改善してきており、、徐々に信頼関係ができていきました。先生は普段、犬や猫などを治療されていますが、カピバラを診るのは初めてとのことでした。
アンには気持ち良い経穴(ツボ)があるようで、そこに触れると、毛がふぁ~と逆立ちます(笑)。体で表現してくれるのでわかりやすいです (^^)

上記に挙げた4つ以外にも色々なことに日々挑戦しており、アン自身は徐々に回復傾向にあります。今後もアンと協力して、積極的な治療を継続していきます!!

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