大阪港で里海づくり?

海遊館前の天保山西岸壁で生物調査を継続し、大阪湾奥部にある大阪港の生き物の様子や環境の変化についてご紹介していますが、今年度は大阪府の環境保全課にお声がけいただき、環境省令和5年度「令和の里海づくりモデル事業」に参加することになりました。

「大阪港で里海づくり?」と思われるかもしれませんが、過去の調査結果から、多種多様な生き物が暮らしていることがわかっています。すみかや隠れ場所などの新たな環境を作ることで、「もっと豊かな生態系を身近に作れないか?」これが今回のテーマです。

環境学習プログラムに参加している3校の生徒に主体的に参加してもらい、まず9月に生き物のすみかや隠れ場所になるカゴの設計図を2種類ずつ考えてもらいました。
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10月下旬、設計図を元に自分たちで一からカゴ作りを行い、アイデア満載の個性的なカゴを岸壁の水面近くと海底に設置しました。
2402_satoumi_02.jpg▲カゴの中に入って仕掛けづくり
2402_satoumi_03.jpg▲魚が出入りできるトンネル付き
2402_satoumi_04.jpg▲中をらせん状にして生き物を誘導
2402_satoumi_05.jpg▲小さな生き物の隠れ家用に材料を色々入れて

約1か月後、府環境保全課がこの取組みの一環で水中ドローン撮影を行い、普段見ることができない海中の岸壁や、魚の群れ、実際に魚がカゴに隠れている様子などを観察することもできました。
2402_satoumi_06.jpg▲ウミタナゴの仲間が出入り

そして、1月21日、いよいよカゴを引き上げての調査です。いつも以上に生き物の採集にみんな集中していました。カゴの設置場所は各校数メートル離れているだけなのに、採集した生き物の種類や数が違うという結果になり、一同びっくり。
2402_satoumi_07.jpg▲全員で生物調査を実施
2402_satoumi_08.jpg▲蓋のウラにはホヤの仲間がびっしり
2402_satoumi_09.jpg▲タケノコメバルも隠れていました

その理由をみんなで考察しました。海面と海底の環境の違いだけでなく、「利用してほしい生き物」を学校ごとで考えてカゴを作ったので、結果として様々な環境ができあがり、色々な生き物の利用につながった可能性があります。 今回のことで、大阪港に多様な環境を作ることで、出会える生き物ももっと増えるのではないかと感じました。

現在開催中のミニ企画展「ええとこあるやん!大阪湾」の中で、岸壁調査や天保山西岸壁の水中の様子をまとめた映像を2月7日から放映しています。併せて、豊かな大阪湾のリーフレットも設置してますので、ぜひご覧ください。

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