アユの調査で出現した、ちりめんじゃこ?

以前のブログ で、冬~春になると海遊館前の岸壁にアユが回遊してくる事を紹介しました。
すでに11月から研究者によるアユの調査が始まっており、12月初旬に研究者の中筋氏にお願いして中学・高校生の環境学習を兼ねて調査に参加させていただきました。調査は18時ごろから開始し、強力なライトで海水面を照らします。この光にアユが集まってくるはずなのですが・・・参加した生徒たちは、水面を凝視して待ちました(写真1)。

数分後、「おったー」という声が聞こえ、素早く網でゲット!透明な容器に入れてアユかどうかを確かめます(写真2)。この時期回遊してくるアユはシラスと呼ばれ、大きさ1.5~3cmほどの透明に近い子供。アユかどうかは、アユがもつ脂(あぶら)ビレの有無で判断できます(写真3)。ゲットした魚はまさに透明なシラスそのもの。脂ビレがあるかどうか、みんなドキドキして中筋氏の判断を待ちました。ところが、「脂ビレがないな~」の一言にみんなガックリ。この魚はカタクチイワシのシラス(写真3)で、私たちがよく食べる「ちりめんじゃこ」です。こんな感じで調査は1時間ほど続けられ、待望のアユは5尾、カタクチイワシは8尾という結果でした。

 ここで、今回生徒たちに注目されなかったカタクチイワシがかわいそうなので、少し彼らの事を紹介したいと思います。大阪湾でカタクチイワシは、春に外海の太平洋で生まれて湾に入り込んでくる群れと、夏以降に湾内で産卵し発生する群れの存在が知られています。今回のカタクチイワシのシラスは、大きさから推定すると10月下旬~11月初旬に湾内で生まれた、まさに大阪湾産と考えられます。カタクチイワシは、大阪湾の漁獲量のうち大きなウエイトを占める重要な魚種で、大阪湾の海の豊かさを象徴する存在でもあります。

写真1:光に集まるアユを待っている様子。
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写真2:採れた魚を透明容器に入れて確認している様子。
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写真3:シラス期のアユとカタクチイワシの比較。
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アユは背の後方に脂ビレを持つ。右下のシラス期のアユの黄色に囲った部分には、脂ビレに変化する途中の広い膜がみられる。一方、シラス期のカタクチイワシにはそのような膜は見られない。
*写真のアユは、今回の調査で採れた個体ではありません。

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