以布利通信73「卵を口で育てる魚」

こんにちは、以布利センターです。
今日は少しかわった産卵形態をもつ魚を紹介したいと思います。

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この魚は「クロホシイシモチ」といい、センターの前の港ではほぼ1年を通して見ることができる、10cmにも満たない魚です。
普段は数百から数千の群れを形成していますが、春~夏の産卵期になると、群れから数メートル離れた場所で雌雄のペアを形成します。
そんなクロホシイシモチですが、実は...「オスが卵を口に入れて孵化するまで育てる」のです!

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こちらは卵塊を持っているオスの写真です。下顎が伸びているのが特徴的です。


卵塊を定期的に口から出し入れしている様子がみられます。
口の開閉と卵塊の向きを変えることで、常に卵塊に新鮮な海水を送っていると思われます。

メスから受け取った卵塊は、最初はピンク色ですが、発生が進むにつれて、色が薄くなっていき最終的には透明になります。
そして、7日目で発眼を確認し、8日目に孵化を確認しました。
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また、口からで吐き出されてしまった卵塊の人工孵化にも挑戦しました。
人工孵化は卵塊にカビが付かないようにする工夫が必要ですが、無事孵化しました。



孵化後の育成が難しく、残念ながら仔魚を成長させることはできませんでしたが、また挑戦したいと思います。

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