以布利通信74「いろいろなフエダイの仲間たち」

こんにちは以布利センターです!
港内は外海と比べて、稚魚を捕食する大きな魚が少なく、流れや環境変化が緩やかなことから、稚魚にとって過ごしやすい環境になっています。
センターのある以布利港も夏から秋にかけて様々な稚魚が見られました。
今回はその中から、個人的に関心をもったフエダイ科を3種類紹介したいと思います。

1つ目はバラフエダイです。
バラフエダイはバラという名前から、鮮やかな赤色を想像しがちですが、幼魚の体色は赤黒く体側後方に白班があります。
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写真を見て、あれ?フエダイの仲間なの?と思った方はかなり魚に詳しい!!
実はこの体色は「スズメダイの仲間かな?」と思って油断して近づいた小魚を捕食する擬態だと考えられています。
実際に、採集した周囲にはオヤビッチャなどスズメダイの仲間の他にも、カゴカキダイ、ニシキベラ等の小魚が集まっていて、上手くまぎれこんでいるなと感心しました。
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2つ目はフエダイです。

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※撮影のために、短い時間だけ浅い水槽に入ってもらいました


目の下の青色の縦線や体側の後方に1つ白色の斑があるのが特徴です。
フエダイは今、以布利の漁師さんの間では高い値で取引されると話題の魚です。
私も食べてみたいですが、値段が高くて手が出せません。
いろいろな魚を食べてきた先輩飼育員に味を聞くと、とても美味だと力説していました。

最後にヒメフエダイです。
ヒメフエダイは、鱗が斜め後方に向かっているのが特徴で、幼魚は少し緑色と赤色が混じり、尾が黒色と鮮やかな体色をしています。
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成魚になると体色は赤一色になり、鰭が白色で縁取られます。
ヒメフエダイの成魚は海遊館の「太平洋」水槽に展示されていて、群れで泳ぐ姿がとても美しいです。
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約25年前に以布利の魚類相を調べた「黒潮の魚」という本ではヒメフエダイは非常に稀とされ、様々な調査方法の中で定置網と潜水調査にて幼魚が1個体ずつのみ採集されたとのことでした。
今年は潜水で幼魚の群れを見たという情報や釣りで100尾以上採集できたことから、海は年々変化していると感じさせられました。

今回、紹介したフエダイの仲間でも、種ごとに気性の荒さや幼魚の時の模様、住んでいる場所の違いなど様々な特徴があり面白いと思います。
紹介した種を含め、数種類を「太平洋」水槽での展示に向けて以布利センターで飼育しています。
また、成長の経過をお伝えできたらなと思います。
健康で大きく育ってね!

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